能登半島地震で液状化の被害を受けた富山市の地区で対策工事の工法を巡る検討が進められています。

先月、市側から工法案が示されましたが地元の負担もあり、工法案に同意が有られるか不透明な状況です。

富山市東蓮町地区で開かれた住民説明会。

能登半島地震により270世帯のうち少なくとも70世帯で液状化の被害が出た地区です。

住民約60人が出席し、富山市の担当者が液状化被害の調査結果と防止対策工法の案を示しました。

*富山市建設政策課 野上一成課長
「地下水位低下工法が宅地液状化防止事業を行う場合、実施可能性が一番高い」

示されたのは地下水位低下工法と呼ばれる液状化の防止事業。

地下に排水溝を設置して、液状化の原因となる地下水を流れ込ませ、強制的に水位を下げることにより、地盤の強度を高める工法です。

*富山市建設政策課 野上一成課長
「工法を検討したが、公共事業として行う中で、地下水位低下工法が実績も多く、費用も高くない。地下水位低下工法が最適と判断した」

地下水位低下工法は震度7の揺れで大規模な液状化の被害が出た熊本地震の被災地などで採用されています。

実際の工事は被害エリアに建つ住宅の地下ではなく、道路の地下で行うため、他の工法と比べて工事期間が短く、費用も抑えられるメリットがあります。

その一方で、地下水位を強制的に下げるため、付近で地盤沈下が起こる可能性があると言います。

*富山市建設政策課 野上一成課長
「現時点の調査結果では、1センチ程度の地盤沈下が起きる可能性がある。確実に起こるというわけではないがリスクはある」

そして、この事業の最も大きな課題が地区住民全員の同意が得られるかどうかと排水ポンプの電気代や点検費用などの維持管理費を住民で負担する必要があることです。

*住民
「負担はなるべくかけないようにする市長の答弁もあったと聞いているので、住民負担がない方向でお願いしたい」      

15億円に上る工事費用は国と市が折半して賄いますが年間480万円と試算される維持管理費は約30年間にわたって地元で負担する必要がある、工事の対象エリアに該当するのは約150世帯でそれぞれ年間3から4万円の支出となります。

*富山市建設政策課 野上一成課長
「実施条件があって、東蓮町地区では実施可能だが、富山市内で見ても液状化被害はここだけではない。この事業が行えるところと行えないところを考えると、維持管理費用の負担を求めたい」

市は今年度中に液状化防止対策を取りまとめたい考えですが、住民からは維持管理費の費用負担に強い抵抗感があり、先行き不透明な状況です。

*富山市建設政策課 野上一成課長
「例えば住民負担がないのであれば、住民が同意できるのも一つかもしれないし、住民にとって被害の大小がそれぞれ違うので、地域としてどうしたいのかお聞かせいただきたい」    

液状化防止対策は富山市以外にも氷見、高岡、射水、滑川市で対策工法が検討されており、それぞれ今年度中の決定を目指しています。

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。