記録的な暑さを記録したこの夏。海水の温度も高くなり県内各地でサンゴの白化現象が確認されました。
白化現象を食い止めるべく気候変動に強いサンゴを養殖・植樹している企業を取材しました。神田記者のリポートです。
これはサンゴが産卵する瞬間を捉えた映像。美しく幻想的な景色です。色とりどりのサンゴは海の世界を彩るだけでなく豊かな生態系を産み出す海のゆりかごとも呼ばれます。
沖縄の海を支えるサンゴにいま、異変が起きています。
この映像は今月18日名護市で撮影された映像です。ところどころに見える白い部分、サンゴの白化現象によるものです。
サンゴが白化する主な原因は海水温の上昇にあります。適温であると植物プランクトンであるサンゴは褐虫藻と共生し栄養を供給してもらっていますが、海水温が上昇することで褐虫藻が逃げ出し、サンゴが白化してしまいます。
白化した場合サンゴは2・3週間で死滅すると言われています。サンゴの生息に適した水温は25度~28度と言われていますが、今年沖縄は30度を記録しました。
▽金城浩二さん:
「短く言えば多様性が圧倒的になくなるベースとなるサンゴがいなくなったら魚・甲殻類・ヒトデ・ナマコまで全部色んな種類がいなくなる」
こう話すのは海の種の代表金城浩二さんです。海水温が高い環境でも適応できるサンゴを養殖し海に移植する活動を26年続けています。
▽金城浩二さん:
「色んな団体だとかが自分らなりに統計をとって色々言っているのがだいたい今年は90%はやられたというのはみんなが言っている沖縄。今年沖縄中の海がほぼ死ぬというサンゴが死んでいるそういうことで考えるとやっぱり気候変動のスピードが早すぎて生き物たちが変化のスピードについていけていない。だから自然任せでやることだけがよかれではなくて」
金城さんは読谷村の海のすぐそばにサンゴの養殖場を作り育ったサンゴを目の前の海に移植しています。
▽金城浩二さん:
「今後の気候変動を考えたらただ単に植えるということでは蘇らすことは無理でだから適応するサンゴを発見して増やして植えていこうという考え方になります。」
今年、金城さんが海に移植したサンゴはおよそ8万株そのうちの2万株が生き残りました。
▽金城浩二さん:
「ただ僕らには始めた当初から比べると2万株も作れたというのはとんでもない奇跡だと僕らは思っています。」
およそ26年間、サンゴの養殖をしている金城さん。原動力は幼少期に見た景色でした。
▽金城浩二さん:
「僕が子どものころ毎日のようにリーフで潜っていたけど今思ったら竜宮城だわけフルカラーハイビジョンのような美しい世界を泳いでいたのがモノクロに変わっていくみたいな光景を見ながら育ったからああいう光景が画として頭にあるからどうにかあの光景を作れないかなと思うようになっていった」
カラフルな海を取り戻すべく今後も気候変動に強いサンゴを育てたいと話ています。
▽金城浩二さん:
「ストレスを与えて育てるとそれに適応するということがようやく分かってきた。ここについている壁から生えている小さいのは強いサンゴをかけあわせたサンゴ。強い系統をどんどん増やしていこうというふうに考えています。」
気候変動に対応するサンゴを育てる金城さん。沖縄のサンゴを守るためには農薬を海に流さない努力や生活排水を綺麗にする努力、海で遊ぶときにサンゴに優しい日焼け止めを塗る努力など私達の意識を少しずつ変化させることが大切だと話します。
▽金城浩二さん:
「サンゴって水が綺麗で水温が高いだけだったら結構頑張る水温も高くて水質も悪いと全然持たない。地球上に海が7割あってその中の0・1%がサンゴ礁でそのたった0・1%の中に沖縄があるわけだから僕らの沖縄って特別な場所にある島なんだよね。一人一人ができることの一番は自分らの海がどれくらいすごい場所なのかとかこの価値を知ることから始めてほしい」
金城さんは高い海水温にも適応できるサンゴの生存率を100%に近づけるべく今後も研究を重ねていきたいと意気込んでいます。