羽二重やジャガードなど高い技術を誇る福井県内の織物メーカー5社によるブランドが、フランス出身のデザイナーとタッグを組み、一流ファッションとして東京で販売することになりました。裏方に徹してきた職人の技を表舞台へ、という思いが込められています。
 
福井の織物を高級な洋服として販売しようと取り組んでいるのは、県内織物メーカー5社による統一ブランド「BATTANBATTAN」です。「BATTANBATTAN」は、ビロード、羽二重、ジャガードなどを手掛けてきた福井の織物会社が6年前にブランドを立ち上げ、福井の織物の技術の高さを広く知ってほしいと商品開発などを続けてきました。
 
山下社長は「機屋にも夢がある。いいものを作っていることをみんなに知ってほしい。そうすることで後継者も生まれる」と話します。

ファッション業界を裏方として支えてきた職人たちが新たな展開を模索する中、今回、東京の百貨店で展示販売することが決まりました。しかし、それぞれが極めた高級で個性ある品質の織物がファッションとして認知されるには、デザインの力が足りないという課題がありました。
 
そこで頼ったのがルイ・ヴィトンなど世界的ブランドのデザイナーも務めてきた福井市在住でフランス出身のヴィルジニー・ルフェーヴルさんです。今回の展示販売に向けて、デザインを依頼することになりました。
 
織物メーカーによるブランド「BATTANBATTAN」に設立当時から加わり、活動してきた勝山市の東野東吉織物は、糸をぬらして織る「ぬれよこ羽二重」を代々受け継いでいて、主に高級呉服の裏地を製造してきました。東野晃典社長は「明治40年創業で、私で5代目。当社の羽二重の特徴は絹ならではの美しさ、手触りのなめらかさ、光沢の美しさ、品の良さが特徴」と話します。

さらに「裏地ということもあり、どうしても羽二重や福井、会社名が表に出ないので、もう少し知名度を上げていきたいということもあった」とその思いを語ります。
 
そんな中、ヴィルジニーさん側からコラボの提案があり、2024年に東野さんの羽二重を使ったヴィルジニーさんデザインのポーチを発売。その縁が「BATTANBATTAN」のデザインを依頼することにつながりました。
 
ヴィルジニーさんは「福井のテキスタイルの宝物。形はすごくファッショナブルにできると思っている。もちろんきれいなパターン、デザインを考えていた。でも生地が変わるととても美しくなる、きれいな雰囲気になるすばらしい生地だと思っていた」と話します。
 
東野東吉織物と衣目織物の生地を使ったワンピース、織工房風美舎と中島機業場生地の生地を使ったコートとパンツ、山崎ビロードの生地を使ったコートをそれぞれヴィルジニーさんがデザインしました。今回、ヴィルジニーさんが手がけたデザインは和洋折衷で、様々なアレンジを加えることで和服のような雰囲気から前衛的なスタイルに変化させることもできる年齢・性別を問わないデザインになっています。
 
東野社長は「形になる前はどういう感じになるか分からなかったが、出来上がった物を見て、自分たちの生地がこんな素敵な商品になるんだと実感している。東京だけでなく、全国の人に福井の織物やデザイナーのことを知ってもらえる」と期待を込めます。
 
“新たな世界に踏み出したい”という職人の願いが込められた「BATTANBATTAN」とヴィルジニーさんのコラボ商品は、19日から一週間、東京の日本橋三越本店で展示販売されます。

福井テレビ
福井テレビ

福井の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。