JR長野駅前で発生した男女3人殺傷事件で、警察の捜査本部は2月15日、重傷を負った30代の男性に対する殺人未遂の疑いで46歳の男を再逮捕しました。また、情報公開請求で入手した消防の出動記録から、事件直後の緊迫した状況もわかってきました。

1月22日にJR長野駅前で発生した3人殺傷事件。1人が死亡、2人が重軽傷を負い、刃物を持った犯人は逃走しました。

第一通報者:
「女性の悲鳴というか声が聞こえてきて、バス待ちの集団から犯人が出てくるのを見て、刃物を持った状態で。心臓マッサージをされている方がいて、意識がない状態」

事件発生直後の現場には、多くの警察官や消防隊員が駆け付け、騒然としていました。

こちらは、NBSが情報公開請求をして入手した長野市消防局の出動記録です。覚知時間は、1月22日の午後8時7分30秒でした。

(出動記録)
「60歳位男性 腹部を刺され 意識呼吸なし 付近の人が心臓マッサージをしている」

第一陣の鶴賀消防署の救急隊がすぐに現場へ出動。およそ5分後の8時13分に現場に到着しました。

記録によると、到着後すぐに周囲から「もう一人刺された人がいる」との声が聞こえ、1隊の増隊を要請。

さらに、「もう一人けが人がいる」との情報が入り、もう1隊の増隊を要請しました。

救急隊は8時17分に、刺された男性1人を車内に収容し、病院に搬送しました。

出動要請を受けた第二陣の中央消防署の救急隊は、8時19分に現場に到着。

(出動記録)
「警察から詳細は分からず 加害者は確保できていない旨を聴取」

刺した人物の確保が不明だったことから、「防刃ベスト」を着用し活動したと記されています。

そして、もう1人の男性を素早く収容し、病院へ向かいました。第三陣の安茂里分署の救急隊も、防刃ベストを着用して活動しました。

搬送した女性のダウンジャケットは、左肩甲骨付近に刃物によるとみられる穴が開き、少量の血液も付着していたと記されています。

現場では、救急隊3隊のほかに消防隊4隊も出動。拡声器を使ってけが人の有無を確認し、救急隊の活動支援にあたったということです。

警察は防犯カメラなどの映像をたどる「リレー捜査」などで矢口容疑者を割り出し、事件から4日後の1月26日、46歳の女性に対する殺人未遂の疑いで逮捕しました。

捜査本部は2月15日、重傷を負った30代の男性に対する殺人未遂の疑いで矢口容疑者を再逮捕しました。

調べによりますと、矢口容疑者は、1月22日午後8時過ぎ、JR長野駅前で長野市の男性会社員(37)の背中を殺意を持って刃物で刺し、全治2カ月の大けがを負わせた疑いです。

矢口容疑者は、雑談には応じるものの最初の逮捕から一貫して事件については黙秘を続けているということです。

捜査本部は今後、死亡した男性(49)に対する殺人の疑いでも立件する方針で、生活状況などを調べ、動機の解明を進める方針です。

長野放送
長野放送

長野の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。