兵庫県を訪問中の天皇皇后両陛下は17日、阪神・淡路大震災の30年追悼式典に出席されました。
神戸市内で行われた式典には遺族や衆参両議長など約400人が出席しました。
正午前、両陛下は式典会場に入場し、正午の時報に合わせ、参列者と共に黙祷されました。
天皇陛下は式典で、「本日、阪神・淡路大震災から30年という節目を迎えるに当たり、亡くなられた6400余名の方々に、改めて深く哀悼の意を表します。
今から30年前の今日、多くのかけがえのない命が一瞬にして奪われ、住み慣れた街と暮らしが失われました。
震災の後、私も皇后と共に被災地を訪れましたが、被災された皆さんが、困難な現実を前にしながらも互いに励まし助け合い、懸命に前へ進もうとする姿は、今もなお脳裏に深く刻み込まれています」と述べられました。
即位後、初めて阪神・淡路大震災の式典に出席した陛下は、30年が経過し、震災を風化させないため、経験していない若い世代が自主的に学び、次世代につなぐ活動に取り組んでいることに触れ、「これからも、震災の経験と教訓を基に、皆が助け合いながら、安全で安心して暮らせる地域づくりが進められるとともに、そこで得られた知見が国の内外に広がり、次の世代へと引き継がれていくことを期待いたします」と述べられました。
このあと、遺族の代表による式辞に続き、神戸の復興を願い、歌い継がれてきた『しあわせ運べるように』を地元の小学生が合唱しました。
15年前の追悼式典で、この合唱に涙を拭っていた皇后さまは、陛下と共に穏やかな表情でじっと耳を傾けられました。
続いて、小中高生の代表が「地震を正しくおそれながら、絆をつくり、一日一日を大切に過ごしていこうと思います」(小6)「私たちは震災を語ることはできません。しかし、多くの語りに共感し、思いを寄せ、語り継ぐことはできます。教訓のバトンを受け取り、さらに後世まで伝え続けること。それが未来を担う私たち若い世代が『今できること』です」(高3)などと、未来への思いをスピーチすると、時折頷かれていました。
その後、両陛下は献花台の前に進み出て、白いユリなどの花束を手向け、深く拝礼されました。