JR長崎駅から徒歩わずか10分。待望の新スタジアム「ピーススタジアム」（通称：ピースタ）で、V・ファーレン長崎が華々しい船出を飾った。10月6日、J2リーグの大分トリニータとの一戦で4-1の快勝。1万9000人を超える観客が詰めかけ、新たな時代の幕開けを熱狂で彩った。
日本一近いピッチに大興奮
V・ファーレンの新たな本拠地「ピーススタジアム」（以下「ピースタ」）。
10月6日、チケットは完売し、超満員で迎えた初戦は1万9000人を超えるファン・サポーターが詰めかけ、熱気に包まれた。
ピースタ初陣は17位の大分との九州ダービー。J１ピースタの最大の特徴は、観客席とピッチの距離の近さだ。
最短で5ｍという日本一の近さに、サポーターたちは興奮を隠せない。「すごく近い」「選手とサポーターがハイタッチしていて、ピースタならではの体験だと思った」と、ある観客は試合後の興奮冷めやらぬ様子で語った。
昇格に向けて引き分けも許されない大事な試合。記念すべきピースタ初ゴールは前半24分、マテウスが相手のパスミスを奪い、無人のゴールに流し込んで先制する。「初ゴールを狙っていた。クラブの歴史に刻めるので狙っていたし、こういう形で刻めたのもそうだし、あとは昇格して歴史を刻みたい」と、マテウスは記憶にも記録にも残るゴールを決めた喜びと抱負を語った。
V・ファーレンは後半に入っても攻撃の手を緩めず、後半44分に1点を返されるものの、最後はアディショナルタイムに途中出場の笠柳が4点目を決めて突き放した。
ピースタ初戦は大量4ゴールで快勝。J1自動昇格に望みをつなぐ勝ち点3を積み重ねた。
スタジアム内で勝利の美酒に酔いしれろ
試合後のスタジアムでひと際賑わっていた場所があった。ブルワリーレストランの「THE STADIUM BREW NAGASAKI」だ。
スタジアム内には国内初のビール醸造所があり、出来立ての地ビールを味わうことができる。
「最高です！こんなスタジアムで幸せ」「きょうは公共交通機関なので腹いっぱい飲みます」「余韻を楽しむために来た、勝利の美酒」と大勢のサポーターが勝利の余韻に浸った。
一番人気の「ヴィ・ビール」は用意した450lが前半途中に完売するほどの人気ぶりだったという。
ヴェルカも新本拠地で白星発進
盛り上がりを見せたのはサッカーだけでない。バスケットボールのりそなグループ・B1リーグの長崎ヴェルカは新本拠地「ハピネスアリーナ」（以下「ハピアリ」）で、サンロッカーズ渋谷と開幕戦で対戦した。
ハピアリのこけら落としゲームには試合開始の3時間前から続々とファン・ブースターが詰めかけた。
アリーナの新演出としてパフォーマンスユニット「VELC」も披露された。開幕戦の相手は、強豪「サンロッカーズ渋谷」。
長崎西高校出身の田中大貴や日本代表のジョシュ・ホーキンソンなどが名を連ねる。その強豪にマオール 新ヘッドコーチが大切にする「守備」からリズムを作り、ヴェルカが5点リード（36対31）で前半を折り返した。
第3クオーター、ヴェルカは勢いを加速させ、昨シーズンの得点王7番・ブラントリーが本領を発揮。ブラントリーはこの10分間で13得点と大暴れ。豪快なダンクから雄たけびをあげるなど最後まで渋谷の追い上げを許さず、渋谷を76対68で下し新本拠地での初戦を白星で飾った。
松本健児リオン選手は「ハピネスアリーナ1試合目の公式戦を無事、勝利を収められて良かった。これまでいた選手、今いる選手関わってくれる皆の力があってこの空間ができたとすごく思った」と喜びを語った。
リージョナルクリエーション長崎の岩下英樹代表取締役社長は「この施設に点数をあげるとしたら？」という問いに「60点」と答えた。「ちょっとまだまだやりたいこといっぱいあるんで」と話し、これからのパフォーマンスにますます期待が高まる。
試合終了直後こそ周辺は帰宅する観客で混雑し、長崎電気軌道は電停に職員を配置して対応にあたったものの、大きなトラブルはなかったという。
5日のGAME2は前日を上回る5504人がハピネスアリーナに詰めかけ大声援を送った。ヴェルカは58対53で渋谷に敗れたが選手は手応えを感じている。
高比良寛治主将（高ははしごだか）は「ヴェルカはB3から来たんだよというのをどんどん表現して。ハピネスアリーナをもっともっと盛り上げていきたいと思うし、長崎の皆さんがヴェルカがあることを誇りに思ってもらえるよう地元出身選手としてもキャプテンとしてもまだまだステップアップしたいと思います」と地域への思いを強調した。
新スタジアムの誕生は、長崎のスポーツ文化に新たな1ページを刻むだけでなく、地域全体の活性化にも大きな役割を果たすことが期待される。スポーツを通じた地域の結びつきが、これからどのように発展していくのか。長崎の新しい物語が、ここから始まろうとしている。
（テレビ長崎）
