自衛隊員の“負けられない”戦い

御殿場市にある陸上自衛隊、板妻駐屯地。ここで年に一度、炊出しの競技会が行われる。自衛隊員たちが「絶対に負けられない」と意気込む“熱きバトル”に完全密着。自衛隊員の炊事にかける熱い思いに迫る。

2月7日に行われた年に一度の炊事競技会。
陸上自衛隊板妻駐屯地の7チーム、総勢42人の自衛隊員によるプライドをかけた戦いだ。

この記事の画像(23枚)

板妻駐屯地で活動する陸上自衛隊・第34普通科連隊。災害時には被災地に救援に入る実働部隊で新潟中越沖地震や東日本大震災や熊本地震でも活動してきた。

被災地での任務は行方不明者の捜索や救助はもちろんのこと、住民たちに温かいご飯をふるまう“炊き出し”も大切な役目の一つだ。

第34普通科連隊長 深田満男 一等陸佐:
災害の現場は、被災された人がいる、非常に心的に傷を負われた方たくさんいると思います。あと疲れている人もたくさんいる。そういった人の心情を思いやってどういった献立、メニューであれば喜んでいただけるか

3時間半で100人分の“からあげ定食”

今回の競技会、ルールは簡単。3時間半で100人分の料理を作ること。
ことしのテーマは“からあげ定食”。各チーム、同じ献立なだけに味付けとアレンジの独創性が勝負のカギを握る。

去年のチャンピオン!は第4中隊。
熊本地震での活動経験を持つ佐藤班長!今年も連覇にむけ準備は万全だ。

第4中隊 佐藤隊長:
第4中隊は連覇がかかっているので何としても2連覇を

一方、ダークホースは第2中隊。青森出身、実家から届くりんごを仲間にも配る心優しき外舘(とだて)班長!適格なリーダーシップに定評がある。

「競技開始!」の号令とともに、各チームが一斉に調理に取り掛かった。

さあ、優勝候補の大本命、第4中隊。さすがはベテラン・佐藤班長!子供からお年寄りまで食べやすいようにと手際よく食材を小さく刻んでいく。一方、注目の第2中隊。ここで、いきなりテントが傾くアクシデント!しかし、さすがは自衛隊。多少のアクシデントはつきものと、見事な連携で立て直す。

各チーム順調に調理を進める中、第4中隊はここで「からあげ」の味と食感を決める“揚げ”の工程へ!
佐藤班長、火加減に鋭い目を光らる!

更に第4中隊は、水の量、火力、炊き時間の独自の黄金比を編み出したというだけに期待が高まる。

一方で、秘策があると話していた第2中隊。ここでなんと、一度揚げた「からあげ」を再び油のなかへ! 衣がカリッと仕上がる“二度揚げ作戦”…果たして、作戦は吉と出るのか?

しかし、第2中隊のテントは、もう崩壊寸前。そんな状況下でも外舘班長は自ら支柱を支えながら冷静に指示を送る。

調理が終わったチームは、盛り付け会場へと移動。料理の見栄えも重要な審査項目だ。

ところが、盛り付け会場でもテントに続き第2中隊でトラブル発生!

指導官:
ご飯はごはん

外舘班長:
ごはんはごはん?

本来は1つのカップにつき、1つの食材しか入れてはいけないというルールなのに間違えて、2つの食材を1つのカップに入れてしまったのだ!この時点で、競技終了3分前…。
果たして、第2中隊は間に合うのだろうか?

何とか、残り1分で第2中隊の全工程が終了。皿の向きまでそろえる外舘班長!
競技を終えた感想を聞いてみた…

第2中隊 外舘班長:
ひもの結びが自分の点検不足だったんですけど、風でいろいろ倒れてしまったり、これだけ頑張ってくれたら結果はうまくいかなくても大成功かなと、次の糧になるかなと思います。

スタートダッシュを決めたはずの第4中隊。しかしここにきて、盛り付けがまだ終わらないまま時間切れとなってしまった…

結局、第4中隊は少し時間を遅れて所定の位置へから揚げ定食を提出。
この減点が結果に響かないといいのだが・・・

今回、審査を担当するのは板妻駐屯地の幹部やOBに加え栄養士や地元の住民。
味や食感、見た目まで細かいチェックが入る。果たしてそのお味は…

審査員の自衛隊OB:
非常に味はいいですね。

審査員の地元主婦:
結構みなさん工夫して、段取りもよく上手にできていると思います。愛情がいろいろと感じられました。

佐藤班長率いる、去年の王者、第4中隊か!それとも、再三のトラブルを乗り越えてきた外舘班長の第2中隊か!そして、いよいよ結果発表。

 第34普通科連隊長 深田満男 一等陸佐:
 賞・第2中隊、平成30年度、総力結集競技会、炊事の部、優勝!

何かとトラブルに見舞われた第2中隊が見事!板妻駐屯地の炊事技術ナンバーワンの称号を手にした!

第2中隊 外舘班長:
被災地のその場所にいる人が“おいしいな”とか“心休まるな”っていう気持ちになれる料理を作っていきたいと思います。

一方で、惜しくも敗れた第4中隊の佐藤隊長は…

第4中隊 佐藤隊長:
炊事は隊員に活力を与え、国民にも災害派遣の際に活力を与える非常に大切なものだと思っています

第2中隊の優勝で幕を閉じた今年の炊事競技会。勝負ごとに勝ち負けはつきものだが、それぞれの隊員たちが抱く“炊事”に込めた思いは一つだ。

(テレビ静岡)