自民党総裁選後の実施が取り沙汰される解散総選挙。
次期衆院選に向け、富山県内の自民党に大きな動きがありました。
自民党富山市連は、富山1区の候補者を絞り込む「予備選挙」の検討を決めました。
政治資金パーティーを巡り、党本部や富山市連から厳重注意を受けた田畑裕明衆院議員が出馬を予定するなか、異例の厳しい対応です。
3日朝開かれた自民党富山市連の常任総務会。
会合前、田畑衆院議員は出席した県議と富山市議1人1人と挨拶を交わします。
およそ1時間半にわたって開かれた会合。
多くの時間を占めたのは田畑議員を巡る政治とカネの問題でした。
*自民党富山市連 中川忠昭支部長
「田畑代議士は色んな課題があり、市連として、自民党そのものの信頼回復を図っていかなければいけない」
富山1区選出の田畑議員は、今年1月、派閥の政治資金パーティーで収支報告書に記載していないキックバックを受けとっていたことがわかり、党本部から厳重注意を受けました。
6月には、国会で政治資金規正法改正の議論が続く中、自身のパーティーの開催を計画。
その案内状にあった「入金のみ」の項目は、寄付の呼びかけにあたると野党から追及され、岸田総理が答弁する事態となりました。
その後、自民党富山市連からも厳重注意を受けました。
*自民党 田畑裕明衆院議員
「人間、田畑裕明として向き合ってきた。今回の未熟な判断について心よりお詫び申し上げる。あらゆる手段を通じて信頼回復に取り組んでいく」
この会見の翌日に開かれた選挙区支部の定期大会では、衆院選での勝利を期す「特別決議」の採択が見送られる異例の事態となりました。
さらに、8月末、田畑議員の支援者などが会費制のパーティーを計画しその直後に取りやめを決定。
こうした一連の問題を巡り、自民党の関係者には不満が募っていました。
3日朝の会合で、田畑議員は、この数カ月、市民に対してお詫び行脚したことを説明し、「引き続き仕事を頑張りたい」と次の衆院選への再選出馬に意欲を示したということです。
これに対し、出席者からは、「次の衆院選の候補者は替えるべき」といった、不満の声が多くあがり、田畑議員を推したのは一部の議員にとどまったということです。
*自民党 田畑裕明衆院議員
「私の反省の態度が足りない、信頼回復とはほど遠いという厳しい意見をもらった。国政、県政、富山市政において様々な課題がある。解決に向け、引き続き仕事をしていきたいと発言した」
出席者は…。
*奥野詠子県議
「田畑さんで自民党員や有権者の信頼を勝ち得るのか、しっかり議論しなければならない」
*舎川智也富山市議
「このまま話をヌルっと進めるのはない。自信を持った代議士を選ぶのは、市民へ訴えていく大前提」
*自民党富山市連 中川忠昭支部長
「一致結束して、市連をあげて(田畑議員を)推すのも難しいと感じた。現職を含めた、予備選をやることも必要では」
会合の終了後、中川支部長が口にした「予備選挙」。
自民党富山市連として、候補者を絞り込むため、実施を検討する考えを示しました。
*自民党富山市連 中川忠昭支部長
「それぐらいやらないと、党員の声を一致結束して、この人を推そうという流れを作れないと思った」
取材した記者の解説です。
予備選挙を検討ということですが、政治とカネの問題を巡り、自民王国、富山でも異例の候補者選考が行われることになりそうです。
実は、自民党は2021年の富山市長選挙の際にも「予備選挙」を行っています。
候補者の選考過程を党員や市民に明らかにする目的で、いまの藤井富山市長のほか、県議や市議など合わせて6人が出馬しました。
ただ、この時は、当時の森雅志富山市長が政界引退を表明し、「現職不在のなかの予備選」で、あくまで狙いは党内の候補者の一本化でした。
今回実施されれば、現職がいるなか、ましてや再選への意欲を示す中での実施となります。
それだけ、田畑議員への不満が強く、予備選を検討するという中川支部長の発言は非常に重いと感じました。
仮に予備選をするとすれば、まず、自民党富山市連は役員会を開き、予備選挙を行うかどうかを決めます。
衆議院の解散総選挙は、9月下旬の自民党総裁選の後、すぐにも行われるとささやかれていますから、時間は限られています。
次期衆院選富山1区には、各党が候補者を擁立します。
ある議員は「8月末にも候補者を募集しなければ間に合わない」と話していました。