児童たちは元気いっぱいの接客で、自分たちで仕入れた和菓子を販売しました。熊本市の小学校で2月14日、『働く』ことについて学ぶ体験型の特別授業が開かれました。

熊本市南区の川尻小学校です。

体育館には、児童たちが手作りした地域の和菓子店のポスターが貼られています。

中に入ってみると・・・児童たちが何やら忙しく準備をしていました。

この日、行われていたのは『川尻六菓小学校』です。

これは川尻地区6軒の和菓子職人でつくる『開懐世利六菓匠』協力の下、毎年開催されている川尻小学校独自の取り組み。

働くことについて学ぶことが目的で、児童たちは商品の仕入れから販売までを体験します。

開店準備が終わると、早速、発注していた商品が到着しました。

【お菓子のいしはら 石原 洋次郎さん】
「子どもから注文があった分を納品で、あと品出しとかは全部子供に、店なのでやってもらおうと」

【菓舗梅園 片岡 圭助さん】
「これが納品書だから、これで数をチェックして、ちゃんと納品の数があるかどうかをチェックして」

児童たちが試食して文章を考えたというポップとともに商品をきれいに陳列すると、次は発声練習です。

【児童】
「いらっしゃいませ。何かお探しですか」

準備は万全、いよいよ開店です。

【児童】
「川尻六菓小、頑張るぞ!おー!」

開店と同時に、続々とお客さんがやってきました。

【児童】
「いらっしゃいませー!」

この日、店頭に並んだのは全店舗計約60種類の商品。

川尻小学校創立150周年を記念した、限定商品も販売されました。

【児童とお客さん】
「まるぼうろとカステラがお薦めです」
「カステラとまるぼうろを一個ずつお願いします」
「ありがとうございます!」
「合計320円になります。本日は誠にご来店ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」

元気いっぱい、そして丁寧な接客はお客さんからも高評価です。

【来場者】
「初めて来たけど、いいですよ、上手」
「元気があっていい、みんな2個ずつくらい買った」

開懐世利六菓匠のひとり、『菓匠たてやま』の立山 学さん。現在、一緒に店を切り盛りしている孫の幸之助さんと共に、児童たちの様子を見守ります。

【菓匠たてやま 立山 学さん】
「孫が一番最初の『六菓小学校』のメンバーなんですよ。生徒たちが一生懸命やるでしょう。すると私たちも一生懸命、お菓子を作らないといけない、手抜きなんて絶対しないと伝えてきた。すると(孫が)作るほうに行った」

【菓匠たてやま 立山 幸之助さん】
「とてもいい勉強になると思う、これからにつなげてほしい」

慣れない接客・販売に奔走した児童たち。

充実した表情で、人生初の体験を振り返ってくれました。

【熊本市立川尻小学校6年 松永 千佳さん】
「たまに敬語じゃない言葉でお客さんの前で話してしまうのが難しかった」

【熊本市立川尻小学校6年 内田 晴仁さん】
「人生で一度のとても貴重な経験をできて、とてもうれしい」

【熊本市立川尻小学校 中野 二則 校長】
「本物の職人の腕前に触れ、それを実際に見た上で販売を手伝う。本物を体験できることが貴重」

初めて会った時は挨拶の声も小さかったという児童たちの成長ぶりに、職人たちも目を細めます。

【菓舗梅園 片岡 圭助さん】
「(働くということについて)今は分からなくていい、このイベントを楽しんでくれれば。アルバイトをしたり、仕事に就いたときに『こういうことだったのか』という気づきは必ずあると思う、その経験を今回してもらった」

働くことの難しさ、そして、楽しさ。実際に体験したからこそ得られた気づきは、児童たちの確かな学びとなりました。

テレビ熊本
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