離島「初島」で唯一の84歳医師が退任
静岡県内で唯一人が暮らす離島「初島」の診療所で37年あまり勤務した医師が3月30日に島民に惜しまれながら退任した。最後の診療のこの日も観光客に交じって島に渡るフェリーに乗る谷口恒義(84)医師。
この記事の画像(13枚)トレードマークは茶色のロングコートに少しくたびれたカバン。谷口医師は静岡県熱海市で外科医院を開業するかたわら、37年5か月にわたって初島の診療所に通った。それも3月30日で最後。若いころはオイルタンカーの船医もしていた医師歴58年の大ベテラン。
谷口医師:
血圧はいいですね
島民:
血圧は毎日測る、今日は測んなかったけど
谷口医師:
じゃあ風邪薬だします
島民:
(谷口医師には)すごい良くしてもらってるので島中で助かってるんじゃないですか
初島には約100世帯190人が暮らす。週2日開く谷口医師の初島診療所が島唯一の医療機関。島民の命綱だ。
谷口医師:
1回1回でね何回(島に)来ているとか考えない。1回ごとに自分のできることをやっているだけですよ
初島の診療所に通った37年間で診療を休んだのは船が欠航した時だけ。
島民:
私もおばあさんからおじいさんまで全部お世話になった。紹介状書いてもらったり、なんだかんだ本当にお世話になった。寂しい
最後に熱海市から感謝状が…
熱海市・齊藤栄市長:
感謝状、谷口恒義様、あなたは長年にわたり初島診療所に医師として従事し、島民をはじめ初島を訪れる人の健康を支えてこられました
最後の診療の後、熱海市から感謝状が…
島民:
先生、37年間初島の健康と命を守っていただいてありがとうございました(拍手)
谷口医師の脳裏にも37年間の出来事が…
谷口医師:
島の子供が海に溺れて、僕がいた時だから診て東海大にお願い(搬送)して、今(子供は)成人になってます。それが一番の記憶ですね
谷口医師:
最初の頃は糖尿病とか高血圧の人が多かったんですが、今は食事の改善とかそういう面でよくなってきたんじゃないですか
島民:
長い間ありがとうございました。風が吹いても来てくれた
谷口医師の見送りに島民の半数近い約80人が集まった。一人ひとりが持つテープに感謝の気持ちが込められている。
島民:
ありがとうございました~さようなら~
37年5か月小さな診療所を守り島民や観光客の健康を支えた谷口医師。最後まで優しく島を見続けていた。
今後、初島診療所には函南町と熱海市の医師 9人が輪番で通うことになっている。
(テレビ静岡)
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