新型コロナウイルスの影響で厳しい状況にある事業者を支援する、国からの給付金100万円。その給付金をめぐる詐欺の被害が相次いでいる。

この記事の画像(14枚)

突然1本の電話「デメリットのないお話」

東京都内に住む男性の元に、突然一本の電話がかかってきたのは8月中頃のこと。「求人サイトに登録した方へ案内」とする仕事の誘いだった。

電話の音声:
「どこかに行って働いてください」ということでもなく、デメリットがないお話の案件です。

しかし、その内容に不信感を持った男性が録音を始めると…

電話の音声:
書類を今回税務署へご自身で持って行って頂くだけとなっておりまして、その後におそらく1、2週間後に国から給付金100万円が入りますので、そちらのうち20万円を今回の報酬として受け取って頂いて、残りの80万円を会社に納めて頂ければこちら手続き完了となります。

男性:
いや俺のもとに100万円が入るってことですか?

電話の音声:
そうですね。いったんは入ります。

「国からの給付金100万円」は、新型コロナ対策の支援事業である「持続化給付金」の個人事業主らへの給付額と一致する。

男性は新型コロナの影響で職探し中で、これまでに個人事業主だったことはない。

怪しいと感じた男性がこう問いただすと…

男性:
それは何か…ちょっと犯罪性ないんですか?

電話の音声:
犯罪というのは…

男性:
なんかこう詐欺とか、そういったあれはないんですか。

電話の音声:
弊社が罪に問われてしまうので、そういったことはもちろんないです。詐欺でしたら、先にこちらから金銭要求などがあると思うんですよ。

犯罪性はないと断言した相手。

しかし、偽りの申請によって給付金を受け取る行為は犯罪だ。

個人情報を入力しするよう何度も要求

男性の元にはその後メールで登録フォームが届き、相手は個人情報を入力し送り返すよう何度も要求。

さらに翌日近くのコンビニまで印鑑を持参して向かうよう指示してきた。

求人関係を装う電話:
コンビニで書類などをプリントで印刷する。その印刷した書類を税務署に持って行って頂くので。

求人関係と名乗るその会社に向かうと…

持続化給付金をだまし取ろうとしたとみられる今回の電話。求人関係の会社と名乗った電話の相手は一体何者なのか。

取材班がメールに記載された住所に向かってみると、そこは東京・新宿区にそびえ立つ超高層オフィスビル。しかし、ビル内にその会社は存在していない。

会社の登記情報を調べても、会社名と記載された住所が一致する登記はなかった。存在しない幽霊会社なのか。

さらに記載された電話番号にかけてみると、電話番号は使われていなかった。

メールに記載されていた会社情報はすべて嘘。会社としての実態は全く確認できなかった。

持続化給付金をめぐる詐欺が急増

国民生活センターによると、こうした詐欺が疑われる新型コロナ給付金に関する相談は8月末までに1225件も寄せられているという。

感染拡大の影響に苦しむ事業者らを素早く支援するため、申請手続きが簡素化されている持続化給付金。そこに目をつけたとみられる詐欺行為によって、逮捕者も相次いでいる。

8月28日、持続化給付金100万円を国からだまし取ったとして、愛知県で会社役員守屋涼斗容疑者ら3人が逮捕送検された事件。学生や会社員など、給付の対象ではない人間も含む少なくとも400人程度の不正申請に関与し、受給総額は4億円に上る可能性があるとみられている。

制度を所管する中小企業庁は不正が疑われる申請が確認され次第、警察に情報を提供。またSNS上での注意喚起も行うなど対策を強化している。

今回詐欺とみられる電話を受けた男性も、困っている人の弱みにつけ込む行為に怒りを感じている。

男性:
今このご時世ですから「お金が欲しい」「困っている」例えばそういう気持ちを利用した類の話っていうのは正直言ってちょっと許せないですよね。

(「Live News it!」9月1日放送)