福岡・北九州市小倉南区のマクドナルド店内で中学生2人が殺傷された事件から5日がたった19日、警察は、現場近くに住む無職の平原政徳(ひらばる・まさのり)容疑者(43)を男子中学生に対する殺人未遂容疑で逮捕した。警察は中島咲彩さん(15)殺害にも関与しているとみて、捜査を進める方針を示している。取材から見えてきた平原容疑者の素顔、模倣犯に出会ったときの対処法とは…。
殺人未遂容疑で逮捕…咲彩さん刺殺「間違いなく関与してる」
捜査にあたった福岡県警は、19日正午から行った記者会見で逮捕について発表。
また、平原容疑者が中島さん殺害にも関与しているとみて、捜査を進める方針を示した。

小倉南(こくらみなみ)警察署・持丸宗徳署長:
12月14日北九州市小倉南区において発生しました中学生被害の殺人等事件については、先ほど被疑者を殺人未遂の罪で通常逮捕いたしました。
説明の前にまずは今回の事件で不幸にもお亡くなりになられました、中島咲彩さんのご冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷された男子中学生の1日も早いご回復をお祈り申し上げます。
捜査を指揮する橋本捜査一課長は、平原容疑者が容疑を認めているかについて次のように説明した。

福岡県警・橋本捜査一課長:
(Q.認否について)認めています。「たしかにその行為をしました」という供述をしている。

また、犯行に使われた凶器については、既に押収されていて、襲われた2人と平原容疑者の関係性については「確認中」とした。

福岡県警・橋本捜査一課長:
(Q.男子中学生との関係性は?)確認中ですけど、(男子中学生を)A男さんと呼ばせていただきますけど、A男さんの話では面識はないと聞いております。現時点の証拠は面識はないとみていますけど、これからの捜査でどうなるか分かりませんので確認中という答えをしている。

5日前の夜、平原容疑者はどのようにして現場に向かい、逃走したのか。
会見では、その移動手段についても明かされた。
福岡県警・橋本捜査一課長:
(Q.移動方法は?)車です、車で来ています。それは防犯カメラ捜査等でも明らかになっております。車でここに来て、車で逃走している。

逃走後の足取りを丹念に追っての容疑者逮捕の決め手は防犯カメラだったという。
福岡県警・橋本捜査一課長:
(Q.逮捕の決め手は?)あらゆる捜査をしていますけど、決め手はやっぱり防犯カメラ。それとやっぱり、県民市民の方から提供いただきましたドライブレコーダー。延べにして百数十、この5日間でおさえて精査しましたので、犯人に結びついた主体捜査というのは、やっぱり防犯カメラになるのかなと考えております。

1人暮らしだったという平原容疑者だが、自宅で逮捕された際の状況はどうだったのか。
福岡県警・橋本捜査一課長:
(Q.逮捕時の状況は?)強力な部隊を編成して逮捕に臨んでいますので、抵抗はしていません。(Q.その時なにか言葉を発したりは?)いや、特に文言はありません。

19日の逮捕を機に本格化する動機の解明だが、橋本捜査一課長は、この先の見通しを次のように示した。

福岡県警・橋本捜査一課長:
A男さんの殺人未遂での弁解を今聞いてるので、その点に重きを置いている。ただ当然、連続殺傷事件ですから、中島咲彩さんの事件についても、再逮捕を視野に入れて今から強力に捜査を進めてまいりたい。
(Q.中島さんについても関与している?)間違いなく関与しているとみております。

そのうえで、中学生の命を奪った今回の犯行を、「我々福岡県警としては、(被害者は)まだ15歳ですから、15歳の将来ある中学生で、こういう殺傷に巻き込んだというのも許しがたい、卑劣極まりない犯行です」と語気を強めた。
「防犯カメラリレー」防カメとドラレコ延べ百数十を精査
19日午前10時過ぎ、北九州市内の警察署に入ってきたシルバーの車のカーテンで覆われた後部座席にいるのは、逮捕された平原容疑者だ。

