岡山・真庭(まにわ)市の市道で、乗客・乗員45人を乗せた観光バスがのり面を滑り落ち横転し、11人がけがをした事故で、運行会社などは9日午後6時から記者会見を開く。
乗客11人は、いずれも命に別状はないという。
「ゆっくりとひっくり返った」11人けが
事故が起きたのは、9日午前9時45分ごろ。
現場は、岡山・真庭市を走る、見通しの良い直線道路。
横転事故発生直後の様子をとらえた写真では、バスが雪の積もった道路から左に外れ、そのまま車体の左側を下に、横転しているのがわかる。
観光バスに乗っていた人は、横転の瞬間を、「僕は運転手さんの後ろの席で一番前だったんだけど、ゆっくりと転んだんですね。一番前だから道路の状況が見えるんですよ。最初は、わだちがあって大丈夫かなと思って見たんだけど、途中からわだちが消えて、凍っているような『ザクザク』という音がして、『あっ、ちょっと危ないな』と思ったら、ゆっくりとこうひっくり返ったという感じです」と振り返った。
当時、観光バスには、乗客乗員45人が乗車していて、そのうち乗客11人がけがをして、病院に搬送された。そのうちの1人が、左腕を骨折する重傷となっている。
通常の運行ルートとは別ルートで事故は発生
バスは、岡山・美作(みまさか)市から、高速道路で、島根・安来(やすぎ)市へと向かっていた。
しかし、高速道路が事故で通行止めになったため、真庭市の蒜山(ひるぜん)インターで降りて、事故が起きた市道を通ることになったという。
バスの運転手は、FNNの取材に、事故が起きた原因を「(高速道路が)事故で通行止めだったのでやむなく降りて、こっち(市道)を選択して通ったけど道が狭くて。(速度は)20km/hぐらいかな、で、思いのほか雪が多いなと思ったら、路肩がやわい(やわらかい)んで、ズズーッと(滑りながら横転した)」と説明した。
現場近くで牧場を営む男性は、事故発生当時の様子を、「牛舎の中で作業していて、すごいドスンという音がしたんですよね。で、家内がのぞきに行ったら、“バスが落ちとる”と。こんなところにバスがおるはずないんで、ウソだろとのぞいたら、バスが真横になっていて。中にお客さんもおられるし、パニックっちゃ、パニックですよね。でもうまいこと(乗客は)スムーズに脱出はできたんですけど」と振り返った。
観光バスは、冬用タイヤを装着していたという。
警察は、観光バスが凍結でスリップして雪に乗り上げ、横転した可能性があるとみて、くわしい事故原因を調べている。
専門家解説「車の重さで路肩が崩れたか」
青井実キャスター:
ーー観光バスの事故は、なぜ起きてしまったのか。交通事故鑑定がご専門の中島博史(なかじま・ひろし)さんに伺います。中島さん、観光バスが横転、危険な道路状況だった?
交通事故鑑定人・中島博史氏:
この道路だと、大型バスが通るのには危険だと思います。
青井キャスター:
観光バスの運転手が、事故当時の状況を語っているんですよね。
宮司愛海キャスター:
運転手によると、
▼路肩が柔らかく ズズーッと滑った
▼冬用タイヤをはいていて、時速20km走行
▼高速道路の通行止めがあったので一般道にルート変更した
ということです。
青井キャスター:
ーー中島さん、路面が柔らかいとは、どういう状態とみられる?
交通事故鑑定人・中島博史氏:
おそらく、道路の幅分だけアスファルトが敷いてあり、おそらく路肩の部分は土がむき出し。なので、アスファルトからちょっと外れただけで、車の重さで路肩が崩れてしまう。そちらに滑っていってしまう状態だと思う。
青井キャスター:
ーー映像を見ると、車道には “わだち”ができていた。みんなが通った道だから、ここを通ることは安心する部分もあると思うが。
交通事故鑑定人・中島博史氏:
わだち通りに走っていれば大丈夫だと思うが、何らかの理由で少し左側に寄ったら、滑り落ちてしまった状態だと思う。
青井キャスター:
ーー装備は冬用タイヤ着用で、時速20kmで走っていた。徐行ということで「適正」と見ていいか?
交通事故鑑定人・中島博史氏:
速度的には問題ないと思うが、雪道にスタッドレス(タイヤ)をはいたからといって、雨の日の普通のタイヤよりも滑るような状態です。ですから20kmより出てほしくないというような道路状況だと思います。
青井キャスター:
ーー状況としては雪が降っていたということだが。
宮司キャスター:
ーー岡山・真庭市は週末に雪が降り、約10cm積もっていた。9日朝は、氷点下の冷え込みで路面は凍結していたとみられている。中島さん、気象条件等が悪い部分もあった?
交通事故鑑定人・中島博史氏:
交通量としては、踏み固められて、「走りやすい」というところまでは行かないと思ったが、おそらく路面は凍結していて、スタッドレス(タイヤ)でも滑りやすい条件。路肩に出て滑り始めた時に、急ブレーキをかけてもブレーキが利かず、そのまま制御不能になったのではないか。
青井キャスター:
ーー車幅に対して道幅が狭すぎないか?
交通事故鑑定人・中島博史氏:
道路の幅約2.6メートル、バスの幅約2.4メートルなので、通常であれば、バスが入っていくような道ではない。なぜここに行ってしまったのかが不思議です。
青井キャスター:
ーー本来、観光バスが使うはずの高速道路・蒜山インターが事故の影響で使えなかったという背景もある。ルート変更は長距離バスなどでよくあることだが今回、迂回の判断はどうだった?
交通事故鑑定人・中島博史氏:
おそらく、ルート変更・迂回の判断は会社の方でしていると思う。トラブルがあったときにどういう別ルートを使うかというのは、計画の段階でハッキリしているので、指示に従って降りて、おそらく高速道路から国道を指示されたのではないかと思うが、理由はわからないが、こんな細い道に入ってしまったのだと思う。
青井キャスター:
ーーこれからの時期、われわれもこういったことに運転時に気をつけないといけない。
スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン):
一般のドライバーの皆さんは、もしかしたら天気がずっとよくて、冬タイヤをはいていないかもしれないので、気をつけていただきたい。
(「イット!」12月9日放送より)