歯科医院ばかり狙った100件以上の窃盗

防犯カメラの映像

7月17日、診察が終わり誰もいない歯科医院で起きた窃盗事件の一部始終を防犯カメラは捉えていた。

午前2時過ぎ、さいたま市の病院前にある駐車場の外から隣の家のフェンスを乗り越えやってきた2人組の男。男たちは、いったん病院の裏口に向かい、その後、侵入経路を変え正面玄関に移動し、手に持っていたバールで入り口をこじ開けようするがうまくいかず。

結局、病院の外にある通路に移動し窓ガラスの前へと向かった。そこで持っていたバールで窓を叩き割り院内へと侵入。1人は外で見張りを担当し、別の1人が受付付近に置いてあった現金およそ9万円入りを盗み、逃走した。

歯科医院長「現金は翌日使うお釣り」

被害を受けた歯科医院の院長は事件後取材に応じ、「犯行時間は5分くらいで、警備会社のスタッフが10分くらいで駆けつけてきてくれたが、その時には犯人はいなくなっていた」と防犯カメラを見ながら当時の様子を語った。

また、「奪われた現金は翌日使用するお釣りだった」と話した。

犯人は都内のホテルを拠点に病院荒らしを繰り返す

埼玉県警が病院内や現場周辺の防犯カメラ映像の解析を進めた結果、窃盗団が犯行に使用する車を割り出すことに成功。この犯行車両をキッカケに、都内のホテルを拠点としていることを突き止め、一気に捜査は進展した。

そして9月2日未明、フィリピン国籍で職業不詳の滝田裕介ことデラ・セルナ・ユウスケ容疑者(26)と職業不詳の大坂典夫容疑者(33)の男2人を、拠点のホテルで逮捕するに至った。

捜査幹部によると、2人は偽名を使い都内のホテルに宿泊し、そしてホテルを拠点としながら病院荒らしを繰り返していたという。

2人は歯科医院ばかりを狙って盗みを繰り返し、確認できているだけでも、埼玉県で25件、被害総額は900万円。

埼玉県以外でも、千葉県など、その他の関東圏で合わせて100件以上の被害が確認されているという。

大坂典夫容疑者(左)と滝田裕介ことデラ・セルナ・ユウスケ容疑者(右)

容疑者ら「ニュースを見て・・・」

男たちはなぜ、歯科医院ばかりを狙っていたのか?

逮捕された男の1人は「以前、歯科医院が被害にあうニュースを見て自分たちも犯行ができると思った」と犯行の動機を語った。

また埼玉県では2020年の4月下旬から7月まで、さいたま市、川口市、越谷市、戸田市、春日部市、草加市、三郷市などで連続して歯科医院を狙った病院荒らしが起きていたが、8月に入ると埼玉県内での犯行が止まった。

これを捜査員が確認したところ、「ニュースで『埼玉県内で連続して歯科医院を狙った窃盗事件が起きている』というのが流れているのを見て、これ以上、埼玉県で事件を起こすと逮捕されると思った。」という趣旨の話をしているという。

犯行を始めた動機も、犯行を止めた動機も「ニュースを見て・・・」という男たちの呆れた短絡的な行動。

埼玉県警は今回逮捕した男2人以外にも犯行に関与したメンバーがいるとみて、引き続き捜査を行い事件の全容解明を進めている。

(社会部 埼玉県警担当 河村忠徳)