生命活動の基本を担う脳幹からの出血

沈痛な面持ちで目頭を押さえる落語家の桂文枝さん。

桂文枝さん(76):
数年前に嫁さんももらい、まさにこれからという時だったのに、たった1日で目の前から消えてしまったことが信じられません。

桂文枝さんが悔やむのは、愛弟子である桂三金さんの突然の死。
11月9日、桂三金さんは48歳の若さで脳幹出血を発症し、その日のうちに息を引き取った。

脳幹出血とは、呼吸や血圧を保つなど、生命活動の基本を担う脳幹の部位に生じる出血のこと。出血すると急速に昏睡状態に陥った後、出血量が多いと死亡することもあり、手術も難しいという。

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著名人では、ミュージシャンの桑名正博さんが59歳で、プロレスラーの橋本真也さんはわずか40歳で脳幹出血で倒れて亡くなっている。

もし一命を取り留めたとしても重篤な状態や植物状態になることが多いという脳幹出血。特にこれからの季節は要注意だという。

高血圧が主な原因 日常生活の“急”に注意

最初に、どのような人が脳幹出血を発症しやすいのかを医師に伺った。

横浜新都市脳神経外科病院 森本将史院長:
性別は関係ないと思います。「男性に多い」ということはないと思います。

厚労省のデータによると、脳卒中で亡くなるリスクは30代から徐々に高まり、80代でピークになっている。女性の死亡者数も高齢になるにつれ増えていることがわかる。
また、女性は出産前後に脳出血を発症しやすくなり、特に産後2カ月は通常の30倍近くまでリスクが高まるとされている。

では、脳幹出血を発症する原因とは?

横浜新都市脳神経外科病院 森本将史院長:
高血圧が原因で起こることが一番多いです。ストレスが多くてすごく多忙な方は、血圧も上がりやすい。

血圧が高いと動脈硬化が起こりやすくなり、ふとした瞬間に血管が破れて出血につながるという。さらに、こんな人も要注意。
急に怒鳴り出す・寝ていて急に飛び起きる・トイレで急にいきむ。このような急がつく動作は、血圧を急激に上げてしまう恐れがある。

そして、注意が必要なのがこれからの季節。

横浜新都市脳神経外科病院 森本将史院長:
気温が下がって寒くなってくると血圧が上がりやすいので、その時期に脳幹出血が多いです。

昼と夜の寒暖差が激しくなるこの時期に、薄着で寒いところにいると血管が収縮して血圧が上昇し、発症リスクが高まるという。

血圧を簡単に下げる「降圧体操」

そんな高血圧を防ぐには、塩分・アルコール・タバコを控え、適度な運動をすることなどが重要。

万が一、血圧が上がってしまった場合には、わずか10秒で血圧を下げる「降圧体操」というものがある。
まず姿勢を正し、胸から30cmほど話したところで手を合わせる。

次に、手を押し合わせるように10秒間ぎゅっと力を入れる。この時、息はできるだけ止めておく。

そして10秒後、一気に腕の力を抜く。必要なのはこの1回のみ。こうして一度血管を収縮させた後に緩めることで、血流を良くすることができるという。

横浜新都市脳神経外科病院 森本将史院長:
血圧が正常な人が「自分は大丈夫だ」と思っていても、普段からカリカリしていたり普段から忙しいことばかりしていたら、血圧を知らず知らずのうちに上げていくことになります。自分は正常だからといって、油断してはダメ。

今後もさらに寒暖差が激しくなることが見込まれる。こまめに服装で調整するなど、体を冷やさない工夫が必要だ。

(「めざましテレビ」11月13日放送分より)