今や生活に必要不可欠な存在となったインターネット。

パソコンやスマートフォンだけでなく、テレビや冷蔵庫、電子レンジなどの家電もネットに繋がり、平成の30年間で人々の暮らしは大きく変化した。ビジネスシーンでも、インターネットの普及により扱う情報が紙からデータへ移行し、業務の効率化が促進された。

しかし、そのような現代にあって未だにパソコンに慣れず、アナログな方法で仕事をしている人もいる。インターネット黎明期から働いてきたアナログ世代の働き方を描いたドラマ仕立ての3本の動画が、2月6日に公開された。
タイトルは「アナログ係長」。平成生まれのデジタルネイティブ世代にとっては、驚きの連続かもしれない主人公のアナログっぷりを早速ご覧いただきたい。

30年間変わらぬスタイルを貫く

インターネットが無かった頃のアナログな仕事スタイルを貫く係長と、インターネットを使いこなす部下の間で繰り広げられる日常を描いた3部作。

第1話は、部下が係長に「そろそろ出発の時間です」と声を掛ける場面から始まる。これから外出するという時に、黙々と作業を続ける係長。
その手元には、長年使いこまれた地図が広がっていた。なんと、ノートに訪問先の会社まで地図を書き写していたのだ。ア、アナログ…!

「ちょっと待ってネ。遅刻しないようにネ」と笑顔を見せる係長のアナログな働き方を不思議そうな目で見つめる部下。
地図情報は今やインターネットを通じて常にアップデートされ、いつでも最新で正確な地図を見られるのだが、部下は「うちの係長は、アナログだ」と心の中で呟くと、係長に負けない満面の笑みで地図の完成を見守った。

地図に手間取ったのか、遅刻しないようにと走る2人を背景にして「インターネットのある日々を。」の文字が現れる…という内容だ。

第2話の「アナログ係長」は、デスクの周りや段ボールの中をゴソゴソと探し物をしていた。

ようやくキャビネットの中から探していた資料を発見し、「ああああああ!あったあったあった、昨年のデータ!」とファイルを高らかに掲げて喜びを皆に伝える係長。
バックアップとして紙の資料を保存することは正しいが、インターネットを使えばクラウドストレージサービスにアクセスして、いつでもどこでもデータを確認することができる。

部下はその様子を遠くの自席から冷静に眺めていたが、その後、係長が散らかしてしまった資料の片づけをお手伝い。「ごめんね」と申し訳なさそうな係長、なんだか憎めない。

続く第3話では、出社した部下がパソコンのモニターにたくさん貼られた係長からのお願いが書かれた付箋を見て、「メールでいいのに」とため息をつく。その通りである。

その日の夕方、外出から戻りデスクを見ると、いつもは貼られている付箋がないことに少しさびしさを感じる部下…だが、その背後には新しい付箋を貼りに来た係長の姿があった。

アナログ時代の働き方のひとつひとつが今では遠回りにも見えるが、係長の懸命な働きっぷりも相まって微笑ましく感じられる「アナログ係長」シリーズ。
生まれた頃、既にインターネットがあった平成生まれにとっては不思議に、インターネット黎明期から働いてきた40~50代の方にとっては懐かしく感じる内容となっている。

SNSでは、「アナログ係長みたいな上司うちにもいる」「係長可愛すぎる」という共感や「アナログ係長の反対にデジタルゆとり社員もいるよ」「電子機器と通信網がダウンしてパニックになったら、アナログ係長が危機を救ってくれそう」という意見が上がっている。

実はこの動画、ソニーネットワークコミュニケーションズが運営するインターネット接続サービスの「So-net(ソネット)」のPR動画。
「アナログ係長」のユニークなキャラクターや“アナログ仕事術”のエピソードはどのようにして生まれたのか?
ソニーネットワークコミュニケーションズのISP事業部マーケティング担当者に話を聞いた。

「係長は58歳の設定」監督の実体験がヒント

ーー「アナログ」をテーマにしたドラマ風の動画を作ったきっかけは?

平成はインターネットが広く普及した時代でした。その平成が終わるこのタイミングに、インターネット接続サービス「So-net(ソネット)」として、インターネットが人々の生活にどのような影響を与えてきたのか?というテーマでPR活動を行ってまいりました。

今ではインターネットは生活に欠かせないものですが、「あって当たり前」の存在であるからこそ、普段の生活の中でその存在や重要性について改めて意識することはほとんどありません。
インターネットが広く普及した今、あえて「アナログ」を描くことで、「インターネットの重要性」を再確認いただくきっかけになればと考え、本動画を制作しました。


ーーキャラクターやストーリーはどのようにして誕生した?

