相変わらず迷走気味の台風10号

最強クラスで九州に接近した台風10号だったが、上陸直前に急に中心気圧が上がり、上陸時は最強クラスでは無かった。
それでも台風なので、警戒を弱めないで頂きたい。

台風は相変わらず迷走気味で、今後も停滞やUターンも想定される。

台風の進路が読めないという批評もあるが、迷走を予想しているとも言える。

台風10号の予想進路図
台風10号の予想進路図
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台風進路から離れたエリアの大雨注目

台風が最強クラスであった時は進路が注目ポイントだったが、最強クラスでは無くなった今、注目は暴風から大雨に移ってきた。

ここに来てステージが変わってきたと考えた方がいい。台風はこれから複雑な動きをするかもしれないが、この動きに翻弄されない方がいい。

というのは、台風から離れた地域の方が今後の雨量は多くなるからだ。

東海道新幹線が、まだ台風から遠いのに計画運休を発表したのは、この点を考慮したもの。

予想72時間降水量
予想72時間降水量

日本気象協会の向こう72時間の降水量予想では、今後500ミリ以上が予想されるのは東海、紀伊半島、四国。300ミリ以上が予想されるのは関東から九州にかけて。

台風の動きは遅いが、台風から遠く離れた東海や関東でも、29日夜から激しい雨が予想される。

これは、台風が引き込む暖かく湿った南風と、太平洋高気圧を回る暖かく湿った南東風が、東海や関東などで合流することにより、積乱雲が次々に作られるためだ。

関東も大雨災害のおそれ

先週、東京都内で、記録的短時間大雨情報が出るほどの大雨があったが、そのような雨が広い範囲で、長い時間降る可能性がある。

30日にかけての予想1時間降水量
30日にかけての予想1時間降水量

土砂災害や浸水害、河川氾濫のおそれがあるので、十分に警戒してほしい。警戒期間は、29日(木)夜から31日(土)にかけてだ。

線状降水帯発生予想も

もちろん、九州は雨量が500ミリを超えるなど、すでにこれまでに大量の雨が降っているので、警戒が必要なのは言うまでも無い。

九州から東海にかけては、線状降水帯の半日前予測情報も発表されている。

近年、災害が凶暴化

線状降水帯が発生して、災害発生の危険度が急激に高まる可能性があるので、川の近くにお住まいの方や、崖や急傾斜地の近くにお住まいの方は、早めに安全対策を行う必要がある。

これまで大丈夫だったという経験は全く役立ちません。災害に遭われた方は、みなさん口をそろえて、これまで災害に遭ったことは無かったと言う。

地球温暖化によって災害が凶暴化しています。命を守ることを最優先して頂きたい。

三井良浩(フジテレビ気象センター・気象予報士)

三井良浩
三井良浩

気象キャスター、プロデューサーを経て、2024年にフジテレビを定年退職。現在、フジテレビ気象センターでシニアエキスパート勤務。モットーは、災害から国民の生命と財産を守るための情報を届ける。気象予報士。