ちょっと元気がないときに愛猫に癒されている人も多いだろう。
さらにテンションを上げたいときに、「猫とハイタッチしたい!」…そんな猫好きの願いを叶えてくれる作品が話題になっている。

まずは、その作品を見てほしい。

見て楽しむだけじゃなく、面白い体験ができる装置をつくりたい!
大学院の修了制作の「high-seven」は、実際に猫とハイタッチできる作品でした。またこういうのつくりたい。


コメントとともにアップされた写真は、台に乗った7匹の猫が、直立して手を挙げている。しかもハイタッチしやすいように微妙にずれて縦に並んでいて、よく見るとそれぞれ表情や体勢も違う。

3月23日にTwitterに投稿されると、「タッチしたーい!!!」「玄関に置きたい」「最後のコの乗り出し感が〜」など話題となり、2万2,000件以上のリツイート、5万4,000件以上の「いいね」がついている。(3月26日現在)

この木彫りの作品を作ったのは、彫刻家として活動している花房さくらさん( @hanafusa_sakura)で、大学院の修了制作だという。
さっそく作品をつくったきっかけなどお話を聞いた。

アイドルの握手会から着想

 
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ーーこの作品を制作しようと思ったきっかけは?

誰かを元気にしたいというのがこの作品の発端です。ひとが笑顔になるのはどのようなときかと考え、アイドルの握手会から着想を得ました。しかし握手には、友好的な意味以外にも使われる場合があるので、より明るくて元気になれるハイタッチという行為を選びました。


ーーなぜ猫という動物を選んだの?

たまたま猫を飼っていて、観察しやすいという理由から作ってみたのが始まりです。芸術大学に通っていたのですが、美術の世界があまりにも広すぎて何から手をつければいいのか茫然としていたときに「とりあえず猫を題材に制作していこう」と決めてみました。

猫は人間にとって最も身近であり かわいいと扱われている反面、日本では人間の支配下でしか生きることを許されない哀しい動物であると私は思っています。
猫を人間のように二足歩行させることで、人間も動物の一種であることを感じてもらえたら、という思いも込められています。


ーー台と猫を合わせてどのくらいの高さになるの?

自分の身長が154cmなのですが、猫たちと私の目線がだいたい合うように作りました。詳しいサイズは失念しましたが、一番大きな猫が挙げた手(前足)が160cmくらいになったと思います。
 

実家の猫たちがモデル

ーー制作する上でこだわったところはどこ?

一番のこだわりは支え無しの二足で猫を立たせていることです。単純な仕掛けですが、これをするのとしないのでは全く異なる印象となります。
また、作品になっている猫たちは実在の猫がモデルです。7匹中6匹は実家で飼っていた歴代のオス猫たちです。男性アイドルグループをイメージしていたので、なんとなく奇数にした方がそれらしくなると思い、あと1匹、友人の飼う猫をモデルに使わせてもらいました。ちなみに友人の猫は一番後ろの猫です。


ーー制作する上で苦労したことは?

苦労したのは台座の形状です。彫刻を台座に置くという行為が自分にとってしっくりきていなくて、台座だと思われない形を模索するのが大変でした。
最終的には猫たちが乗る部分はサーフィンと雲の中間のような形に落ち着き、見る人によってイメージが変わると思います。

 

花房さくらさんによると、実家で飼っていた歴代のオス猫たちがモデルになっていて、最後尾で身を乗り出している猫だけが友人の猫だという。また、作品が完成したのは数年前だそうだが、その時の反響についても聞いてみた。

参加する人がいて初めて完成

ーー制作手順を教えて?

木彫の作品なので、まずは丸太からチェーンソウで大まかな形を切り出して、次にノミと槌で彫り、細かいところは彫刻刀で…といった極々普通の制作手順です。着彩には油絵具を使っています。台座は最後まで悩みに悩みました。


ーー作品の制作期間はどのくらい?

制作期間は約3ヶ月です。2015年の10月頃から2016年の1月にかけてでした。


ーーこの作品の魅力は?

いつも「体験できる彫刻」を目指して制作しているのですが、この作品は参加する人がいて初めて完成する点が特に魅力だと思います。ハイタッチは2人でする行為なので、この作品のみでは成立しないのかもしれません。ある意味、観る人も作品の一部になれるとも言えます。
 

 

ーー作品が完成したときの気持ちは?

修了制作だったので、とりあえず間に合ってよかったとホッとしました。あとは、早く色々な人にハイタッチを楽しんでほしい!といったワクワクした気持ちです。


ーー作品を発表してから反響はあった?

まずは友人や先生たちがニコニコしながらハイタッチしてくれたのが嬉しかったです。見えない誰かを想定しているはずでしたが、身近な人たちを笑顔にできたことが自分にとっての成功でした。
また、修了制作展を取材した地元のニュースにこの作品が写ったらしく、そのテレビを見た方がたくさん来てくださり、美術や大学に関心の無い方にも親しんでもらうことができました。今でも展覧会の際に「あのときの作品覚えているよ」と言ってくださる方が時々いらっしゃいます。
 

 

是非、一度は体験してみたいと思ったが、現在、作品は人の手に渡ってしまい、花房さくらさんの手元にはないということだ。