北九州市小倉南区に住む無職の平原容疑者の自宅は、現場となったマクドナルドから徒歩で約15分の場所にある一軒家だ。

事件発生から5日で大きく動いたこの事件。
警察が平原容疑者にたどり着いたのは、「防犯カメラリレー」と呼ばれる捜査によってだった。

19日午前7時過ぎに北九州市内で撮影された画像に写っているのは、容疑者逮捕に向け待機する捜査員。その姿はヘルメットをかぶるなど、完全防備態勢であるのが分かる。
この後、殺人未遂の疑いで逮捕された平原容疑者。
身長180cmほどあるという容疑者は、一体どのような人物なのか。

被害に遭ったのは、塾帰りに勉強しようと立ち寄っていた中学3年の中島さんと同級生の男子中学生だった。
2人は、レジに続く列の最後尾に並んでいたところ、侵入してきた男に刃物のようなもので突然、刺された。
中島さんは搬送先の病院で死亡。男子中学生も重傷だった。
現場から徒歩15分の容疑者自宅「普段から奇声」事件前から警察が
現場から平原容疑者の自宅までは徒歩で約15分。
近くに住む人は、今回の事件が起きる前から自宅に警察がよく来ていたと話す。

近隣住民:
去年(2023年)の話なんですけど、普段から奇声を上げたりして警察が来たり、たびたびよくあったみたいですね。夏ちょっと前くらいからマイクで声を響かせるような感じで、怒鳴り声が聞こえてきて、ちょっとびっくりしましたけど。

事件前、平原容疑者は現場となったマクドナルドの駐車場に車で到着。それから十数分後に店へと入り、犯行に及んだとみられている。
その際の様子を捉えたとみられる店内の防犯カメラ映像について、関係者は「マクドナルドの店長と事件翌日に話をした時に、店内に設置している防犯カメラには首から上が映ってなかったので残念と」と話した。

そこで警察が進めたのは、周辺の防犯カメラ映像や寄せられたドライブレコーダー映像を丹念にたどる“リレー捜査”。
それにより、現場から逃走した車から別のところで降りた人物が平原容疑者であると特定したのだ。

現場周辺の住民からは、凶悪事件容疑者逮捕の知らせに「良かったですね、もう本当にちょっとだけ安心しました。私も同い年の孫とかいるから本当にかわいそうで」と安堵(あんど)の声が聞かれた。
2人の被害者と面識はなかったとみられる平原容疑者は、警察の調べに「確かにその行為をしました」と供述し容疑を認めているという。警察は、中島さん殺害についても調べを進める構えだ。
模倣犯への対処法「かばんで腹部守り目をたたいて逃げる!」
凄惨な事件を未然に防ぐうえでのポイントを、元徳島県警捜査一課の秋山博康氏は、「職務質問が最大の武器になる。重要事件の未然防止ができるので、警察に職務質問を強化してほしい」と指摘する。

容疑者が捕まったばかりの時期は模倣犯が増加する恐れもあるため、特に注意が必要だという。

では、もし自分の身に危険が及んだ場合は、どう対処すれば良いのか。

元徳島県警捜査一課の秋山博康氏:
これは背負うかばん、腹部を守る盾になる。背負うのではなく前に持つ。

さらに危害が及びそうになった場合、急所である目を狙ってたたき、逃げる時間を稼ぐという方法があるといいます。

元徳島県警捜査一課の秋山博康氏:
相手の目を狙う、目は鍛えられない。目にパーンと当てる。(相手が)「ウッ」ってなった時に逃げる。女性であれば、ヒールを脱いで、はだしでも逃げる。

いざという時に自分の身をどう守るのか。普段から意識しておくことが重要だ。
事件発生15分前に到着もすぐに入店せず…
逮捕された平原容疑者は、福岡・小倉南警察署内で取り調べを受けているとみられる。

19日に新たに分かったことは、事件当日の動きとして、平原容疑者は事件発生の約15分前、午後8時10分頃に現場のマクドナルドに車で訪れたが、すぐに店には入らず、10数分たってから入店したという。

今後の捜査の最大のポイントは動機の解明になるが、男子中学生は容疑者について「全く知らない人」と話している。捜査本部は中学生2人と容疑者の接点などについて、重点的に調べるとしている。
(「イット!」12月19日放送より)