天候不順や人手不足などの影響で、高騰が続く野菜の価格。

こうした中、天候に左右されず野菜の安定供給にもつながる植物工場の取り組みが今、注目を集めています。

目の前に広がる、まるでSF映画のような空間。
人影のない施設で円筒状の容器がゆっくり回っています。

ここは、山梨・北杜市にある最新鋭の植物工場です。

「ブロッコリースーパースプラウト」という、発芽直後のブロッコリーの新芽を栽培。

この新芽には、抗酸化作用のある成分が高濃度に含まれ、栄養豊富な植物として注目されています。

ユニークなのが264台も並んだ円筒状の装置。

ブロッコリーの種を入れ、LEDの光で光合成させるほか、ミスト状の水を散布し空気を循環。
ゆっくり回転させながら新芽を育てています。

発芽から収穫までわずか3日と短く、1日最大10万パックの生産が可能だといいます。

株式会社 村上農園・広報マーケティング室の松井真実子さんは、「高品質で高栄養のものを安定的に生産することができ、みんなに届けられることが大きなメリット」と話しました。

1パック200円前後と価格も安定。

調理せずに食べられ、健康に関心がある女性の間で特に人気を集めているそうです。

千葉・習志野市にある植物工場。

扉を開けて中に入ると地下深く続く階段が。
下りてみると、その先には青々と成長したレタスが栽培されていました。

世界初の全自動地下植物工場です。
水道や電気通信線などを通すための共同溝を活用。
レタスなどの葉物野菜を栽培しています。

その仕組みはまず、レタスの苗を植えたトレーをコンベアで地下の植物工場に移動。
全自動の水耕栽培で、LEDの光とチューブから供給する養分で育てます。

全自動の地下植物工場のメリットを、伊東電機株式会社 PF(植物工場)課・小柳俊之さんに聞くと「地下10メートルという環境が、非常にレタスを栽培するのに適した温度」と話します。

地表の気温変化を受けにくく、1年を通じて約20度。
地上に設置するより、初期費用や光熱費が抑えられています。

さらに、空間を閉鎖しているため虫がつかず、菌類も非常に少なく、冷蔵で1週間ほど日持ちするのが特徴だそうです。

植物工場ビジネス、気候変動の影響を受けない新たな手段として広がりそうです。