青春の地が忘れられず“Sターン”

信州大学を卒業した31歳の女性が、学生生活を送った伊那谷にほれ込んで移住。2018年12月に伊那市に手作りのクラフトビールを提供するビアバー「イナデイズ・ブルーイング」をオープンした。

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このビアバーをオープンさせたのは、冨成和枝さん(31)
クラフトビールの作り手も富成さん。併設する醸造所で現在、4種類を作っている。

冨成さんは愛知県の出身。
クラフトビールに辿り着いたのは信州大学農学部に進学し、その後、大学院で乳酸菌などを研究したことが背景にある。冨成さんは、その知識を生かして出身地・愛知の食品メーカーに就職しクラフトビールと出会った。

やがて、ビールと学生時代の思い出の地・伊那が重なりあい、夢が育まれた。

冨成和枝さん:
クラフトビールに出会って、世界それぞれの農産物を活用して、その地域の歴史や文化に魅力を感じて、それが伊那でもできたらいいな。(伊那は)毎日自然の良さを実感できるタイミングがある。山の色が変わり、空が青いとか。花がきれいとか、色んなところで季節を感じられるのはいい

冨成さんは、ビールメーカーに転職して4年間、基礎を学び2018年春に店を開くため伊那に移住した。

冨成和枝さん:
こういう戻り方はUターンではなく“Sターン”ですかね?
戻ってきたという言い方も変だが地元も違うので…。
皆さんが、『よくここに来てくれたね』と歓迎してくれるのでうれしい…

醸造所と店はリンゴの加工所だった建物を改装。

酒造免許を取り醸造タンクは1000万円近くをかけ海外から取り寄せた。

そして、つけた店の名は、「イナデイズ・ブルーイング」

冨成和枝さん:
INADAZEEは“酔っ払っている”という意味。イナデイズと聞くとイナとも聞こえるし、伊那に来てこのビールを飲んで、ぼーとしてほしいと思いを込めて名付けました。

ビール造りは“ジャージ”で…

冨成さんにビール造りの様子を見せてもらった。

あさ8時。作業仕込みのに現れた冨成さんはジャージ姿…。
記者:
格好はジャージで?

冨成和枝さん:
そうそう。この格好が一番動きやすい。だからよく、走るんですかと言われたりする… 

作り手の個性が出るクラフトビール。スパイスや果物などの副原料や発酵方法で様々な味のビールが出来る。

冨成さんのイチオシ「伊那日和」は地元産のコシヒカリを使い優しい味が特徴だ。麦芽とコシヒカリから作った麦汁にホップを加え2時間、煮沸する。その後、最後の味付け酵母を入れ6時間後には発酵が始まる。

早速、出来上がったクラフトビールを試飲させてもらった。
冨成さんイチオシの「伊那日和ペールエール」(600円)

記者:
華やかな香り。苦味も少なく飲みやすい…

造りたてのビールが楽しめるとあって、店には早くもファンが通いつめている。

辰野町から来た客:
普段はビールは飲まないがここのクラフトビールははまった。1杯1杯に彼女の思いと歴史があるんだなと楽しみに来ている…

石窯で焼き上げる“本格ピザ”も自然の香り

個性豊かなビールに合うお勧めの料理は石釜で焼く本格的なピザ。
甘いチーズと、香り豊かなきのこがトッピングされた『信州のきのこのピザ』(1500円)がイチオシ。

青春の地・伊那で念願のビール作りを始めた冨成さん。
次の目標は原料も手がけ100%伊那谷産のビールでその魅力を広げることだという。

冨成和枝さん:
伊那谷の自然や人や文化をビールで伝えていきたいと思っている。
全国各地からこのクラフトビールを求めて伊那谷に来てもらって伊那のよさを知ってもらえるように発信したい。

【長野放送】

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