10年前、長野県佐久市で男子中学生が車にはねられ死亡した事故。最高裁が、運転していた男の「引き逃げ」を認め、逆転有罪とする判決を出したことを両親が墓前で報告しました。
15日、息子の眠る墓を訪れた和田善光さん（54）と、妻の真理さん（53）。息子の樹生さんは中学3年生だった10年前、交通事故でこの世を去りました。
手を合わせるこの日は、大事な報告をしました。
父・善光さん：
「10年近くもかかってしまったこと、それについては申し訳ないと、すまなかったと伝えた」
母・真理さん：
「みっきー（樹生）は今もママの自慢の息子だよということを伝えた」
樹生さんは2015年3月、佐久市の自宅近くで車にはねられ死亡しました。車を運転していた男は、過失運転致死の罪で有罪が確定しましたが、その後、飲酒運転を隠そうと、事故直後に現場を離れコンビニ店で口臭防止剤を購入・服用していたことがわかり、「ひき逃げ」の罪にも問われていました。
一審の長野地裁は「ひき逃げ」と認め懲役6カ月の有罪判決を。
しかし、二審の東京高裁は「直ちに救護措置を講じていないと評価できない」として逆転無罪を言い渡しました。
迎えた最高裁の判決。被告の行動を改めて「ひき逃げ」と認定し、懲役6カ月の実刑判決が確定することになりました。
15日は、判決が出てから初めての墓参りで、樹生さんに報告しました。
父・善光さん：
「救護義務違反が認められ懲役6カ月の判決が下ったと、ようやく樹生に報告できたところ」
母・真理さん：
「ずっと事件の日に気持ちの一部分を置いたまま、動けない自分がいたが、これからはしっかりと今を生きなければいけないというふうに自分では思っている」
3月で事故から10年。裁判は一区切りを迎えましたが、両親は、今後について「これまでの経験を伝えることや、犯罪被害者や遺族に寄り添う活動などを考えていきたい」としています。
