札幌開催に変更になった五輪のマラソン・競歩をめぐり日本陸連が会見

札幌へと変更された東京オリンピックのマラソンと競歩の開催地。
これまで東京での開催を前提に選手の強化を図ってきた日本陸上競技連盟が、11月5日に記者会見を開いた。
東京オリンピックでのマラソンと競歩の札幌開催について語られたのは…

日本陸連・瀬古利彦氏:
私の頭の中では、もう3年前から東京でやるんだということが頭に刷り込まれております。急に札幌に行けと言われてもなかなか頭の中が切り替えられません。

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開催地変更に無念さをにじませた陸連の瀬古利彦氏。
マラソンと競歩の開催地を巡っては、“アスリートファースト”を掲げるIOCが10月、暑さによる影響を懸念し突如“札幌開催”を提案。
その後、IOCと東京都、大会組織委員会、政府による4者協議で“合意なき決定”として受け入れ、札幌開催が決定した。

日本陸連・瀬古利彦氏:
IOCという力の前では我々はどうにもできないと。もし東京でやらなきゃ困りますと言うことを押し通したら、オリンピックからマラソンはやらなくていいんじゃないかと言われるのではないかという思いがありました。

日本陸連・麻場一徳氏:
まず今回のマラソン・競歩の札幌での開催についてですけれども、強化委員会としましてはあってはならない決定だというふうに思っております。この時期にくつがえると言うことについては極めて遺憾だというふうに思っております。
今回の会見におきまして、いろいろ愚痴やボヤキというのも協会のメンバーから出ることはある意味当然だというふうに思っておりますけれども、これを機にそれを前向きに変えてやっていきたいというふうに思っております。

マラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦氏の思い

東京オリンピックまで9カ月を切る中でのマラソン・競歩の札幌移転。
会見で、現役時代から日本のマラソン界を牽引してきた瀬古利彦氏はこんな思いを語った。

日本陸連・瀬古利彦氏:
今度のオリンピックで、もう一回そういうメダルを取りたいと言う思いでずっとやってきました。
その思いが、急に札幌と言われてもなかなか切り替えられるものではありません。
なんとなく何か知らないところですべてが決められて、そして我々はそれを納得しなきゃいけないという状況になっています。

東京開催の地の利を生かすため、暑さ対策などの準備を入念に進めてきた日本陸連。
2019年9月には、本番とほぼ同じコースで代表選考会を行い男女4選手を内定した。これにより選手たちは、東京でのレースに向け集中できるはずだったが…

まさかの札幌開催で準備は大幅な変更を余儀なくされることに…
その札幌での新たなコースや見てスタート時間などについても、まだ何一つ決定していない。

果たして、“アスリートファースト”は実現されるのだろか?

日本陸連・瀬古利彦氏:
先日(男子マラソン内定の)服部勇馬君と仕事で会いまして、彼が「瀬古さんのようにモスクワオリンピックでボイコットになるわけではないので僕らは幸せです。まだ札幌という地でマラソンができると言うことは、本当に瀬古さんたちと違って僕は幸せだ」というふうに言っていました。僕はそこで本当に涙が出ましたけども、本当にそうだと思います。

日本陸連・山下佐知子氏:
なかなか前向きなコメントというのは難しく、やはりどうしても無念な思いの方が出てきてしまいます。
暑い中で、国立競技場をスタート地点とゴール地点として走って準備するということで非常に体への負担はありますけども、準備するのがアスリートというところがあります。

さらに会見では、オリンピックの日程についても話が及んだ。

日本陸連・瀬古利彦氏:
日程につきましては、やはり我々の希望はできればマラソンはオリンピックの華と言われている最終日にやっていただいて、そして閉会式で表彰式をやるというのが、私としては望ましいと思っております。

北の大地でスタートの号砲がなるまでには、まだ険しい道のりが待ち受けている。

札幌開催での競技日程やコースは決まっておらず…

加藤綾子キャスター:
日本陸上競技連盟の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは会見で「IOCという力の前には我々はどうにもできない」と悔しさをにじませつつも、決まった以上はチームでやっていきたいと語っています。

コメンテーター:田﨑史郎氏;
複雑な思いではあるが、やっぱり札幌の人たちは大喜びだと思う。だから決まったからにはできるだけ日本全国でそれを共有したいと思っている。

フジテレビ・風間晋解説委員:
陸連はメダルを取るのが使命。開催までもう1年足らずだが、開催国のアドバンテージをできるだけ活用してメダルに届いてもらいたいなと思います。

コメンテーター・田﨑史郎氏:
女子マラソンを見るために、札幌行きの航空券を予約して、ホテルを予約した。日程がずれると困るが、まだ決まっていない…

加藤綾子キャスター:
瀬古さんが日程については、マラソンはオリンピックの華だと思っているから、できれば最終日にやって閉会式の日に表彰式をやってもらいたいと語りましたが、日程・コースとも決まっておらず、まだ課題は多いですね。

(Live News it! 11月5日放送分より)