「子供に持たせたい!」

花粉症の人にはつらい季節がやってきているが、マスクやメガネなどをすでに着用している人もいるだろう。
花粉症は様々な植物の花粉が引き起こすアレルギー症状の一つだが、対策はしっかりできていても、完全に防ぐことが難しいのがアレルギーだ。

特に、食物アレルギーを持っている人は、外食の際などに困った経験をした人も多いのではないだろうか。
大人であれば、自分で食べられない食材を申告するなどの対応ができるだろうが、そうはいかないのが子供たちだ。

そのため、食べられない食材を書き込んで服などに貼るシールや、食材のイラストが入った缶バッジなど、言葉で説明できなくともアレルギーの有無が伝えられる「アレルギー表示グッズ」が様々登場しているが、今、Twitterに投稿されたグッズが、ちょっと変わったテイストで話題になっているのだ。




「エビアレルギー表示ワッペン。 
 キーホルダーはサンプルです。こんなのもいいかなって。」



デフォルメされたエビと、手書き風の「アレルギー」の文字がデザインされた刺繍ワッペン。
やわらかそうな素材感と、淡いピンク色の縁取りがホンワカとした癒し系ムードを漂わせている。

雰囲気だけではアレルギー表示グッズだと思わないこのワッペンを作ったのは、自身のショップ「ネネロック」で手作りの刺繍ワッペンを制作・販売している、しのぶ(@Ricamo_nenerock)さん。
2月23日にこの写真が投稿されると、たちまち「わかりやすいのに可愛い!」「子供に持たせたい」と話題になり、投稿から4日経った27日現在、3万件のリツイートで拡散され、8万件以上の「いいね」がついているのだ。

編集部が調べてみたところ、市販されているアレルギー表示グッズには、黄色や赤の警戒色、食材のイラストに大きな「×マーク」がついているものが多い。

確かに、食品アレルギーは命に関わるため「パッと見てわかりやすい」ことが何より大切だ。
しかし、一方で「もっとかわいいデザインのものがあればいいのに」と思っていた人にはピッタリのグッズだろう。

このワッペンを作ったしのぶさんに、色々とお話を伺った。

「可愛いものを身につけて気持ちを明るく」

――アレルギー用のワッペンを作ろうと思ったきっかけは?

このワッペンはイベントに出展した際に、看護師のお客様から相談されたことがきっかけです。
アレルギーで苦しみ困っている子供が沢山いて、「可愛いもの」を身につけることで少しでも気持ちが明るくなったらと思っているというお話でした。
その後、入園準備のお母さんたちからも、アレルギーのお話を聞くことが増え、試行錯誤していました。

以前より刺繍ミシンが趣味だったというしのぶさん。
15年ほど前に友人から「男の子用の可愛いワッペンは全然ないから作ってよ」と頼まれたことで、刺繍ワッペンの制作を開始したという。

実は、今回ワッペンになったエビの他にも、代表的なアレルゲンの「卵」「乳製品」はすでに商品化されており、販売中(それぞれ550円、税込・送料別)。
しかし、「×マーク」や「アレルギー」という文字を入れるかなど、デザインには様々な試行錯誤を繰り返している最中なのだという。

――デザインする上でこだわっているポイントは?

こだわりの1番は可愛いことです。そしてわかりやすいこと。アレルギーという文字が一番ストレートでわかりやすいと思っています。

目が「×」で死んだような海老ではつけていてもネガティブな気持ちがどうしても感じられる。それでなくても辛いのだから、せめて特に幼い子が可愛い物を身につけて嬉しい気持ちになってほしい。もちろん親御さんも一緒に
なので「×マーク」も可愛い雰囲気で作ります。

エビアレルギー持ちの娘さんも「いいね!」

実は、しのぶさんの19歳になる娘さんも、エビアレルギーを持っているという。
発症は高校生の頃だったことから「親が細かく配慮しなくても大丈夫なので、我が子に(ワッペンを)作ろうとは思いませんでした」というしのぶさん。
しかし、エビアレルギーワッペンの試作品を娘さんに見せたところ、「いい物作ったね!」と喜んだあと、そのまま持って行ってしまったという。

19歳という年齢にかかわらず、アレルギー表示ワッペンを手にした娘さんに「その時に、見えない苦労があるのかなと少し思いました」と語るしのぶさん。今回のTwitterでの反響にも、「たくさん気付きがありました」とコメントしてくれた。

――Twitterで大きな反響がありましたが…

まるで予想していなくて、勢いでサクッと作ったのが良かったのかなと不思議です。
でもこの反響は、切実に困っている方がいるということだと思うので、微々たる力ですが少しでもお役にたてそうで良かったと思いました。
またアレルギー以外の見えない障害についての声も聞こえたので、この反響でたくさん気付きがありました。

「そば」や「落花生」などを含むサンプル

現在、エビ・カニ・小麦・そば・卵・乳・落花生の7品目の食品が「アレルギー発症者数や症状の重症度が高く、食品の中に含まれていることを表示する必要性が高い」として「特定原材料」に指定されている。
Twitterでも購入希望の声が続々挙がっていたが、これらの7種類については「現在制作中」だという。

ちなみに、これらのワッペンは1枚600円、タグ付きのものは1つ1000円での販売。すべて手作りのため、現在発送までに時間がかかる見込みだという。


気分華やぐ、かわいいデザインのアレルギー表示ワッペン。
命を守るものだからこそ、わかりやすさと子供たちが自然と持っていたくなるようなグッズが求められているのだろう。