東京湾のシンボルとして雄大にそびえるレインボーブリッジと東京ゲートブリッジ。
普段走ることができないこの名所を自転車で駆け抜けるライドイベント「GRAND CYCLE TOKYO」が12月1日(日)に開催される。
この記事の画像(24枚)今年は参加人数を6000名まで拡大。参加者のエントリーが9月16日(月・祝)まで行われている。
そんな「GRAND CYCLE TOKYO」のアンバサダーに就任した5名(稲村亜美、神田愛花、小島よしお、武井壮、団長安田 ※五十音順・敬称略)が、自転車でしか見えない景色に会いに行き、東京の魅力を再発見する。
今回の「とうきょう自転車さんぽ」は、フリーアナウンサーの神田愛花さん。ヘルメット姿もスマートに決まっているが、普段、自転車には乗るのだろうか?
「すごく乗ります。銀座に行って、自転車で往復したりとか、1日長い時で1時間以上乗り続けてたりとかっていうこともあります」
この日は、JR品川駅前からスタート。高層ビルと木々の緑が調和する道を軽快に走っていく。神田さんにとって、品川のイメージは?
「やっぱりオフィス街か、あとは交通の拠点だったりするので、サラリーマンの方が多いなっていうイメージはありますよね」
神田さんがそう語るように、品川と言えば“ビジネス街”を思い浮かべる人が多い。だが、駅から5分ほど走れば、意外な景色が見えてくる。
「お〜っ!私、2時間ドラマのエンディングで、この景色見たことあります!」
それは、品川浦の舟だまり。釣り船や屋形船が並ぶ場所だ。実は品川は、かつて漁師町として栄えた街。舟だまりには当時の名残りがあり、昔ながらの家並みと高層ビル群の対比が楽しめる。
「品川の開発されている部分と、昔ながらのコントラストがすごいっていうのを何かで拝見したことがあって、どこから見た景色なのかなって思っていたんですよ。昔の時代の人が想像していた未来なのかなって感じがします。『100年後、こういう感じになっているのかな』って、100年前に自分がここにいたら、そういう風に想像したのかなっていうような。なんかホント、合成写真のような、不思議な気持ちになりますね」
再び自転車を走らせると、道行く猫に遭遇。穏やかな光景に、神田さんから笑みがこぼれる。
「ふふっ。猫ちゃん。なんか猫ちゃんがいる風景も、最近ないから懐かしくていいですね」
次に神田さんが立ち寄ったのは、舟だまりから少し西に行ったところにある、品川区立台場小学校。
敷地内には、岩場と灯台のモニュメントが設置されている。でもなぜ、小学校に岩場と灯台が? 神田さんも興味津々の様子。
「ちょっと近くに行って見ていいですか?何?岩場が…何が違うんだ?ちょっと大きいですけど、そんな変わった岩ではないですけど…」
実はこの小学校の敷地は、かつて「御殿山下台場」と呼ばれていた場所。そう、元々は“台場”だったのだ。
台場とは、砲台を擁する防御施設のこと。幕末、黒船来航を機に開国を迫られた幕府が、江戸の町を守るために建設したものだ。台場は海上にいくつも造られ、その中で唯一、陸続きだったのが御殿山下台場だった。
「えっ?ということは、そこ(敷地の近くは)海だったってことですか?」
まさにその通り。岩場と灯台のモニュメントは、この場所が今よりずっと海に近かったことを教えてくれる、貴重な歴史の語り部だった。
続いて神田さんがハンドルを向けたのは、旧東海道。江戸時代に整備された、京都まで続く道を南下していく。
東海道第一の宿場町として栄えた「品川宿」は、現在は商店街などになって賑わっているが、道幅はほぼ江戸時代の頃のまま。風情ある道のりが続く。
「これが旧東海道なんだ。変わってないんだ。楽しい!」
昔の旅人が何時間もかけて歩いた道を、自転車で駆け抜ける喜び。品川宿一帯は平坦な道が多く、神田さんのペダルも進む。
「坂とかはあれですけど、平地だったらホントに体力要らないですよね」
一方、旧東海道から八ツ山通りに繋がる短い道は、坂になっている。
「いつもこの坂、何だろうなって思っていました」
それは、かつてこの辺りが海沿いだったため。坂は、波打ち際の名残なのだ。
歴史を感じながら走る、旧東海道。すると、神田さんの思い出もよみがえってきたようだ。
「ここは私、フリー(アナウンサー)になって初めて1日警察署長をやった時に、ここを赤いオープンカーでパレードしました。でもまだ私、全然知名度がなくて、両脇の歩道の皆さんが『え?誰あれ?誰あれ?』って言っているのが直に聞こえまして、ハートが鍛えられましたね(笑)」
また、品川周辺の様々な景色に触れたことで、神田さんは“とうきょう自転車さんぽ”の楽しさを改めて実感した様子。
「東京って本当に自転車に適した街だと私は思っているので。ビルがなくなった瞬間にパアッて空が開けたりとか、すごく魅力的な所だなって感じています。自転車にとって」
