ウクライナがアメリカと合意した30日間の停戦案について、トランプ大統領はロシアに停戦の受け入れを求めました。

トランプ大統領は「ロシア次第だ。我々はロシアともウクライナとも良い関係を築いてきた。交渉の行方を見守る」と述べました。

トランプ氏は12日、記者団に対し、停戦の実現はロシアの対応次第との見方を示した上で、「前向きなメッセージを受け取っているが、それでは意味がない」と指摘し、停戦に向け、ロシアが明確な意思を示す必要性を強調しました。

また、ロシアが停戦を拒否すれば、「経済面で壊滅的な打撃を与えることができる」と警告し、受け入れを強く求めています。

こうした中、ロシアのメディアは12日、米露首脳会談が対面で4月から5月にかけて調整されていて、開催地はサウジアラビアとなる可能性が高いと報じました。

このニュースについて、フジテレビ・立石修解説委員室長とともにお伝えします。

青井実キャスター:
はたしてプーチン大統領は受け入れるのかですが?

立石修解説委員室長:
予想するのは難しいですが、表面上、プーチン大統領は強硬姿勢を崩していないんです。日本時間13日朝に入ってきた映像では、プーチン大統領はウクライナが越境攻撃しているロシア・クルスク州を攻撃以来初めて迷彩服を着て訪問しているんです。つまり領土面で譲歩は絶対にしないという強いアピールとも受け取れますよね。

青井実キャスター:
このアピールの様子を見ると停戦は厳しいように感じますけども。

立石修解説委員室長:
確かにそう感じるんですが、一方で気になる情報も入ってきています。国際金融の関係者の話では、モスクワ中心部にある高級ホテルにアメリカ人のビジネスマンがすごく多く見かけられるようになっていると。だいたい弁護士や銀行関係者ということなんです。これは仮に停戦や戦闘終結となった場合に、ロシアの通貨であるルーブルは急騰すると。ロシアビジネスを再開したいアメリカの企業も中にはあるというふうにもいわれています。ビジネス面では、このようにすでに停戦をにらんだアメリカとロシアの水面下での接触が活発化しているような状況もあるみたいです。

青井実キャスター:
ロシアとしては、アメリカなどの外貨が入ってくるのは経済にとって大きなメリットになるわけですが、これを交渉材料にするかということですね。

立石修解説委員室長:
ビジネスの状況を利用して、例えばトランプ大統領は「制裁の緩和」など経済面でのプレゼントをプーチン大統領に渡して、停戦合意を狙う可能性も一部では指摘されています。

青井実キャスター:
とはいえ、プーチン大統領が受け入れるのかということですが、トランプ大統領の積極的な外交姿勢は崩れなそうな気がします。

立石修解説委員室長:
鍵を握っているのが、ウィトコフ中東問題担当特使です。今週後半にモスクワを訪問して首脳会談に向けた調整を行うと。プーチン氏との直接会談も狙っているようです。この人は政治家でもなく、もともと不動産業者ですがトランプさんとは親密な関係を築いています。このウィトコフ氏を知っている人物によりますと、「人間力があって胆力もある」ということで、トランプさんの絶大な信頼を得ているようです。他にウクライナ担当の特使もいるんですが、このウィトコフ氏を懐刀でロシアに送り込んでいる。ただ、プーチン大統領の狙いはあくまでもウクライナの主権を奪うことになるので、どういう出方になるか、今後見極めていく必要あると思います。

青井実キャスター:
この先の停戦が実現するのか、ロシア側にメリットはあるのでしょうか?

SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
重要なポイントです。今、ロシアでは戦闘としては優位だといわれています。支配している領土を拡大しているし、侵攻されたロシア領土を奪還できているし。今、勢いがついたまま続けた方がロシアにとって得だと思われます。交渉テーブルに引き付けるアメとムチを考えると、今「経済制裁」というムチの話がありましたが、ここまで我慢して経済制裁も十分耐えられているんです。アメはウクライナの領土奪還は諦めるとか、NATO加盟を諦めるかもしれないという交渉カードは交渉中に使ってもいいかもしれませんが、すでにきっているから、アメもムチもない状態でどうテーブルに引き付けるか、これが注目です。

青井実キャスター:
米露の首脳会談は4月から5月ですから、まだまだ少し先で時間がありますから、その間のアメリカ、ロシア、ヨーロッパの動きも注目ですね。

立石修解説委員室長:
今週末の会談でウィトコフ氏がどういう結果を出すかですね。