インドネシアで昨年開催されたアジア競技大会で公開競技となり、今年の茨城国体では文化プログラムとして行われるなど、年々注目度が高まっている「e スポーツ」。

eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、パソコンやゲーム機、スマホを使って争う競技。海外ではパソコン中心で行われていることが多いが、最近では家庭用ゲーム機や、スマホのeスポーツが大きなムーブメントとして起きている。

eスポーツが高校の部活動に?

そして、3月23、24日には幕張メッセ(千葉県)で第1回全国高校eスポーツ選手権が行われるなど、人気は高校にも広がりをみせている。
部活動として発足するケースもみられ、私立高校だけでなく、公立高校でもこうした動きがある。昨年、愛知県立城北つばさ高校でeスポーツ部が発足したほか、既存のパソコン部などの活動の一環としてeスポーツを取り入れている学校もある。

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また茨城県立大洗高校では、2月にeスポーツ体験会を実施。現在eスポーツ部はないものの、昨年9月に開催された茨城国体のeスポーツプレ大会で3位に入賞する生徒もいて、eスポーツへの関心が高まっているという。

eスポーツを高校の部活動にする動きに、ネット上などでは、「eスポーツも立派な部活動です」という肯定的な意見のほか、「eスポーツはスポーツと言えるのか?」などの否定的な意見もあるのが実情だ。
確かに、みんなで体を動かして汗を流す運動系の部活のくくりだと違和感があるのも理解できるし、一方で将棋部やチェス部などとどう違うのかというとこれまた難しい。

果たしてeスポーツは部活動として広がりを見せるのか? 「ビデオゲームはスポーツなのか」などの論文を発表する社会学者の加藤裕康氏に話を聞いた。

eスポーツを教育現場に取り入れることは賛成

ーーまず、eスポーツはスポーツと言えるのか?

はい、言えると考えます。例えば、自転車ロードレースはスポーツですよね。この競技では自転車をツールとして用いているのですが、これは“足の拡張” だと解釈できます。eスポーツでは、コントローラーなどを介して画面上のキャラクターを動かすので、その意味では“手の拡張”となり、どちらも身体を動かすスポーツだと捉えています。


ーーeスポーツを学校教育の現場に取り入れることについては?

スポーツは語源を辿ると、「気晴らし」や「遊び」という意味に行き着きます。eスポーツも歴としたスポーツだと考えていますので、学校生活を楽しむための一つとしてeスポーツを教育現場に取り入れることは賛成です。

そしてeスポーツはビデオゲームを用いて行う競技ですから、これを学校教育に組み込むことで、仲間を作ったりコミュニケーションを図るきっかけになったりできると考えています。

ーー部活動となることについてはどう考える?

少しずつ増えているという報道を目にし、私もさらに盛り上がってほしいとは思っています。ただ、「部活動」と断定すると少し考えざるを得ません。実は現状の部活動という仕組みに疑問を持っているのです。

教育目的から離れた学校自体のブランド化に部活動が利用されたり、部活優先の学校生活で文化祭などの学校行事に参加できなかったりするなど、生徒のためになっていないことが多くあると思っています。このような中でeスポーツが組み込まれることには否定的な考えですが、学校生活を楽しむための部活となるのでしたら賛成です。

「公費でゲーム機購入」の同意を得るのが難しい側面がある

ーー公立高校が公費でゲームを購入することについては?

個人的には問題ないと思っています。ただ、いわゆる規格が決まっている野球のバットやボールと違い、ゲームは流行り廃りがあり、例えば今、プレーステーション4を買ったとしても、10年後に使えるかどうかは分かりません。

さらにゲーム自体がバージョンアップをしますので、ソフトを買い換えなければいけないこともあり、経費がどれだけかかるか読めないところもあります。そうなってくると、公費で購入することに対して同意を得るのが難しい側面があるとも考えています。


ーーeスポーツ部は今後も増えると思う?

野球と同じように新聞社が主催する形で全国選手権が開催されたりしているので、この流れは進んでいくと思います。賛否の議論はいろいろあると思いますが、少しずつ増えていくのではないでしょうか。

ファミコン全盛期には「ゲームは1日1時間」という言葉があったが、ゲーム機を用いるeスポーツが、「部活動として馴染まないのではないか」という懸念があるのは分かる。
ただ、国体や国際大会に取り入れられている現状をみると、eスポーツの価値観が、“ゲーム”から“スポーツ”へと変わりつつあるのも事実ではないだろうか。