山陰地方は21日以降、特に3連休まで寒波に警戒が必要です。路面の凍結や圧雪による車の事故にも十分注意を払わなければいけません。雪道運転の基本的な注意点とともに、事故に巻き込まれないようにする「防衛手段」を取材しました。
雪道や凍結路面で起きるスリップ事故。2週間前の寒波は影響が長引き、山陰両県警によると1週間で両県合わせて約560件のスリップ事故が起きました。
雪道の事故を防ぐためのポイントを「JAF(日本自動車連盟)」に聞きました。
JAF島根支部・伊藤昇さん:
凍結などで滑りやすくなっていますので、そういったところを事前に把握し、スピードは控えめに前の車があれば車間距離を空けて余裕を持った運転を。
雪道運転には多くの危険が潜んでいます。こちらはJAFの実験動画です。濡れた路面や圧雪時の路面など4つのシチュエーションで、ブレーキをかけてから車が停止するまでの「制動距離」を測ったものです。
濡れた路面の制動距離は11メートル。
一方で、一見同じ条件に見える路面では…制動距離は6倍以上の69.5メートル。この路面は、道路の表面が凍る「ブラックアイスバーン」という状態です。ドライバーの視点では、濡れた路面との違いを見分けることが難しく、気温が下がる夜間や早朝は特に気を付ける必要があります。
また冬の山陰では、装着が当たり前の冬用タイヤですが、寒波は3連休に再び強まるとされ、この期間は雪道の運転に不慣れな観光客が増える可能性もあります。事故に巻き込まれないために、自分を守るポイントは?
JAF島根支部・伊藤昇さん:
レンタカーとか他県ナンバーの車は、雪道に不慣れなドライバーの可能性があるので、地元のドライバー側が車間距離を空けるとかスピードを抑えて、そういった車にあまり近づかないとか事故防止に努めていただけたら。
雪道で事故を起こさない、巻き込まれないためには、いつも以上に安全運転を心がけることが大切です。
この寒波襲来で、JAFには救援要請が急増しました。19日朝、松江市東出雲町の広域農道で起きた車複数台が絡んだスリップ事故。現場には、側溝に脱輪した車が…。ここに駆け付けたのがJAFのロードサービス隊です。
脱輪したドライバーが駆けつけた隊員に「ダメですか…」とこの後、自走できるかを心配そうに聞くと、隊員は「自走はできると思います。灯火類が大丈夫だったら問題はないかなと思います」と答えながら早速救出作業に入りました。
まずは引き上げるためのワイヤーを固定。次に側溝にハマった前輪をジャッキアップします。救出作業は10分足らずで完了。ドライバーも胸をなで下ろします。
脱輪したドライバー:
助かった…。
複数台が絡んだこの事故現場、自走できなくなった車が何台も残されていたため、JAFのロードサービス隊の車も複数台出動。
レッカー業者:
たくさん依頼がきます。さばけないほど。
こちらの車をレッカーするのは、JAF直営のロードサービス隊ではなく、業務委託している保険会社。冬の山陰はロードサービス隊が総動員です。
JAFロードサービス隊員:
雪の日は出動がめちゃめちゃ増えますね。体感で3~4倍くらい。
JAF島根支部によると、2週間前の最強寒波では、影響が続いた1週間で500件近い出動依頼が来たと言い、そのほとんどが路面凍結によるスリップや雪道でのスタックで、発生場所は除雪が行き届いていない裏道のような道路が多かったといいます。
JAFは長引く寒波に備え、ゆとりを持った行動と安全運転に心掛けて欲しいと注意を呼び掛けています。