市場に出回らない未利用魚を活用
“オトク”から、社会に役立つデータ利用へ。
Tポイント・ジャパンが13日に発表したのは、長崎・五島列島で取れた魚を加工したフィッシュハム。
Tポイント・ジャパン 北村和彦社長:
ポイントから、社会に役立つデータベース利用。もっと世の中に、もっと消費者に役立つようなブランド転換をしていきたい。
長崎県の離島、五島列島は、さまざまな魚がとれる豊かな漁場に囲まれているが、サイズが不揃いなど価値がつかず、市場に出回らない未利用魚が出ることも。
そこで、Tポイント・ジャパンは、商品として扱われてこなかったブダイなどの魚を地元の水産業者と協力して活用。
Tポイント利用者の購買履歴などを分析し、6,900万人を超えるカード会員から魚好きで食にこだわる12人を選出し、五島列島の定置網漁などを体験してもらい、商品開発に携わってもらった。
Tカードで収集されたビッグデータを元に商品開発
この商品開発に大きく貢献したのが、Tカードで収集されたビッグデータだ。
魚製品の購入者の特徴などを分析した結果、魚を購入するのは、40代の女性が多いことが判明。
この人たちが好むものについて、生産者や選出された会員とともに話し合い、ビール好き、料理好きな女性をメインターゲットにすることにした。
そして、13日から全国のスーパーでフィッシュハムが販売された。消費者の反応は?
東京・新宿区のマルエツ江戸川橋店では、「変わった風味で、かまぼことも違って。オリーブオイルとかで、ちょっとやったら、おいしいかなと思って」「簡単に調理できそうなので、便利だと思う。おつまみとかにも多分、合うと思います」などの声が聞かれた。
Tポイント・ジャパンがビッグデータを活用し、未利用魚を使った商品開発に取り組む理由とは。
Tポイント・ジャパン「Tカード みんなのソーシャルプロジェクト」 瀧田希プロジェクトリーダー:
データをお預かりしているからには、世の中に還元していくのが企業としての責任。この商品をきっかけに、五島の漁業の状況やサスティナブルな漁業に、少しでも思いをはせていただけるような方が増えるといいなと思います。
Tカードから離脱する企業も出る中、新たな取り組みでブランド力回復となるのかが注目される。
マーケティング支援だけではなく「社会貢献関連」の商品開発へ
三田友梨佳キャスター:
この試み、崔さんはどうご覧になりますか?
エコノミスト・崔真淑氏:
カルチュア・コンビニエンス・クラブの収益の半分近くは、Tポイントカードを導入してくれた企業からの手数料。しかし今、共通カードと言えばPonta、楽天、dポイントなどの競合がたくさんあります。そうすると、Tポイントカードを導入してくれる企業が減るのではないかという危機感から、新たなビジネスを展開する後押しになったのではないかと思います。
三田友梨佳キャスター:
今回のような社会に役立つ商品開発は、今後増えていくと思いますか?
エコノミスト・崔真淑氏:
増えると思います。Tポイントカード、そしてカルチュア・コンビニエンス・クラブは、企業さんにポイントカードを使ってもらうということよりも、ビッグデータを使ってマーケティング支援をするなどの魅力を発信していきたい。でも、それはすでにいろいろな企業がやっているので、地方の企業や社会問題解決など多くの企業がまだ手を着けていないところに行きたいのではないか。だからこそ、社会貢献関連の商品開発が増えていくと思います。
三田友梨佳キャスター:
蓄積したデータを使って商品やサービスの開発に役立てるだけではなくて、社会に還元される形は今後より広がっていくのかもしれません。
(「Live News α」11月13日放送分)