新たに農業を志す人が年々減少している。2023年に全国で新たに農業を始めた人は4万3460人で、前年より5.2%減少した。このうち49歳以下は1万5890人と半数に満たず、若い世代の担い手が不足しているのが課題だ。
こうした中、秋田県能代市で12日、若者に農業を将来の選択肢に考えてもらおうという研修会が開かれ、高校生が生産現場の現状を学んだ。
研修に参加したのは、由利本荘市の西目高校で農業を学ぶ生徒39人。
生徒は初めに能代市の農業技術センターを訪れ、職員から市内の農業の現状などについて説明を受けた。
続いてネギを試験栽培する畑を見学。この畑は、地域に適した品種や病気が発生しにくい栽培方法の研究に使われている。
センターの職員は「白神ねぎ」について、「白根が30センチ以上という規格があって、それをクリアするために一生懸命土寄せをして管理している」と説明した。
最後に訪れたのは、市内の園芸メガ団地。2018年に千葉県から移住した島知範さんが「白神ねぎ」の生産を手がけている。
生徒が真剣に見つめていたのは「ブームスプレイヤー」と呼ばれる大型の農機具。一度に20アールの範囲に農薬をまくことができるため、大規模な敷地で作物を生産するのに欠かせない。
農業の効率性が高まっている一方で、地道な作業も必要だ。
島さんは「良いネギでも皮をむきづらいと出荷数が伸びない」と話す。これに対し生徒が「あえて抑えているんですか」と質問すると、島さんは「そういう人もいると思う」と答えていた。
参加した生徒:
「将来的にネギの生産をやってみたいと思っていて、ネギを周りでやっている人がいないので良い経験になった。ネギを生産するならこれだけ大規模にやってみたいと思った」
竹生ファーム・島知範さん:
「僕もまだまだ勉強中だが、将来ネギ農家が増えたら素晴らしいことだと思う。高校生はパワーがあると思うので、農業を精いっぱいやってもらいたい」
県内随一のネギの生産現場に触れた生徒たちは、農業の奥深さを知り、今後の参考になったようだ。