後を絶たない「闇バイト」。
県内でも多額の特殊詐欺をはじめ多くの被害が出ています。
かつて闇バイトに応募し、特殊詐欺の「実行犯」として逮捕された男性。
BBTの取材に対し、一度手を出すと抜けられない闇バイトの実態を語りました。
闇バイトをどう防ぐか、考えます。
*闇バイト 元実行犯の男性
「自分は約10件で総額800万くらい引き出した。高齢者の家でキャッシュカードを受け取り現金を下ろすという役割」
自ら加担した特殊詐欺の手口を生々しく語る30代の男性。
4年前「高額報酬」をうたう闇バイトに手を染め、逮捕・起訴され、実刑判決を受けました。
*闇バイト 元実行犯の男性
「当時飲食店で働いていたが、コロナの影響で営業できず収入が半分以下になり、借金の返済もあって、お金に困っている状況だった。『お金を稼がないと』という状況で、ツイッター(当時)で『高額バイト』と検索した」
男性が犯行に及んだのは関東や中部での特殊詐欺。
高齢者などをターゲットに現金をだまし取る「受け子・出し子」の役割を担っていました。
*闇バイト 元実行犯の男性
「お年寄りからキャッシュカードを受け取る役割だった。相手は自分を銀行員と思っている。今からこの人をだますのかという罪悪感はあった。その時(1回目)は罪の意識もあったが、ATMでお金を100万ほど下ろして現金を見たときに、罪の意識がなくなり、お金を手に入れた嬉しさが勝ってしまった」
警察官や銀行員になりすまし、およそ10件の犯行に関わったという男性。
「高額の報酬がすぐに手に入る」という感覚が、次第に罪悪感を遠ざけていきました。
*闇バイト 元実行犯の男性
「普通に考えれば一日何十万というのもおかしいが、その時の自分は切羽詰まった状況でコロナもあり仕方ないと自分に言い訳して闇バイトに申し込んだ。普通に仕事するのが経済感覚的にもばかみたいになり、感覚が狂った。普通の生活に戻ることができたが、闇バイトから抜けられなくなった」
若者を中心とした「闇バイト」による犯罪は県内でも相次いで発覚しています。
県警は去年、SNSで闇バイトに応募し特殊詐欺に加担したとして7人を逮捕。
年が変わり、今月に入っても、富山市の住宅で金品を盗もうと住宅に侵入した「実行役」の2人に指示したとみられる名古屋市の男(35)が逮捕されました。
*県警犯罪抑止対策室 竹山一希室長
「決して予断を許さない状況」
警察は、犯行に一度加担すると抜けられなくなるのが闇バイトの実態だと注意を呼びかけます。
*県警犯罪抑止対策室 竹山一希室長
「犯人グループは募集してきた人の弱みを握り、脅して、犯罪行為から離脱できないようにする」
県内では、大学と警察が連携し、学生に闇バイトに応募しないよう啓発活動が繰り返し行われています。
かつては考えられなかった光景です。
*学生
「仕送りだけでは足りないこともある。興味本位で連絡しないよう、自分の心をコントロールしたい」
「働く場所の情報収集、意見やコメントを見て、本当に正しいところを探すのが大事」
*県警犯罪抑止対策室 竹山一希室長
「県民の安心安全を守るためにもスピード感をもって対策に取り組みたい。決してひとりで悩まず、警察に相談してほしい」
広がる闇バイトの脅威に政府も動きを強めています。
先月、「緊急対策」を決定し、捜査員が犯罪グループと接触するための「仮装身分捜査」を早期に実施し、取り締まりの強化・犯罪抑止を図ります。
*石破茂首相
「断固たる決意のもと、スピード感をもって各種対策に取り組んでほしい」
いまは更生を続ける元「実行役」の男性。
*闇バイト 元実行犯の男性
「闇バイトグループに個人情報や実家の住所、親の連絡先を全部教えるのが基本なので、抜けるといえば脅される。『親に言うぞ』『警察に情報を流すぞ』と。基本的にやめられない」
闇バイトの先に待つのは後悔だけ...。
男性は、最後にそう強調しました。
*闇バイト 元実行犯の男性
「自分一人でどうにかしようとしたのが間違いだった。親でも仕事の上司でも、誰かに相談しておけばよかった」
「これから会う人に自分の今までを話せるのか、話せば関係が切れる(不安)もある。生きている限り永遠に、闇バイトをやってしまうと刑期を終えても不安が続く」