御嶽山噴火を巡る裁判です。「噴火警戒レベルの引き上げを怠った」などとして遺族らが国と県に損害賠償を求めた控訴審の判決で、東京高裁は控訴を棄却しました。噴火警戒レベルを据え置いた気象庁の判断については「著しく合理性を欠くとは言えない」として、違法性を認めませんでした。

死者・行方不明者63人を出した10年前の御嶽山噴火。遺族ら32人は「噴火前に火山性地震が増加したにもかかわらず気象庁は噴火警戒レベルの引き上げを怠った」などとして、国と県に総額3億7600万円の損害賠償を求め提訴しました。

地裁松本支部の一審判決は、「噴火2日前に地殻変動とみられる動きが確認されていたのに十分検討せず漫然とレベルを据え置いた」などと気象庁の判断の違法性を認定。

一方で、「レベル引き上げには更に検討が必要で被害者が登る前に確実に立ち入りが規制されたとは言えない」などと被害との因果関係は認めず、請求を棄却しました。一審判決を不服とした原告団は2023年、東京高裁に控訴していました。

そして迎えた10月21日の控訴審判決で東京高裁は2日前の地殻変動とみられる動きについて、「変位が小さく地殻変動と断定できないとの結論に至ったもので、判断が不当とは言えない」などとしました。

その上で「レベルを据え置いた判断が著しく合理性を欠くとは認められない」として、気象庁の違法性も認めず、控訴を棄却しました。

裁判の後、原告団はー

次女を亡くした・長山幸嗣さん:
「一瞬の出来事で終わって、切り捨てられたようで、非常に憤りを感じる」

山下潤 弁護士:
「不本意だし、高裁の審理も事実をしっかり見たわけではない。大きな憤りを感じる。このままこの判決を放っておくわけにはいかない」

原告団は今後、上告するか検討するとしています。

長野放送
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