富山に何をもたらし、今後どう生かしていくべきか、今週、北陸新幹線、県内3つの駅をめぐる動きについて、考えています。

13日は、東京と早く行き来できる速達タイプ「かがやき」の停車実現を目指す、高岡市の10年と今後の行方です。

富山県第二の市、高岡市。

新幹線駅が市街地の高岡駅から離れた場所にできたことで、2つの駅の周辺は明暗が分かれることになりました。

新幹線開業前は、JR在来線、2015年の開業後は、あいの風とやま鉄道の駅となった高岡駅。

2019年には、大和高岡店が撤退。

御旅屋セリオ周辺は、シャッターを閉める店が目立つようになり、公示地価は、新高岡駅前を下回りました。

高岡駅周辺では

Qこの10年で高岡駅前の変化は?
「なんかさびれた感でいっぱい」

Q新幹線効果は?
「効果は逆に、ここら辺は(活気が)なくなったと思う」

「いまのところさみしい(新幹線効果は)あまりない気がする。高岡駅と新幹線駅の2つにしたことが逆効果だった気もする」

これに対し、新高岡駅周辺は、大和高岡店が撤退した同じ2019年、イオンモール高岡が増床リニューアルオープンしたこともあり、賑わいを維持しています。

2つの駅の対照的な「現実」。

一方、ビジネス面、特に首都圏との往来については企業に大きな恩恵をもたらしていました。

Q新幹線はよく利用する?
*能作 能作克治会長
「しょっちゅうです。東京出張は新幹線が着く前までは飛行機だったが、100%新幹線で行っている」

地元鋳物メーカー、能作の能作克治会長は開業前、かがやきの停車を切望しました。

しかし、いまもかがやきの停車は実現していません。

*能作 能作克治会長
「今となっては10年経つと当然あるものという意識の方が強いが、開業したことによって北陸は変わったでしょう。『かがやき』が停まらないのはつらいが。うちもお客さんいっぱい来ているので、もっと努力すれば『かがやき』も停まってくれるかなと思う。民間なりに人を寄せる工夫というのは非常に重要ではないか」

1916年創業。

北陸新幹線開業後の2017年に本社を新築、移転しました。

社長には、おととし、5代目の千春さんが就任。

モノづくり企業として一貫して「産業観光」に力を注いできました。

*能作 能作千春社長
「こちらはスズという金属を使って、モノづくり体験ができる工房。実際に職人と同じ技法で砂で型をつくったり、流し込んだスズの製品の仕上げをしたり、刻印を打ったりというのを楽しめる工房」

来館者数は、オープン1年目から、想定を大きく上回る10万人を達成。

2年目は11万人、3年目は13万人と着実に増えコロナ後もその水準を維持しています。

その背景にはあるのは、新幹線効果です。

Qどうやって富山まで?
*東京からの観光客
「新幹線で。テレビでぐい呑みで日本酒を飲むとおいしいと紹介していたので、自分でつくっておいしいお酒を飲みたいなと」

中でも、インバウンド、海外から訪れる来館者が、去年1.5倍以上に増加。

モノづくりが、盛んな富山にとって、産業観光は地域活性化の切り札になるとみています。

*能作 能作千春社長
「インバウンドが増えることによって感じることは日本のモノづくりの精密さや文化的なところが誇らしいものであり、海外の方にとっては魅力的なものに映っている。今持っているものを魅力的に発信して産業を伝えていくことは今後の産業のためにも重要なこと。それが観光にもつながって、知ってもらって将来の担い手づくり、移住者が増えることも高岡の地にとっては非常に重要なこと。そこに少しでもタッチすることができれば寄与することができれば私たちとしても幸せ」

出張で、週に1度は新幹線を利用する能作社長。

悲願のかがやき停車に向け求められる、街の活性化。

そのキーワードに挙げるのが「連携」です。

*能作 能作千春社長
「停車できる街になっていくことが重要。そのためには1事業所だけではなくて業種を超えて宿泊あるいは飲食、伝統産業というところで結びついていって点を面にていくことが求められている」

東京との往来を少しでも早くすることは、誘客を促進し、活性化につながる…地元経済界はそうみています。

そのために、この先、どう動くのかが重要になってきます。

北陸新幹線開業10年。

14日は、県内でその「かがやき」が唯一停車する富山駅をめぐる動きを考えます。

富山テレビ
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