アメリカ・ラスベガスで7日、世界各国から企業が出展する先端技術の見本市「CES」が開幕した。
AI(人工知能)を中心にさまざまな製品が発表され、パナソニック ホールディングスは家族向けのウェルネスコーチングアプリ「Umi(うみ)」を発表した。
今後は、日本での展開も視野に入れているという。
先端技術の見本市がラスベガスで開幕
世界各国から4000社以上が出展する先端技術の見本市「CES」が7日、アメリカ・ラスベガスで開幕した。

FNNロサンゼルス支局・水本翔記者:
CESが開幕しました。多くの企業が打ち出しているのがやはりAIです。

ころんとした見た目のロボットは、中国の企業が発表したAIロボ「Ai Me(エイミー)」だ。
表情豊かに会話をするほか、映像を撮影でき、大事なシーンだけをAIが判断して保存してくれるという。

FNNロサンゼルス支局・水本記者:
こちらのブースで面白いものを見つけました。私のホログラムです。
オランダの企業が開発したのは、カメラで映した映像をライトボックスに投影することで、簡単に作成できるホログラムだ。
このホログラムにAIを搭載することで、ホテルのフロントで接客対応にも使われているという。

「ホロコネクツ」アンドレ・スミスCEO:
AIやホログラムが、私たちの生活で重要な役割を果たすようになると思っています。

そしてパナソニック ホールディングスは、AIの開発を行うアメリカの企業「Anthropic」と戦略的提携を行い、対話型AIを搭載した家族向けのウェルネスコーチングアプリ「Umi(うみ)」を、アメリカで2025年中に開始すると発表した。
現代社会で課題となっている慢性的なストレスや家族間の断絶といった課題に、科学的にアプローチしていくとしている。
パナソニック ホールディングス・松岡陽子執行役員:
HI Umi !
Umi:
Hello Yoky!
主な機能は、家族の「ケア」、「コーディネート」、「コネクト」。
例えばーー。

パナソニック ホールディングス・松岡陽子執行役員:
お父さんからの近況報告はある?
Umi:
お父さんはもう寝ちゃったよ。日本はかなり遅い時間だから。きょうはよい1日を過ごし、よく食べたよ。
パナソニック ホールディングス・松岡陽子執行役員:
それはよかった。私は父が通常の食事に加えて、もっとタンパク質をとってほしいわ。
Umi:
お父さんはきのう、あなたと電話しながら食べるのが大好きだと言っていた。今週後半に食事中に電話する時間をもう少し設けましょうか?
家族の健康促進やコミュニケーションの円滑化を目指すほか、家族のスケジュール調整も行い、飲食店の予約サービスや配車サービスなどとも連携する予定。
健康的な習慣を身につけられるようサポートする。

パナソニック ホールディングス・松岡陽子執行役員:
人間って行動を変えていくのは難しい。今まで運動してない人に運動しなさいと言っても運動しないし、ホウレンソウが嫌いな家族に、ホウレンソウを食べなさいと言ったって食べないので、どうやって上手に健康の全体像を見ながら、どういうところからつついていけば、この家族は健康になるのか。習慣自体ちょっとずつ変わってくるというところをちゃんとやっていく。
今後は、日本での展開も視野に入れているという。
2020年ごろのコンセプトが形に
「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーにくわしい「IoT NEWS」代表の小泉耕二(こいずみ・こうじ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーー小泉さん、ことしも現地を訪れ、取材されているということですが、いかがでしたか?
IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
2020年ごろに話題になっていたコンセプトが実際に形になっていました。例えば、5年ぶりにトヨタがスマートシティーである「ウーブン・シティ」をアップデートしたことを発表していましたが、ことし100人程度から入居が始まるということです。
さらに、ソニー・ホンダモビリティから「アフィーラ1」という車が価格を含め発表されました。こちらは、ソニーが5年前に発表した「VISOION-S」と呼んでいたコンセプトカーなんですが、いよいよ市場に出てくるわけです。
どちらもかなり話題になったコンセプトで、5年越しに実現されたという意味では、非常に感慨深いものがあると思います。
堤キャスター:
ーー技術開発の傾向としては、どんなトレンドを感じましたか?
IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
まだ初日なのですべてを見たわけではないのですが、例えば、音声応答やロボットを使ったスマートなコミュニケーションであったり、リング型デバイスなどのウエアラブルや「トイレテック」といったヘルスケアを意識した取り組み、あとはAR(拡張現実)技術やカメラ、音声応答など、さまざまな機能を備えたスマートメガネなど、驚くというよりは、「確かにあったらいいな」という感想を持つようなデバイスが多くある印象でした。
堤キャスター:
ーーこれからテクノロジーは、どこに向かっていくのでしょうか?
IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
この数年間で、テクノロジーでできることをやってみせるという技術サイドからのアプローチから脱却していて、生活者にとって必要な機能をスマートに備えたデバイスが増えてきていると思います。
これは、数年前からいわれていることですが、人中心(ヒューマン・セントリック)という考え方が世界的にも一般化してきているからだと思います。

堤キャスター:
ーー人が中心とは、具体的にはどういうことなのでしょうか?
IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
例えば、パナソニックが基調講演でサステナビリティーを訴えていましたが、持続可能な社会を実現するうえで、どういったテクノロジーを使いこなすことが重要になるのかを考えることが、必要になると思います。
そういうことをふまえて、生成AIやAIを搭載したロボットが多く登場し、機能的にデバイスを制御してくれることで、さらに豊かで快適な生活が実現していくのではと思います。
堤キャスター:
AIや半導体を核とした次の時代への変革が始まっています。
暮らしに寄り添ったテクノロジーの進化によって、豊かで便利な未来を期待したいです。
(「Live News α」1月8日放送分より)