「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の男性、殺害された事件。
検察は今回、異例の28人もの証人尋問を予定しています。
このうち2人が13日、法廷で証言しました。何が語られたのでしょうか。
「紀州のドン・ファン」こと野﨑幸助さんを殺害した罪に問われている須藤早貴被告(28)。
13日の法廷で明かされたのは、野﨑さんの資産に対する須藤被告の執着ぶりでした。
須藤被告は友人に「全然財産もらうつもりだったけど。欲のせいで足元すくわれたけど」といったLINEを送っていました。
12日の初公判で無罪を主張し、事件前に「完全犯罪」「覚醒剤過剰摂取」などと検索していたことが明らかにされた須藤被告。
裁判員裁判の2日目となる13日は、午前中に検察側の証拠調べが行われ、須藤被告の高校時代の友人の供述調書が読み上げられました。
事件発覚まで、須藤被告が結婚していたことを知らなかったというこの友人によると、ある日、須藤被告から口止め依頼ともとれる次のようなメッセージが届いていたといいます。
友人に送ったLINE:
変なこと言うようだけど、週刊誌の記者から早貴のこと聞かれても答えないで。SNSの写真も消して欲しいんだよね。
「恋して昇天ナンマイダ」というタイトルのグループラインにメッセージが送られたのは、野﨑さんが殺害されたとされる日の6日後でした。
この時、須藤被告は「芸能人絡みのゴシップに巻き込まれた」と説明していたといいます。
須藤被告の友人の供述調書によると、「その後、報道で高齢のおじいさんと結婚していると知り開いた口が塞がらなかった。早貴ならこのような(財産目当ての)結婚、やりかねないなと思った」としています。
また、別の友人の調書によると、野﨑さんと結婚した理由について、事件発覚後に須藤被告は「(野﨑さんが)兄弟に遺産を渡したくなくて、君に遺産を受け取って欲しいと言われた。一緒には住んでいない。財産は“ケタ外れ”だから、全部出すのに時間かかる」と答えたといいます。
友人によると須藤被告はイケメン好きで高齢男性は恋愛対象外だったといい、親に結婚のことを話していないのかと尋ねると、「事件じゃなくても(野﨑さんは)普通に死ぬかなと思っていたから言わなかった」と話したといいます。
検察側がこうした調書を読み終えると、須藤被告は資料を見ながらうなずいていました。
そして午後からは検察側の証人が出廷。
1人目は、事件当日自宅で野﨑さんの遺体を調べた和歌山県警の警察官です。
急性覚醒剤中毒で死亡した野﨑さんについて、「(野﨑さんの)体に注射器の痕などがないかも確認したが、なかった。薬物中毒も考えられたため、注射器やパイプなどがないか寝室や風呂場・脱衣所なども調べたが見つからなかった」と証言しました。
須藤被告の犯行を裏付ける直接的な証拠が少ない中、証人の発言が、今後の裁判にどう影響していくのか、検察側は28人に及ぶ証人尋問を予定しています。