沖縄のシンボルが無残な姿に

10月31日未明、沖縄を象徴する建造物の「首里城」が真っ赤な炎に包まれた。

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那覇市消防局によると、火災の一報は31日午前2時40分ごろ、警備会社からだったという。

火災を目撃した近隣住民は「(最初は)少ししか炎は出ていなかったんです。どんどん広がって...」とその様子を話した。

火災発生から約1時間後の午前3時半ごろ、約800m離れた場所から視聴者が撮影した映像でも、火の勢いの強さがうかがえる。

その1時間半後の午前4時36分には、首里城の中心建造物である正殿の一部が崩れ落ち、午前4時47分には大きく崩れ落ちてしまった。

2019年2月に修復作業を終えたばかりだった

無残に崩れ落ちた沖縄のシンボル。31日朝に首里城の上空から撮影した映像では、白い煙が立ち上る中、正殿を中心に広範囲で焼け焦げているのが確認できる。全焼3棟を含む、7カ所が焼けてしまった。

沖縄では新聞の号外も配られ、「復元まで、また新たにどれくらいの時間と労力がかかるんだろうと思うと...」と肩を落とす県民の姿も見られた。

そもそも首里城は、1429年から1879年までの450年にわたり栄えた、琉球王国の城。

城内には、中国や日本双方の建築文化の影響を受けた正殿や北殿、南殿などがあり、入り口にあたる守礼門は、2000年に発行された「二千円札」にも描かれている。

各所では長い間、修復作業が行われ、2019年2月には正殿よりも奥のエリアが完成。公開されたばかりだった。

正殿に整備されていた「ドレンチャー」とは?

出火原因は10月31日現在も調査中。放火などの可能性はあるのだろうか?
また出火に対しては、どんな対策がされていたのだろうか?

首里城では、消火訓練が年1回以上義務付けられていたほか、特別な消火設備も整備されていた。

那覇市消防局長:
ドレンチャー。水のカーテンみたいにやるやつがあるんですが、それが付いています

ドレンチャーとは、文化財などの建物を火災から守るため、外壁に水の幕を張る消火装置のことだ。

那覇市消防局によると、首里城では少なくとも、正殿に整備されているのは確認されている。
火災当時に作動していたかどうかは、これから確認するとのことだ。

首里城では、10月27日から恒例の「首里城祭」が開催されていて、関係者が31日未明まで作業をしていたとみられている。

専門家「電気関係や放火も視野に入れておく必要がある」

考えられる出火原因について、専門家はこのように分析している。

元東京消防庁麻布消防署署長・坂口隆夫さん:
文化財の建物ですから、(周囲に)そんなに火災の原因になるようなものはないわけです。そうすると電気関係でしょうね。ショートして近くに燃えやすいものがあって、それに着火したと。あるいは、人の出入りができたということであれば、放火ということも視野に入れておく必要があります

(「Live News it!」10月31日放送分より)

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