今回の寒波で注意すべきなのが「雪崩」です。特に2024年3月に大山で2人の命を奪ったと考えられている「表層雪崩」には要警戒です。冬山のプロによると、今回の寒波の再襲来で2024年3月に近い発生条件が整いつつあるといいます。「表層雪崩」とはどのような雪崩か、注意すべきポイントを取材しました。
大山山岳医療部会・兜山真宏本部長:
去年とほぼ似ている状態ですが、あとは降雪量ですね。これがどんどん降ってきてしまうと雪崩が起きる危険性が増えてくると思います。
雪崩が起きやすい状況になっていると指摘するのは、登山歴40年で大山山岳医療部会の兜山真宏さんです。大山では2024年3月に登山客3人が雪崩に巻き込まれ、このうち2人が死亡するという痛ましい事故がありました。この時起こったのが、「表層雪崩」だと考えられています。
雪崩には大きく分けて2種類あります。雪全体が滑り落ちる「全層雪崩」と、一度とけた古い積雪の上に新たに雪が降り積もり、新雪部分が滑り落ちる「表層雪崩」です。「全層雪崩」は春先に起こりやすい一方、「表層雪崩」は気温が低い日が続き、風が強くなると発生しやすいとされています。
前回の寒波で、大山では最大195センチの積雪を記録。寒波が過ぎると一旦とけて130センチ程に減少しました。しかし…。
大山山岳医療部会・兜山真宏本部長:
こんな感じで雪が積もっている状態です。氷の上に雪が積もっている。
17日夜から再び雪が降り積もり、凍った古い雪の表面に新しいサラサラの雪が。表層雪崩」の発生条件が揃いつつあるといいます。
大山山岳医療部会・兜山真宏本部長:
表層雪崩は、新幹線と同じような速度で時速100キロとか200キロの速度で一気に流れてきます。知識を身につけて、流れに巻き込まれないようにするというのが鉄則です。
兜山さんは、これからの時期に山に入る際には2つのポイントを守ってほしいといいます。
大山山岳医療部会・兜山真宏本部長:
1時間に3センチの降雪がある時は絶対に山に近づかないように、それから30度から45度の角度がある所の下には近づかないようにしないといけません。
登山時の装備品の確認も怠ってはいけません。雪山の必需品「ビーコン」です。
大山山岳医療部会・兜山真宏本部長:
これで自分の場所を電波出して知らせています。次にサーチモード。周りに誰かいるかっていうのを探してます。
雪崩に巻き込まれた場合、生還のタイムリミットは15分。いち早く発見してもらうことが最重要です。ほかにも…。
大山山岳医療医療部会・兜山真宏本部長:
埋まった人たちや自分が何かあったときに助かるシャベル。それから「プローブ」と言われる3メートルくらいの棒です。これは埋まった人を見つけるときに刺して探すことができる棒です。
また「表層雪崩」に注意するのは「山の中」だけではありません。
大山山岳医療部会・兜山真宏本部長:
実はこちらを見ていただくと…条件がそろえばあそこ下落ちてますよね。上の雪が落ちてきています。
少し傾斜のついた屋根、よく見てみると部分的に雪が無くなっています。これも表層雪崩と同じ原理のため、平地で雪かきをする際にも十分注意が必要です。
大山山岳医療部会・兜山真宏本部長:
自分たちのところでも(40度前後の)角度がある斜面で雪崩が起きるなというのは思っていてほしいですね。そのあたりも確認していていただきたい。まさかこんなところでということもありますので。
この時期の冬山には危険が潜んでいることを十分理解しておく必要があります。