9月21日、石川県能登地方を襲った記録的な大雨。
死者は13人となり、いまだ4人の行方と安否がわかっていません。
年間キャンペーン「命と未来をまもる」10月1日は、隣県で起きた豪雨災害から、県内の状況について、考えます。
発生後、現地に向かい、被害状況を取材した松田記者です。
私たち取材班は、9月22日早朝、輪島市へ向かいました。
1月の能登半島地震では震度6強や7の強い揺れが襲った場所です。
現場では川の氾濫や土砂崩れが数多く発生し、被災直後は救助の足も阻まれるほどの被害を受けていました。
9月21日、石川県能登地方で発生した線状降水帯。
能登半島地震による被害が特に大きかった輪島市や珠洲市などに記録的な豪雨をもたらしました。
輪島市で24時間に観測された雨量は412ミリ。
平年の9月1カ月分の、およそ2倍にあたります。
輪島市門前町では地区を流れる浦上川が氾濫。
住宅や農地が濁流に飲み込まれました。
*輪島市の80代男性
「地震で地盤が沈下して、堤防がないような状態。最小限に収まってほしい。これ以上になるとどうしようもない」
*リポート
「行方不明者が出ている中屋トンネルに続く道路です。川が氾濫し、救助に来たレスキュー隊もこの先へ進めず、足止めされています」
豪雨は、地震のあと、建てられた応急仮設住宅にも大きな被害をもたらしました。
輪島市宅田町の仮設住宅で暮らす、70代の女性です。
氾濫した川の濁流は床上まで達し、家具や家電のほぼすべてが泥や水に覆われました。
*70代女性
「布団もダメになり寝るところがない。きちんとした住まいがほしい。元の生活に戻れるか分からないのが不安」
地震から生活再建へ歩み出す被災者を襲った豪雨。
復旧・復興が遠のく状況となっています。
大規模な多数の土砂崩れにより、復旧作業や捜索・救助が難航していますが…
能登半島地震の強い揺れによる地盤の緩みが斜面が多い山あいで土砂崩れを増幅させた一因とみられています。
地震は、県内も大きな被害をもたらしました。
斜面の崩落がみられた被災地でも、懸念が広がっています。
土砂災害について詳しい専門家と現地を取材しました。
氷見市園地区。
高さ30メートルほどの斜面では、能登半島地震による強い揺れによって、幅40メートルにわたり斜面が崩落する崖崩れが発生しました。
発災から9カ月、土砂災害について研究する県立大学の古谷元教授と現場を確認しました。
*富山県立大学 古谷元教授
「斜面に溝が多い。地中から水が出て落ち、周りの土を削っている。かなり水抜きをしている。地中の水が多い」
能登地方でも、被害の現地調査を続けている古谷教授は、「線状降水帯が発生した場合、富山でも土砂災害の被害が拡大する恐れがある」と指摘します。
*富山県立大学 古谷元教授
「1月の地震で揺さぶられ亀裂が発達する。亀裂の中に雨水が入ると斜面の中で地下水位が上がる。斜面を浮き上がらせるような力が働き、形が持たず崩れてしまう。富山でも特に西部で長時間強い揺れがあった。今後そういう崩落もありうる」
富山県、特に地震の被害が大きかった氷見市では、警戒が続いていると…
線状降水帯が発生すると、河川が氾濫する危険性が一気に高まります。
地震で大きなダメージを受けた被災地では、なおさらのこと、2次災害への懸念が続いています。
一方で、その予測や被害を抑える対策にも限界があると思いますが…
想像を超える雨への対応は難しい面もありますが、「自宅の近くでも身に危険が迫る豪雨被害が起こりうる」と考え、万が一の場合にどう行動するか、どこに避難するか、地域や家族で、日頃から確認を進めてほしいと思います。
ここまで、年間キャンペーン「命と未来をまもる」能登地方豪雨被害について、お伝えしました。