お寺をめぐる“ある騒動”が勃発した。
大阪・東大阪市にある寺の僧侶が、「数年前から住職に法要をしてもらっている」という話を聞いたのだが、実は、その住職は「なりすましの住職」だった。
FNNは、僧侶が「なりすましの住職」を問い詰める動画を入手した。

「おじいさんの遺言なんです」

西方寺 責任役員・僧侶 井尻裕二郎さん:
『自分が住職だ』あるいは『西方寺の関係者だ』と名乗り、葬儀や法要をしていた。

こう話すのは、”住職のなりすまし”被害を受けたと訴える、東大阪市にある「西方寺(さいほうじ)」の僧侶・井尻雄二郎(いじり・ゆうじろう)さん(62)だ。

この記事の画像(33枚)

事の発端は2023年11月、井尻さんが門徒から聞いた「(門徒が)『数年前から法要をしていただいている』ということ、『西方寺の住職だ』と言っておられたから、私たちは信じたと」という話だった。

井尻さんが、門徒に「その方は住職ではない」と伝えたところ、後日、「その人が通夜の読経をするから立ち会ってほしい」と依頼があったという。

あたかも「西方寺の住職」として読経を…

当日、井尻さんが目にしたのは、法衣を着て現れた男性で、あたかも「西方寺の住職」として読経しようとしていた。

西方寺 井尻僧侶:
門徒さんだましたらダメです。悪いと思ってるんだったら謝りなさい、まず。

なしすました男性:
私が悪いだけです、説明しなかった。

西方寺 井尻僧侶:
きちんと謝罪しなさい。あなたが住職や副住職になった経過も、僧籍を西方寺になった形跡も一切ありません。今後一切、西方寺の名前を使わないでください。

なりすました男性:
おじいさんの遺言なんです…。

西方寺 井尻僧侶:
遺言なんてありません。関係ない人が、何で寺の名前使うんですか。そして、お布施をいただいたり法要したり、法名つけたり。門徒さんに申し訳ないと思いませんか。

遺言だったと言い張る男性は、なんと別の寺の僧侶だった。
男性は、父が西方寺の僧侶で、12年前に父が亡くなったあとは門徒を引継ぎ、法要をしていたなどと説明。

しかし、門徒の名簿は勝手に引き継いだもので、寺の電話番号として男性の自宅の番号を書いたカレンダーを配っていた。
寺によると、こうした「なりすまし」は10年以上前から続いてきたとみられることがわかった。

FNNが男性への取材を試みたが、今のところ話を聞けていない。

10年以上の「なりすまし」行為の請求額は約1億円

お布施は、本来寺に入るもので、男性側の利益が寺の損害にあたると主張し、西方寺は2024年9月、男性側に損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。

訴状によると、10年以上の「なりすまし」行為などへの請求額は約1億円にのぼる。
前週に行われた1回目の弁論では、男性側は請求を棄却するよう求めたという。

西方寺の井尻僧侶は「僧侶としてこれが正しいことなのか、もう一度自問自答してほしい」としている。(「イット!」12月2日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(33枚)