英語民間試験の導入延期に予備校は…
東京・御茶ノ水にある予備校の武田塾…来年度から始まる大学入学共通テストで英語の民間試験が導入されることを見据え、新たな講座を準備していた。ところが…
この記事の画像(8枚)萩生田文科相は11月1日「大臣として自信を持って、受験生の皆さんにオススメできるシステムにはなっていないと判断せざるを得ません」と会見で語り、英語の民間試験の導入の延期を決定した。
今後2024年度からの実施を目指し、制度を抜本的に見直すとしている。
こうした急な変更について予備校では…
武田塾・中森泰樹教務部長:
それがなくなるということは、また計画を練り直さなきゃいけなくなると思いますので…
――生徒や保護者からは?
武田塾・中森泰樹教務部長:
正直困惑しているというか、「どうなるんですか?」みたいな…
英語の民間試験導入を巡っては、受験機会の格差などから公平性が疑問視され、高校の関係者などから延期を求める声が上がっていた。
また、萩生田文科相の“身の丈発言”にも野党などから批判が集まっていた。
受験する高校2年生には困惑も…
入試改革の目玉だった民間試験の導入がここにきて延期となったことについて、来年度受験する高校2年生からは…
高校2年男子(東京都):
実施するにしろ、しないにしろ、決めるのが遅すぎるなというのが正直な印象で…
高校2年女子(大阪市):
言葉を失うとはこういうことなんだなって…勉強が無駄にはならないけど、だからといって「はい分かりました」と素直に言えるわけではないです
11月1日は民間試験の受験に必要な「共通ID」の申込日だった。
そのため、萩生田門下大臣により民間試験の延期が発表されたことを受け、東京目黒区の大学入試センターでは報道陣に対し共通IDに関する説明会が行われた。ところが…
大学入試センター・西山隆宏総務課長:
共通ID申し込みは基本的には受け付けるということになっているので、センターとして丁寧に作業をしていきたい…
なんと民間試験導入の延期が決まったにもかかわらず、共通ID受付について「文科省から連絡が来ていない」と受付作業を続けるとしていたのだが、結局1日午後になって共通ID申し込みの中止が発表された。
全国の校長会とともに導入の延期を要望してきた鳥取県校長会の会長は…
鳥取県立倉吉東高校・御舩斎紀校長:
“結論”は安心な部分はあるんですけれども、田舎ではそういう会場もありませんし(英語民間試験の)実施もしておりませんので、都会に行かなきゃいけないという話になります
4年遅れの2024年度から実施を目指すという文科省だが…実現までの道筋は不透明だ。
英語の民間試験めぐる動き
加藤綾子キャスター:
英語の民間試験導入をめぐってはさまざまな混乱がありました。
(1)2018年3月当初利用できる民間試験は8種類あったが…
(2)2019年7月にTOEICが撤退…
(3)公立高校の団体が地域格差解消など見直し延期を求めた要望書を文科省に提出、2度にわたって直訴
(4)現場からの懸念が高まる中、10月24日の萩生田文科相の「身の丈に合わせて」という発言
それで11月1日きょうこんなギリギリでの延期発表ということになったんですが、吉田さん。
コメンテーター・吉田潮氏:
こういうシステムを安易に変える発言というのは問題だと思うんですよね。細心の注意を払ってやらないと、子供がかわいそうですよね。さっき高校生の女の子が「言葉にならない」と言っていましたが、その通りだと思う。もうちょっと発言も含めシステムを考える上でちゃんと考えたほうがいいですよね
フジテレビ・風間晋解説委員:
よく分からないことが2つあって…誰をおもんぱかっての延期なのだろうか?それから萩生田大臣が「自信の持てない」という制度を歴代の大臣とか文科省の官僚は一体なぜゴリ押ししたんだろうか?という…よく分からないことがいっぱいありますよね
加藤綾子キャスター:
学生のみなさんが予約していた試験の返金とかはどうなるんだろう?とかそういったことも気になると思いますが、民間試験を使うかも含めまた再検討するということで、今後1年かけて新たな制度を検討。5年後の24年度からの実施を目指すということです
(Live News it! 11月1日放送分より)