防犯カメラが捉えた犯行の瞬間

京都府の畑に設置した防犯カメラが8月31日午前4時頃に捉えたのは…暗闇の中、大量のネギを手際よくカゴに積みあげていく男の姿。

暑さが続く日中を避けての収穫作業かと思いきや…その正体は、9月12日、京野菜の「九条(くじょう)ねぎ」を盗んだ容疑で逮捕された山本英雄容疑者、27歳。

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時折、手袋をした腕で、汗を拭うようなしぐさを見せながら、10kgほどのネギが入るカゴを満杯にしては、新たなカゴを運んでくる…その量は、なんと約216kg、被害額は19万円相当に及ぶという。

この男、いったい何者なのか?

「九条ねぎ」の一大産地、京都府・久御山町。

今年は猛暑で育ちが悪く、市場では、1kg1000円ほどの高値で取り引きされているという。

そんな中、今年6月から少なくとも8件、合計3トン以上もの「九条ねぎ」が盗難被害にあっていた。

警察はJAと協力してパトロールを強化。

盗んだ手口には、ある特徴が…

犯人を突き止めようと被害にあった農家が注目したのは、盗まれた跡に残された切り口だった。

九条ねぎ農家A
ネギの刈り方を知ってるやつだなと、盗まれたやつはしっかり下の方で刈ってあったんで。しっかり腰を落として刈ったら、根っこギリギリになるんですけど。「慣れとんな」と。

九条ねぎは、地面から3cmほどの低い位置で刈り取ることが理想だという。

試しにネギの収穫未経験のスタッフが刈ってみると…

「Mr.サンデー」スタッフ
根元からとれてしまいました。

鎌の使い方が悪いと切ることすらできない。

おとり作戦で防犯カメラを設置

犯人は、ネギの収穫に詳しい人物とみた被害農家では、ある作戦に打って出る。

九条ねぎ農家A
比較的“きれいなネギ”の場所。曲がってるネギとかは売れないんで、しっかりまっすぐ立ってるネギ。ここ盗られるやろうなっていうところに(カメラを)つけて、様子見していました。

相手が“ネギの素人”ではないことを逆手にとり、おびきよせる作戦だ。

防犯カメラの設置から約1週間後…撮影されたのが冒頭の犯行の瞬間だ

九条ねぎ農家A
まあバッツリ映ってて…

これが決め手となり、逮捕された山本容疑者。その正体は、被害者たちが推理していたとおり九条ねぎの生産者だった。

山本容疑者をかつて雇っていた人は「勤務態度は真面目でひたむき。去年から自分で九条ねぎの畑の経営も始めて、作業を掛け持ちしていたので、疲れているのかなとは思っていました」と話す。

九条ねぎ農家が他人の畑から盗んだ理由

自分の畑を持つ山本容疑者が、なぜ他人の畑に手を出したのか?

山本容疑者を知る別の人物は…

九条ねぎ農家B
夏の暑さで(ネギが)伸びてないから、よっぽどネギが多分(採れなかったのだろう)、そいつも(取引先と)契約しちゃって、ネギがどうしても必要やったんちゃうかな。

ネギが思うように育たなかったため、他人の畑でとった九条ねぎを、自分のものとして取り引きしていた可能性があるという。

被害にあった農家は憤りを隠せない。

九条ねぎ農家C
盗むのであればね、人のネギを盗むのではなくて、情熱とか、技術であったり、そういうところを盗んで、自分の成長に役立てて欲しかったですよね

山本容疑者は調べに対し…

「ネギを盗んだことに間違いない」

警察は山本容疑者がほかの事件にも関与した疑いがあるとみて余罪を調べている。

(「Mr.サンデー」9月15日放送より)