創作はいくつになっても楽しいもの。

こう感じさせる、90歳のおばあちゃんが作った「新聞紙のちぎり絵」が話題となっている。作品を孫がTwitterに投稿したところ、「センスが凄いいい」「わ!POP!!」などと絶賛され、3万を超える“いいね”を獲得している。(2月26日現在)

まずはその作品を見てほしい。こちらだ!



「90歳おばあちゃんの新聞ちぎり絵新作。作るのはやっ!!ブロッコリーの中に世界がある…。すごいわ。」

コメントとともにアップされた写真をみると、ブロッコリーの頭も茎の部分も、いろいろな図柄を見事に貼り付けて濃淡がついたアートになっている。その中には、確かに新聞紙の広告欄と思われる文字も入っている。

そして、驚きなのは90歳という年齢だけでなく、ちぎり絵を始めたのが今年1月からなのにこのクオリティーということ。
投稿したイラストレーター・漫画家の木村いこさん(@iko1225)によると、年が明けてすぐに木村さんの母から「おばあちゃんこんなん作ったで」と知らせがあり、 「それがあまりにも素晴らしい出来だったのでぜひ皆さんに見てほしい」とツイートしたという。

「気まぐれで作ったのだろうと思っていたら毎日すごいスピードで上がってきて、しかも回を追うごとに上達していってるのが驚きです。 今やたくさんの方にご支持いただけるようになり、それが祖母の生きがいともなっているようなので公開して本当によかったです」とも、語っている。

90歳のセツおばあちゃんは、これまでにアヤメやエビ、雪ん子など多彩なテーマで作品を量産。鉛筆などで下書きしてから、新聞紙の色合いを見極めながらちぎり、ピンセットを使って貼っていくという。木村さんは24日にセツおばあちゃんのちぎり絵を紹介する専用のツイッターアカウント(@setsu0107)も開設した。

なぜセツおばあちゃんはちぎり絵を始めたのか? 木村さんを通じて、話を聞いた。

きっかけは夫を亡くしたことを心配した娘からの提案

初めて制作したちぎり絵
初めて制作したちぎり絵
この記事の画像(4枚)

――始めたのは今年1月からとか? きっかけは?

昨年11月の末に介護をしていた夫が亡くなり、することがなくなってしまった私を心配した娘が「新聞ちぎり絵っていうのがあるけどやってみる?」と勧めてくれたのが最初でした。

――作品の大きさや製作時間はどれくらい?

作品の大きさはハガキサイズくらい。 時間は作品にもよりますが、だいたい6時間くらいでしょうか。 主に「どのパーツをどう組み立てていくか」と考えるのに時間がかかります。


――材料は新聞紙だけ?

新聞紙とふえきのりとピンセットで制作しています。 新聞の中に色や柄が気に入ったものがあれば切り抜いて箱にしまっておきます。 箱は2つあって、1つは暖色系、もう1つは寒色系と分けていて、そこから選んでいます。 選ぶのがとても楽しく、その時は宝箱から宝石を選ぶような気分になります。


――
毎日やっているの?

ほぼ毎日作っています。 いざ集中してしまったら途中で止めることができず、ぶっ通しでしてしまうためか、目と肩がとても凝ります。 疲れている時は休むようにしていますが、制作中は食事もおトイレもいくことを忘れてしまうくらい熱中してしまうので、娘によく注意されています。 

体は衰えてきましたが、気持ちは勇んでいます。 昨年骨折してしまった手のリハビリにもなっていますね。

赤かぶら
赤かぶら

反響がやる気につながっている。ありがたい。

――自分のちぎり絵の反響の大きさをどう感じている?

孫が公開してくれ、その度に反響があるので驚いています。 感想までいただけたりなんかして、ますますやる気につながっています。ありがたいことです。 今後もみなさんの楽しみに応えられるようがんばって作っていきたいと思います。


――ちぎり絵におけるこだわりと、今後はどんな作品を作っていきたい?

他の紙にはない新聞ならではの味わいが出るようにしています。 今後は身近でおもしろいと思うものを制作していきたいです。 

食べ物もいいですね。ハンバーガーとか。 それから季節のもの。 もっと観察力を身につけないといけないなと思っています。

最新作は「囲炉裏」がモチーフ
最新作は「囲炉裏」がモチーフ

木村さんも話しているように、確かにたった2カ月でのこの上達ぶりはすごい。「何かを始めるのに遅いということはない」。セツおばあちゃんの作品を見ると、改めてそう感じた。

(画像:「90歳セツのちぎり絵」のTwitterより)

「IKIGAI~生きがい~」特集をすべて見る!

記事 4798 プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。