約10万人が犠牲となった東京大空襲から80年となる10日、秋篠宮ご夫妻参列のもと慰霊の法要が行われました。
こうした中、一冊の「絵本」を通して、あの日の記憶が今も語り継がれています。
1945年3月10日に東京の下町を襲った「東京大空襲」。
アメリカ軍が大量の焼夷(しょうい)弾を投下し、大勢の命が失われました。
現在88歳の二瓶治代さん。
8歳で東京大空襲を経験しました。
8歳で東京大空襲を経験・二瓶治代さん(88):
焼夷弾って空気を切り裂くような音がするんですね。ヒュルヒュルヒュルというような音がしたかと思うと、バシーンバシーンと炸裂音。爆弾のようにね、ドカーンという音じゃないんですね。
ピンク色で示されたのは、東京大空襲を含めた焼失区域。
浅草寺や明治神宮の一部など、東京の都市部が焼け野原に。
二瓶さんが暮らしていた当時の城東区、現在の江東区亀戸も大きな被害を受けました。
二瓶さんの体験がもととなった絵本「またあした あそぼうね」では、当時の状況が鮮明に描かれています。
パネル展を見た小中学生からは「地獄のような感じでした」「二度と起きてほしくないこと」といった声が聞かれました。
8歳で東京大空襲を経験・二瓶治代さん(88):
私は、人間には言葉があると思うんですね。理性というか知性とか、想像力もあると思うんです。そういうものを本当に使ってね、戦争は始まる前になんとかして止める。皆さん、若い方、絶対戦争の体験だけはしないでください。もうさせたくない。それだけはもう、私たち生き残った者の本当の思いなんですね。
あの日から80年。「またあした あそぼうね」。
この言葉が、平和の意味を問いかけています。