候補者乱立で混戦が予想される自民党総裁選。今後の展望と最新情勢について、永田町での豊富な取材経験を持つフジテレビの松山俊行政治部長に聞きました。
フジテレビ・松山俊行政治部長:
今回9人ということで異例は異例。自民党の中で事実上派閥がなくなったということで、それをきっかけに立候補しやすくなったというところが背景にある。
異例だという総裁選、最大の争点は。
フジテレビ・松山俊行政治部長:
「政治とカネ」の問題にどう取り組むかが最大の争点であり続ける。不記載があった議員をどういう形で処分、あるいはもう一度処遇するかというところで、対応が分かれている。
候補者が多いことで活発な議論が期待される一方、その弊害を指摘します。
フジテレビ・松山俊行政治部長:
候補者の数があまりにも多いので、論戦と言ってもきちんとした論戦になるのかが懸念材料。本当に色合いの違いが分かる程の議論になるのかは難しい。
山陰中央テレビ報道部・福村翔平デスク:
松山政治部長も指摘するように、混沌とした総裁レースですが、山陰からはやはり注目するのは鳥取1区選出の石破元幹事長の動向です。石破氏が選挙戦を戦う上でどのような戦略を描いているのか。それには総裁選の投票の仕組みが関係してきます。
今回の総裁選は、国会議員票367票と、全国の党員・党友の投票数を振り分けて配分を決める党員票367票の合わせて734票で争われます。
ただ、1人の候補が過半数に届かなかった場合は、上位2人による「決選投票」に移ります、今回は候補者乱立で票が割れるため、決選投票になることは確実視されています。
この決選投票では、国会議員票367票に、都道府県連票47票を足した414票で争われます。都道府県連票は、決選投票に残った2人の内、党員票の得票がより多かった候補に1票が入る仕組みです。
5度目の挑戦にして、自ら「最後の戦い」と位置付けている石破氏が、この選挙の仕組みの中でどう戦い、そして勝算はあるのか、この点についても聞きました。
フジテレビ・松山俊行政治部長:
すでに(推薦人の)20人ずつ議員票が固まっているとすると、残っている議員票が少ない。党員・党友票、いわゆる地方票を獲れる候補が相当優位になってくる。そういう意味では、現時点で言われているのは石破候補、小泉進次郎候補、そこに続くのが高市候補。
世論調査でも人気の高い石破氏は、決選投票に残る可能性が極めて高いとしています。その決選投票の見通しは。
フジテレビ・松山俊行政治部長:
(1回目の投票で)3位以下を支持した議員が、どういう投票行動を取るのかが最重要。議員票も決選投票でうまく集められるように一生懸命に動いている。
決選投票の議員票の動きは全く読めないとした上で、石破氏が総裁になる可能性は?
フジテレビ・松山俊行政治部長:
今の時点で石破さんが総裁になる確率、なかなか難しいですけど、30%以上はあるのではと見ている。
山陰中央テレビ報道部・福村翔平デスク:
松山政治部長は、決選投票で、強味である「政策通」という点をこれまで以上に深く浸透できるかがカギを握ると話していました。
さて「国会議員票」の行方についてですが、山陰の関係議員はすでに支持する候補をほぼ固めています。
石破元幹事長を支持するのは、おひざ元の鳥取では、衆院2区選出の赤澤亮正議員、参院鳥取・島根合区選挙区選出の青木一彦議員と舞立昇治議員、それに比例代表特定枠の藤井一博議員の4人です。「旧茂木派」を脱退した青木議員も加わっています。
一方島根側では、ともに「旧茂木派」で、衆院2区選出の高見康裕議員と参院比例代表特定枠の三浦靖議員の2人は支持する候補が異なり、高見議員は、茂木敏充幹事長を支持。三浦議員は、同じく「旧茂木派」から立候補する加藤勝信元官房長官を支持しています。
このほか「旧安倍派」で、衆院比例代表中国ブロック選出で島根県連に所属している高階恵美子衆院議員は、支持する候補をこれから決めるとしています。
山陰中央テレビ報道部・福村翔平デスク:
山陰の国会議員でもこのように支持が分かれています。一方、国会議員とともに投票権を持つのが全国の党員・党友で、このうち鳥取では12日に県内の党員・党友に向けて投票用のはがきが発送されました。
自民党鳥取県連では、県内の党員・党友に送る投票用のはがきを職員が車に積み込み、郵便局へと運びました。投票は、投開票日前日の9月26日までに返送された物が有効となります。
また、郵送ではなく直接投票する場合の投票所は、県内の自民党支部や議員事務所に設置され、26日の正午まで投票することができます。開票作業は、鳥取市の鳥取県連で27日の午前中に行われます。
島根・鳥取両県連によると党員・党友は、鳥取県が1万220人、島根県が1万1682人 だということです。
山陰中央テレビ報道部・福村翔平デスク:
投開票は9月27日で、15日間の選挙選に入ります。
言うまでもなく、政権与党のリーダーを選ぶ選挙は、即ち国の行政のトップが決まる非常に重要な戦いですので、各候補の主張や論戦に我々も注目しなければなりません。