今月14日に開業から10年を迎える北陸新幹線。

12日から3日間、新幹線は富山に何をもたらし、今後どう生かしていくべきか、県内3つの駅をめぐる動きについて考えます。

初回は「黒部宇奈月温泉駅」です。

北陸新幹線の黒部宇奈月温泉駅。

この10年、全国の新幹線で最も長い駅名として、そして、県内最大の温泉街、宇奈月温泉の最寄り駅として、知られるようになりました。

Qこの10年で温泉街にはどんな変化が?
「少しずつなんですけれども、この宇奈月温泉駅に降りていただいたあとのイメージとして、外観を木目で統一した感じでモダンな感じにそれぞれのお店が構えている」

「温泉街に足湯は結構あるけれど、手湯は珍しいですよね。手軽に温泉を楽しんでいただける」「新しく新幹線開業後にできたものですよね」

老舗旅館、ホテル黒部の女将、中島ルミ子さん。

新幹線の開業時には若女将として、2018年からは女将として、旅館を切り盛りしています。

*女将 中島さん「北陸新幹線の開業は私たちにとって本当に助けていただいた」
「色んな目的で来ていただき若い人たちも本当に増えた」

東京から2時間あまり。
アクセスの良さは、宿泊者数の減少で低迷していた温泉街にとって、まさにチャンス到来でした。

開業の前の年には、23万人台だった宿泊者数は2015年の新幹線開業で32万人を超えました。

新型コロナの感染拡大で、2020年から客足は遠のきましたが、去年は30万人近くが宿泊し、コロナ禍前の水準に戻りつつあります。

特に増えたのがインバウンド。海外からの観光客です。(※外国人観光客 14年:9421人 24年:2万2771人)

*中島若女将(2017年当時)
「和洋室のお部屋に雰囲気を変えてみました」
「より一層黒部の大自然を満喫できるようなお部屋をコンセプトに考えてみました」

ホテル黒部では、新幹線開業後、3分の1以上の部屋を和洋室やモダン和室へと改装。
外国語を話せるスタッフも配置しました。

「意外にね、(和モダン室は)海外の方にも人気で、ベッドルーム(希望)かなと思っていたら、ジャパニーズスタイルを希望だという感じがある」
「アメイジングだとみなさん言われる。こんな景色はないと」

この10年、旅館やホテルの多くがリニューアルした温泉街。

中島さんは、新幹線の駅名がもたらした効果も大きいといいます。

*女将 中島さん
「まず、黒部宇奈月温泉駅という駅名がついたというのはこれ以上のPR効果はないと感謝している」
「北陸新幹線に乗っているだけで初めて知った人も黒部宇奈月温泉駅はどういうところだろうと、スマホで調べてくれたり、次の旅行に考えてくれる人も多いんだろうと思っている」

開業前、温泉街は、駅名に「宇奈月温泉」を入れるよう強く求めた経緯があり、その活動が大きなPR効果をもたらしました。

*利用客(出張で駅を利用)
「温泉があるのか…ワクワクという感じ」

*利用客(東京から旅行)
「温泉で栄えていそうな名前だな」

*利用客(大阪から旅行)
「地元感、特色があって分かりやすい」

一方、開業以前から懸念されてきたのが、素通り、「通過」駅となってしまうことでした。

停車駅が少なく、早く富山に到着する速達タイプの「かがやき」は、県内では富山駅にしか止まらず、地元は停車を求め続けています。

また、新幹線駅から温泉街までは、富山地方鉄道で、最短でも24分かかるなど、移動手段が課題として残されていますが…。

*神奈川からの利用客
「あまり大変っていう感じはしなかった」
*大阪からの利用客
「鉄道が好きな人にとっては逆にそれが楽しい」

*女将 中島さん
「宇奈月温泉駅に行きたいと思う方々にとってみたら、時間やかがやきが止まる止まらないではなくて、選んでわざわざはくたかに乗っている人が多いのかなと思う」

それを実証するように、いま、様々な目的で宇奈月温泉を訪れる人が増えています。

*東京から訪れた人
「温泉行きたくて、(SNSを)調べたらでてきた、チーズケーキも食べたいなと、山みたいで可愛いなと思って」

*新潟から訪れた人
「こじんまりしているのが良いなと古き良き…みたいな人がそんな多くないので」

*神奈川から訪れた人
「大学の法学部で勉強しているんですけれど、宇奈月温泉訴訟で知って、そもそも北陸の方に行こうかなと話をしていたので、ちょうどそこに行ってみるかと」

2023年、開湯100周年を記念して登場した宇奈月神社で授与される「宇奈月温泉木管事件」をモチーフにした「権利ノ濫用除お守り」。

「民法の聖地」として、弁護士や法学部生など法律関係者の人気が高まっています。

開業から10年、今後、新幹線を地域活性化にどう生かしていくか…。

今年度、黒部市や関西電力、観光事業者などで今後の観光戦略や街のビジョンを考えるチームも発足しました。

より選ばれる温泉街に向けた歩みが始まっています。

*女将 中島さん
「宇奈月温泉全体のまとまったPR方法を私たちが探っていかないといけないと思っている。宇奈月温泉街がどんなビジョンで目標を掲げこれからの宇奈月温泉をどうしていくのか、そこをみんなで考えていく。遅いかもしれないが今一生懸命取り組んでいるところなんです」

富山テレビ
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