水曜日は県内で奮闘するアスリートを紹介している「かちスポ」。11日は、地元開催された国スポ国民スポーツ大会で競泳・平泳ぎの中学生の日本記録を塗り替えた中学3年生です。
今年9月、地元・佐賀で開催された国スポの競泳に出場した野中龍生くん15歳。
100メートル平泳ぎで自身が8月に打ち立てた中学生の日本記録を塗り替える快心の泳ぎを見せます。しかし・・・・。
レース自体は高校生に敗れ銀メダルでした。
【野中龍生くん】
「期待されてたからやっぱ期待に応えたかった。記録は嬉しかったけど、やっぱなんか悔しいみたいな」
佐賀市大和町にある水泳クラブ・ようどう館。
5歳のときここで水泳を始めた龍生くんは、今もこのクラブに週6日通います。
【野中龍生くん】
「代表合宿などで学んだことをこのチームに持って帰ってきて生かしてやってる」
黙々と1人でする入水前のストレッチが龍生くんのルーティーン。
体をあたためるだけでなく、速く泳ぐためのトレーニングも兼ねます。
【野中龍生くん】
「肩甲骨の可動域を上げてる感じ。可動域が上がると手でかける水が増えるから有利になる」
多い日には1日5kmもの距離を泳ぐ龍生くん、同じクラブに通う仲間も水泳に対する姿勢に一目置きます。
【幼馴染みの久保倖也くん】
「結構練習前向き、1回負けたら絶対次勝ってやるぞ、そこがすごい」
しかし龍生くんの負けず嫌いに火がついたのは意外にも最近のことでした。
【野中龍生くん】
「最初は1カ月くらいでやめたかったです、小6の全国大会で3位で悔しくてもっと頑張ろうと思って、がむしゃらにやってました」
悔しさをばねにして練習に打ち込んだ龍生くん、全国3位に終わった8カ月後の小学生最後の大会で全国初優勝を果たします。
その後中学ではさらに才能が開花。去年の全国大会では3年生を寄せ付けず、平泳ぎで100m・200mの2冠を見事達成。
今年の全国大会では平泳ぎ100mで当時の中学生の日本記録を打ち立てて優勝するなど日本トップクラスの中学生スイマーに成長します。
【ようどう館大和校 久原隆寛コーチ】
「筋肉もあるしすごいかなとは思うんですけどただやっぱ高校生とか大学生に比べたらまだまだかな」
龍生くんを指導するコーチはまだ成長の途中とさらなる期待を寄せます。
【ようどう館大和校 久原隆寛コーチ】
「しっかりパワーをつけていったら、まだまだ伸びしろはあるのかなと」
【母・美穂さん】
「嫌なときとかはもうお腹痛いとか行きたくないの雰囲気は出してましたね。結構ああ見えてもナイーブなんで」
龍生くんの練習が終わるのを待つのは母の美穂さん。
約10年間、息子をこの場所でいつも迎えてきました。
【母・美穂さん】
「今日は機嫌が良い、機嫌が悪いとか、それで対応の仕方を変えて…(笑)、当たったりすることもあるんですけど、その態度が自分の中でダメだったなと思ったらちゃんと“さっきはごめんね”って謝ってくるんで可愛いなと思います」
来年の春には高校進学の節目を迎える龍生くんですが、進路はまだはっきり決まっていません。
【野中龍生くん】
「自分に合った環境とか練習のところがいい、あといいチームメイトがいるところ」
美穂さんは本人の決断を陰から見守ります。
【母・美穂さん】
「本人もすごい悩んでるみたい、後悔しないように自分のやりたいようにやってもらえたらいいなと思います」
【祖母・幸枝さん】
「ずっとこの生活なんでどう思うってことはないんですけど」
龍生くんがこの日自宅に帰ったのは午後9時ごろ。
どんなに帰りが遅くても祖母・幸枝さんを含む3人で食卓を囲むのが自宅のいつもの風景です。
【祖母・幸枝さん】
「朝が忙しいんでもう一緒に食べることがないんで夜だけはって」
練習後の一家団らんは龍生くんが決めた家族との約束。
また国スポ前には他にも約束が…
【祖母・幸枝さん】
「大会前の1週間前は揚げ物はしないっていう」
Q.なぜ揚げ物禁止に?
【野中龍生くん】
「自分もあんまわかんない(笑)。とりあえず速い人の真似してみた」
【祖母・幸枝さん】
「もう泳いでいる姿見て興奮して、龍生!って叫んだり(笑)」
日本記録を塗り替える見事な泳ぎに幸枝さんは拍手を送りますが、龍生くん自身は1学年上の高校生に負けたことに悔しさをにじませます。
【野中龍生くん】
「やっぱ新記録出したけど1位じゃなかったから悔しい。毎回オリンピック出たり、世界大会出れるような選手になりたい」
【祖母・幸枝さん】
「何秒出すって言ったら出るんですよ(笑)」
11月末にはオリンピックに出場した選手も参加する国内トップクラスの大会に初めて挑む龍生くん。大会での目標は…?
【野中龍生くん】
「100mが1分0秒を出して、200mが2分11秒の中学新記録を出したい」