続いて神田さんがやって来たのは、「品川橋」。桜の名所として有名な、目黒川に架かる橋だ。
目黒川にあるのに、なぜ品川橋? それは、かつて目黒川の河口付近が「品川」と言われていたから。当時の名残りを、現在の地名や駅名が受け継いでいるのだ。
また、品川宿は歴史的建造物も見どころの一つ。この一帯には、およそ30の寺院がある。
「本当にお寺がいっぱいありますね」
その中の一つ、「品川寺(ほんせんじ)」は、大同年間(西暦806~810年)に創建された品川区最古のお寺で、地名の由来になったといわれている。
さらに旧東海道を進むと、また1本の橋にたどり着いた。名前は、「泪橋」。
「泪橋?この短い橋が?」
立会川に架かる短い橋だが、その名前の由来が意味深なのだ。神田さんも、想像を巡らせる。
「なんかここでお別れする方がいっぱいいたんですか?ここまでが品川宿だったから、ここから出発する時に、お宿で親しくなった皆さんとバイバイってことですか?」
果たして、真相は? 「泪」のルーツとなった場所が近くにあるということで、行ってみることに。
数分、自転車で走ってやって来たのは。
「えっ? お寺ですか?鈴ヶ森…刑場受刑者之墓ですって!受刑者の刑が執行された場所があったっていうことですか?」
そう、ここは鈴ヶ森刑場跡。江戸時代に使われていた処刑場の跡地だ。
ここで処刑される罪人を家族が見送った場所が、先ほどの橋だった。その際に今生の別れを悲しみ、涙したことから、「泪橋」と呼ばれるようになったという。
神妙な面持ちで、鈴ヶ森刑場跡を見て回る神田さん。
「処刑台って見てもいいですか?」
処刑台の跡地まで行ってみると、案内板には、ある文字が。
「火炙台って書いてある!」
息を呑み、無言で手を合わせた神田さん。当事者たちへの祈りを捧げながら、刑場を後にした。
再びサドルに跨り、品川宿を抜けた神田さん。最後にやって来たのは、平和島近くにある和菓子店「餅甚」。
「こんにちは〜!はじめまして、神田愛花と申します。うわ〜!美味しそうな和菓子がたくさん!」
店主の福本義孝さん、女将の京子さんらが、温かく出迎えてくれた。
神田:
こちらは何年ごろから(営業しているんですか)?
京子:
創業、享保元年でして。1716年でございます。
神田:
1716年?え?何年前になるんだ?
義孝:
305年ぐらいですかね。
神田:
江戸時代?
京子:
そうです。(徳川)吉宗さんのあたりですか。
神田:
有名な吉宗さんのあたり。へぇ〜!何代目でいらっしゃるんですか?
義孝:
私で11代目になります。
神田:
すごいです!
なんとこの「餅甚」、300年以上に渡って愛され続ける日本屈指の老舗。ドラマ「暴れん坊将軍」で知られる徳川吉宗の時代から続いているのだから驚きだ。
お店の名物は「あべ川餅」。初代の店主が、東海道を行き交う旅人のために、ふるまうようになったという。
この名前の和菓子は静岡の「安倍川餅」が有名だが、餅甚の「あべ川餅」は、それとは異なるもの。たっぷりの黒蜜ときな粉がかかっており、コクのある甘味と香ばしさが溶け合う逸品となっている。
神田:
いただきます。美味しい!歯応えいいですね!
義孝:
そうですね、コシを出すために一生懸命。
神田:
最近、柔らかいお餅はやっていますけど、私好き!このぐらいの(歯応え)。
義孝:
良かったです。100%の餅米だけなので。添加物一切入れていないので。
神田:
すっごく美味しい!
義孝:
本当に水とお餅だけで、塩梅を取りながら作っておりますので。
神田:
これは売り切れになりますね!
あべ川餅の他にも、洋菓子のエッセンスを取り入れたメニューや、赤飯なども扱っている餅甚。これからも末長く、旧東海道を見守り続けていくことだろう。
品川駅前からスタートし、旧東海道を巡った今回の自転車さんぽ。神田さん、感想は?
「楽しかったですね。やっぱり気温が高くても、走っていると自然と風を受けますから、気持ち良かったのがまず第一ですし、近くに住んでいたことがあっても知らない景色がいっぱいありまして、歴史と向き合えるのは自転車だなって思いました」
「で、最後の美味しいスイーツというか、歴史のある味。最高に楽しかったです。この距離だけで、当時の江戸時代の品川の“喜怒哀楽”を全部楽しめたっていうのがあります。商店街の賑わいから、処刑の場所から、楽しい味から、全部を自転車だと感じられるんだなっていうのが再発見ですね」
自転車でしか見えない景色に会いに行く。それがとうきょう自転車さんぽ。
「とうきょう自転車さんぽ」
フジテレビ(関東ローカル)
毎週火曜22時48分~
GRAND CYCLE TOKYO
レインボーライド・マルチスポーツ
12月1日(日)開催
9月16日(月・祝)までエントリー受付中
https://grand-cycle-tokyo.jp/
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