後遺症の”抜け毛”に悩まされる人がいる

8月18日の時点で、新型コロナウイルスの感染者は全国で合わせて 5万7696人。一方、これまでに4万2284人が退院や療養解除となり、日常生活を取り戻している。

しかし中には、後遺症とみられる症状に悩まされる人も。新型コロナウイルス陰性に転じた後も倦怠感や頭痛などの症状を訴える患者の存在は知られていたが、先週、ハリウッドの人気女優が SNS で驚きの告白をした。

それは…

“抜け毛”の症状だ。

アリッサ・ミラノさんは、1回のブラッシングで髪の毛が抜ける様子を撮影し、インスタグラムに投稿。

アリッサさんが新型コロナウイルス陽性と判明したのは2020年4月上旬。一時は人工呼吸器をつけるまで 症状が悪化したという。アリッサさんは他にも、インスタグラムで「この4カ月間、めまい、胃の不調、 生理不順、動悸、息切れなんかがあったわ」とつづっている。

この“抜け毛”に悩まされる例は、日本でも…。

“コロナ後遺症”で抜け毛に悩む女性(30代):
ドライヤーして、洗面所のところとかを見るとこんな感じで。1回のドライヤーでこんなに(髪の毛)が抜けたかなっていう…ちょっと不安になってます

『直撃 LIVE グッディ!』が取材したのは、7月4日に発熱の症状が出て、11日に陽性が判明し入院、その後21日に退院したという女性。

髪の毛が抜け始めたのは退院から3日ほどたった頃。洗面所の動画は8月14日に撮影されたものだが、“抜け毛”は今もおさまっていないという。

女性(30代):
基本的に髪の量も多いタイプなので、ドライヤーをしていたらそこそこは落ちたりするんですけど、髪の毛を指ですいたりすると抜けてくる。8月いっぱいもこれが続くようだったら(病院に行くなど)ちょっと考えようとは思っています

ストレスと肉体的なダメージが影響か

実際に新型コロナウイルスの後遺症で髪の毛が抜けることはありうるのだろうか?

自治医科大学付属さいたま医療センターの讃井將満教授に話を聞いた。

自治医科大学付属さいたま医療センター・讃井將満教授:
実際に起こっていますね。私の知っている範囲でも、友人で2人いらっしゃるんで、(抜け毛に)なるんだと思います。(感染による)ストレスも強く受けている。体自体にも侵襲(しんしゅう)と言いますけど、ダメージがありますから、それによる影響ではないでしょうか

讃井教授によると、感染による心理的ストレスだけでなく、ウイルスによる肉体的なダメージも影響し ている可能性があるという。

しかし、詳しい因果関係はまだ分かっていない。

精神的なストレスに対するケアが必要

グッディ!のスタジオでは、昭和大学医学部の二木芳人客員教授に話を聞いた。

大村正樹フィールドキャスター:
讃井先生は「休止期脱毛症と病態(症状)としては同じで、全体の髪の毛が抜けていく。病気による強い炎症・高熱・心理的ストレスが原因か」と分析しています。二木先生はどう思われますか?

二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
讃井先生もおっしゃっていましたが、おそらくストレスと、身体的な病気の後ですので衰弱や栄養失調などそういう状態で、こういうことが起こります。休止期脱毛症、あるいはもう一つ円形脱毛症というものがありますよね。皮膚科の先生に聞きますと、円形脱毛症でもびまん性があって、やはりストレスがかかったときに出たりするので、いずれかでしょうと。休止期脱毛症の方が考えやすいとおっしゃっていましたね

安藤優子キャスター:
コロナウイルスによって、体も心もストレスを受けたということの後遺症というふうに考えられるということですね

二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
日本では、妊娠・出産の後、それからダイエットをした後にもこういうことがあるようです。栄養の方も大事でしょう

安藤優子キャスター:
急激に体力が落ちた時に、やはりこういうことが起こる可能性もあると。反対に言えば、これは治ることも考えられるわけですね?

二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
休止期だったら大体3カ月くらいで治ると聞いています。原因にもよりけりでしょうけど

安藤優子キャスター:
体力を戻して、栄養もきちんと摂取すれば?

