2月11日、秋田市の秋田大学医学部付属病院に入院していた6歳未満の女の子が脳死と判定され、臓器の移植提供が行われました。秋田県内の臓器提供は4例目ですが、子どもからの提供は2010年の法改正以降初めてです。「命のリレー」とも呼ばれる臓器移植。どのようなことが求められているのでしょうか。

今回、臓器移植法に基づく臓器提供にあたった秋田大学医学部付属病院です。2月11日、脳死と判定された6歳未満の女の子の心臓がヘリコプターを使って大阪の病院に届けられ、10歳未満の女の子に移植されました。

秋田大学医学部長であきた移植医療協会理事長の羽渕友則さんは「何よりも患者とご遺族に感謝を申し上げたい。臓器移植ネットワークから『うまく心臓が動いた』という報告を受けたときはスタッフも非常に喜んだ」と語りました。

心臓は、摘出してから移植まで長い時間をかけられません。病院は、天候が安定しない雪の季節の秋田から大阪に臓器を運ぶため、受け入れる側の病院ときめ細かい連絡体制を整えました。

羽渕さんは「臓器の移植で、摘出してから血流を再開するまでだいたいの目安があるが、心臓が一番早くて4時間と言われている。今回は、冬の一番厳しい時期にうまくいったのは非常に大きなこと。われわれも初めての経験だった」と話します。

秋田大学病院は、2024年度の3回の臓器移植で得たノウハウを、県内のほかの病院にも伝える方針です。

羽渕さんは「臓器移植をすることは大変なのは大変だが、過剰に反応して手をこまねいてしまうなど、消極的になると臓器提供には結びつかない。『こういうことをすればあなたの施設でも臓器提供ができますよ』ということを説明しながら、秋大病院の経験を県内の病院に広げていきたい」と話しました。

一方、臓器を提供する側と移植を希望する側をつなぐ役割を果たすコーディネーターは「ドナーが6歳未満だったため特別な部分があった」と話します。

秋田県臓器移植コーディネーターの佐々木聡さんは「15歳未満なので本人の意思表示が無い状態だった。その点はご家族もすごく慎重にお子さんのことを考えながら、本人の気持ちを代弁してどう思うかなど、考えられた上での決断だったのでは」と振り返ります。

臓器移植で助かる命がある一方、認知度は高いとは言えません。あきた移植医療協会のアンケート調査によりますと、臓器移植に関する意思を示している人は、県内では14%にとどまっています。

佐々木さんは「どうしても自分の命だったり家族の命の話になるので、普段なかなか話をする機会は難しいかもしれないが、何かいろいろなきっかけ、テレビだったり、今回のことだったりと、いろいろな機会で移植医療が目に触れたときに、家族で臓器提供に関して話をしてほしい」と呼びかけています。

あきた移植医療協会は、臓器提供を「する」と示すことだけでなく、「しない」と示すのも意思の一つだということを多くの人に知ってもらいたいと話しています。

国内の臓器提供数は増加傾向にあり、2023年は過去最多の131人がドナーになりました。あきた移植医療協会の羽渕理事長によりますと、2024年度の3例の移植で11人の命が救われているということです。

臓器提供は健康保険証や運転免許証などで意思表示することができます。臓器移植に年齢制限はありません。「提供しない」という意思表示もありますし、何回でも変更できます。分からないことは「あきた移植医療協会」で問い合わせを受け付けています。

臓器移植をする・しないにかかわらず、家族などと一度話し合い、考える機会にしてみてはいかがでしょうか。

秋田テレビ
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