特集は、期待の小学生アスリートです。長野市の小学6年生・山口葵生選手(12)は陸上競技のハードルと走高跳を組み合わせた「コンバインドA」で2023年、全国大会準優勝。「今年は優勝を」と9月、全国大会に挑みます。


■ハードル×走高跳 

ハードルに走高跳。長野市の小学6年生・山口葵生選手は、この2つを組み合わせた陸上の種目「コンバインドA」で県の小学生記録を持つ実力者です。

山口葵生選手:
「ハードルが速くても、高跳び跳んでる人の方がもしかしたら上に行くかもしれないし、わからないところがとっても楽しい」

所属しているのは、創設13年目の陸上クラブ「軽井沢A&AC」。「中体連承認団体」として、いわゆる「部活の地域移行」の受け皿ともなっていて現在、約30人の小中学生が所属しています。


■観察力、負けん気の強さ

山口選手は、5つ上の姉を追いかけて小学1年の時にクラブに入りました。

山口葵生選手:
「お姉ちゃんの運動会の姿がかっこよくて走り始めて、軽井沢に体験入部に来た時は先輩たちがとっても優しくて、楽しいなと思って入ることにしました」


恵まれた体格と身体能力で次第に力を伸ばしていった山口選手。コーチは、他の選手の優れた点を取り入れる「観察力」と「負けん気の強さ」も実力を押し上げた要因と見ています。

跡部定一コーチ:
「お姉ちゃん・周りの先輩がいる中でも、上へ上へ、できることを増やしていく。そんな選手だったなと振り返りますね」


■県の小学生記録を更新

2023年の「全国小学生陸上競技交流大会」では、80mハードルで12秒83、走高跳で1m36をマークし、コンバインドAで準優勝。県の小学生記録も更新しました。

2024年5月の記録会ではその記録も更新。得点にすると2453点で、全国の大会記録2379点を大きく上回っています。

山口葵生選手:
「スプリントの強化をやっていたので、走りの練習が今になって成果に出ているのかな。去年からだと(80mハードルのタイムが)1秒近く上がった。今年は『絶対1位取るぞ』という気持ちで入っていったので、(去年と)違うと思う」


チームメイトはー。

佐藤あか音さん(小2):
「優しくていいお姉さん」

土屋紗英さん(小5):
「緊張とかそんなにしてなさそう、余裕に前に出ている感じがする。理想に近い感じです」


■オンライン練習で技術磨く

山口選手が通う安茂里小学校。

「軽井沢A&AC」の跡部定一コーチ:
「ハードル並べて3で3でだっけ。行き3、帰り3だよね」


放課後、体育館の使用が認めてられていて、この日も「オンライン練習」。軽井沢は遠いため、平日は、スマホの画面越しに指導を受けています。

一緒に練習するのは、同じクラブで家も近所の米田太一さん(中学3年・15)です。この日はおそろいのTシャツで練習。

跡部定一コーチ:
「(Tシャツは)軽井沢A&ACじゃないじゃん!」

米田太一さん:
「葵生がこのTシャツがいいって言うので…」

山口葵生選手:
「言ってない!」


仲の良い米田さんから見た山口選手はー。

チームメイト・米田太一さん:
「上履きを持ってくるときに、右足の靴を2足持ってきたりとか、すごく面白いところもあります。陸上には本当に真剣に取り組んでいて、全国でもトップを目指せるような人なのですごい」


■自宅では…山口選手の「素顔」

自宅の様子も取材させてもらいました。

ゲームをしたり、ダンスをしたり。大人びて見える山口選手ですが、自宅では小学生の顔が垣間見えます。


姉の莉央さん(16)。高校の陸上部でハードルに取り組んでいて、今も山口選手の憧れの存在です。

姉・莉央さん:
「小さいころはずっと私のまねして練習していたのが、大きくなって自分で練習するようになって、しっかり大会で結果を残していて、私も負けないようにがんばらなきゃなと思っています」

山口葵生選手:
「やっぱり走っている姿を見ると、かっこいいなって思う。追いつきたいなって気持ちです」

姉・莉央さん:
「姉なので、葵生よりは上にいたい」

山口葵生選手:
「負けないぞ」


■送迎や応援で支える両親に感謝

送迎や応援で山口選手を支える両親はー。

父・正直さん:
「本人が自分の中で何か得られるものがあればいいかなと思っていますので、できる範囲でやれればいいかなと思っています」

母・才世子さん:
「『推し活』ですね。『推しを支える』みたいな感じで、楽しくやらせていただいています」

山口葵生選手:
「送迎とかいろいろ支えてくれなきゃ、軽井沢に行って練習もできていなかったと思うので、そこは本当に感謝しています。笑顔で『1位取ってきたよ』って言いたい」

母・才世子さん:
「泣いちゃう。去年でも本当にうれしかった。ぜひ楽しんでほしい」

■全国大会の前哨戦では  

9月1日、佐久市で開かれた記録会。

山口選手は間近に迫った全国大会の前哨戦として位置づけていました。

山口葵生選手:
「自分自身に勝って、ハードルと高跳び、両方とも自己新記録を狙いたい」


まずは、80mハードル。

自己記録は12秒04です。

向かい風の中、12秒18のまずまずの走り。


母・才世子さん:
「残念です。(全国に)行く前に記録出したかった」


続いて、走高跳。

自己記録に1cmに迫る、1m42は見事成功!

次は、自己記録を上回る1m45に挑戦。

1回目を失敗し、後がなくなった2回目はー。

母・才世子さん:
「おしい~」

自己記録更新はなりませんでしたが、合計得点は全国の大会記録を上回るパフォーマンスでした。

山口葵生選手:
「自己新出すつもりが、どっちも出せなかったので、悔しい気持ちが大きい」

■「全国制覇」家族や仲間に誓う

家族や仲間に誓った全国制覇。本番は9月22日、舞台は国立競技場です。

山口葵生選手:
「ハードルと高跳び、ともに大会新記録を目指して、合計得点でも大会新を出して優勝したい。(いけそうかな?)がんばります(笑)」

長野放送
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