二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
あとは精神的なストレスに対するケアも必要かと思います

政府が8月から後遺症の調査をスタート

大村正樹フィールドキャスター:
日本国内でも様々な事後の体調不良を訴える方が多く、厚労省も今月から本格的な後遺症の調査をスタートしました。体調不良の一部として、こういった症状があげられています

<“新型コロナ後遺症”とみられる主な症状>
・頭痛、微熱
・呼吸困難
・胸の痛み
・全身の倦怠感
・筋力の低下⇒ベッドなどでずっと寝ていたため、全身の強い炎症から重要臓器を守ろうと筋肉が犠牲となり、エネルギーを供給するため
・PTSD⇒生死に関わるような危険などを体験することによって強い恐怖を感じ、心の傷となる。当時と同じような恐怖を感じ続ける病気

安藤優子キャスター:
PTSD というのは、新型コロナは特効薬がないとか、ワクチンもないと言われて、とにかく当初かかった人は本当に、絶望的な気持ちにさせられたと思います。それによる後遺症というのは、十分考えられますよね

二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
特に初期はそうでしたよね。やはり治療法も確立していないし、何かずいぶん悪い病気というイメージが強かったので。今はわりと致死率が高いわけでもないと、いろいろ分かってきましたけど。最初のころにこういう方が多かったんじゃないでしょうか 

カンニング竹山:
二木先生、僕が難しいなと思うのは、普通の肺炎にかかっても、そのあと呼吸困難の後遺症が出たりするじゃないですか。人にもよるし、果たして本当にこれらの症状が新型コロナウイルスによる影響なのかどうか?今はなんとも言えない段階ですよね

二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
ですから、厚労省がようやく2000例くらい調べると言っていますが、2000例と言わずもっとたくさん調べたらいいんじゃないかって思います。徹底的に検査をして、心配ないですよという答えを差し上げると、安心して良くなるというケースもありますので。ぜひ後遺症の検査を早くして、結論を出していただきたいと思います

「後遺症の治療費は自費だった」

大村正樹フィールドキャスター:
医療機関がどこまで患者さんをフォローアップしているのか?グッディ!では春に新型コロナ陽性と分かったお二人のその後を追跡取材させていただきました

<“コロナ後遺症”患者の苦悩>
1:“後遺症”と診断されにくいAさんは、4月2日に陽性、3週間後の4月23日に退院している。しかし、不整脈や微熱、倦怠感などの 症状が約2カ月続いたという。病院では「“新型コロナの後遺症”が認知されているわけではないので検査も治療も行えない」と言われ、別の病院を受診。そこでは“新型コロナの後遺症”として対応してもらったが、治療費は保険診療で自費だったという。

2:医療費の経済的負担 Bさんは、4月2日に陽性、5月1日に退院したが、手のしびれや動悸、呼吸困難などの症状が約3カ月 続いていたという。「検査や治療にお金がかかる。治療のため仕事を休むことになると生活ができない」と心境を語った。

安藤優子キャスター:
新型コロナは指定感染症だから国がきちんとお金の面倒は見てくれますが、後遺症についてはまだ認定されていない。とても微妙なところにあって、これが補償の対象ではないということが、皆さんを悩ませているということですね

二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
確かに、明確にそういう因果関係がはっきりしてくると、後遺症というものに対する医療費も、国の方で 補償してくれる可能性があります。ただ幸い、日本の場合は医療保険制度がしっかりしていますので。多少の個人負担は必要ですが…、いずれそのあたりの白黒がつけばいいですね。

二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
少し気になるのは、AさんBさんともに心臓の症状があります。最近ドイツでしたか、新しい後遺症、あるいは合併症と言った方がいいかもしれませんけど、心筋炎という、心臓の筋肉がダメージを受けるという症状が報告されています。これは症状だけ聞いてもなかなか診断がつかなくて、そのつもりでかなり積極的に調べなければな らないんです。ですから先ほど話したように、厚労省にはそういうものも疑って、きちんと検査をしていただくというのが重要だと思います。

(「直撃LIVE!グッディ」8月19日放送分より)