監督が以前一緒にお仕事された方々とのエピソードから、今回の着想を得たそうです。
当時の制作会社ではアナログ文化が根強く残っていて、ロケハンなどに向かう際に書き写しはしないまでも地図を印刷する、コンテなどの書類をFAXでプロデューサーに送る、パソコンのモニターに指示内容を書いた付箋を貼るなど、今回の動画で表現した日常が繰り広げられており、そこから着想を得たと聞いております。
今回テーマに取り上げた3つのアナログ行動は、そのような日常の中でよく見かけた光景であり、共感してくれる方がたくさんいるのではないかと思い、テーマとしました。


ーー「アナログ係長」にモデルはいるの?

特定のモデルがいるわけではありませんが、プロフィール設定は考えられています。
係長の年齢は58歳。会社から支給されたパソコンは引き出しにしまったままで携帯電話は持っておらず、アナログな仕事の仕方を貫いているという設定になっています。
インターネットがうまく使いこなせないことや、周囲の人々やモノがデジタル化していくこと自体をあまり気にしていない、マイペースで家族(妻と娘)思いの人物としています。

少年のような笑顔がまぶしいアナログ係長

画面比率は4:3 当時のドラマのような効果音などこだわり

ーー制作において特に力を入れたのは?

平成初期(アナログ放送時代)に放送されていたドラマのトーンとマナーを再現するために、最近のデジタル放送で使われるフルHDサイズのカメラをあえて使用せず、カメラワーク、ライティング、編集までこだわって制作しました。
例えば、画面比率を4:3にしたり、当時のドラマで使われていたような効果音を使ったりと工夫しています。

タイトルロゴ画像は、イラストレーターなどを使ったデータそのものではなく、イラストレーターで作ったデータを出力したものをスチール撮影してデータを書き起こして嵌めました。
また、アナログ係長のデスクには平成初期に使っていたような電話や書類入れなどを配置し、係長本人だけでなく、係長を取り巻く環境も「アナログ」となるように演出しました。
提供クレジットの文字は、10年くらい前に地方局でアニメの再放送時に出ていたブルーバックのテイストを完全再現しています。


ーー「アナログ係長」らが働くオフィスは、本物の会社と聞きましたが?

ロケーションをお借りした会社様はデジタルな会社様でしたので、アナログ係長のような方がいらっしゃるという話はありませんでした。
撮影時には、監督が「アナログ係長」の不器用だけど、どこか憎めない感じやそれを見守る部下との良好な関係を描くために、何度もテイクを撮り直したのが印象に残っています。

他にも細部までこだわっていて、恐らくほとんどの方が気が付かないのではないかと思いますが、部下のガールフレンドが背景に登場していたり、そのガールフレンドも付箋を使ってコミュニケーションを取っていたりと、細かな演出も入った作品となっています。


ーーこの動画を通して伝えたいメッセージとは?

インターネットが人々の生活や働き方を大きく変えた平成という時代が終わる今、改めて「インターネット」は生活に欠かせない重要なサービスであるということを思い出していただければ、という思いを込めました。
その上で、インターネットのある日々を支えているものの1つに弊社のサービス「So-net(ソネット)」があると伝えたいと考えております。

「アナログ係長」らが働くオフィスは実在する会社で撮影

部下の男性社員は係長のアナログな行動を逐一指摘することなく見守っているが、物申したくなることはないのだろうか?
2人の関係を尋ねると、「部下がちょっとした迷惑を被ることもありますが、係長がどこか憎めない愛嬌のあるキャラクターなので、噛み合わないながらも良好な関係です」とのこと。

嘘でしょ!と思うようなアナログさで、楽しくインターネットの必要性や利便性を再認識させてくれる「アナログ係長」がクセになるこのシリーズ、気になるのは続編だ。
係長の“アナログ仕事術” 第4弾なのか、それともついにインターネットを使用するアナログ係長が描かれるのか…期待が高まるが、「現時点では続編は予定していない」としている。

平成が終わりに近づく今、「アナログ係長」が奮闘していた地図検索や資料保存、業務連絡などをアナログ式で続けていくのは、あまりに非効率的で業務に支障をきたしてしまう。
しかし、災害発生時などすべての情報をデジタルに置き換えることに対しての懸念の声があるように、インターネットが普及した現代においても、「アナログ係長」が実践するアナログな方法が役に立つ時があるのかもしれない。