いま「墓参り」の多様化が進んでいる。背景には“悩ましい事情”も。

【動画】墓参りする人が激減 墓参り代行サービスには依頼殺到 管理が難しく「墓じまい」決断する人も増加

■お盆に墓参りをする人が減少 近年人気が高まっている「墓参り」代行サービス

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お盆といえば墓参り。

8月13日、京都の大谷祖廟には、最高気温37度超えの猛暑の中、多くの人が手を合わせる姿が見られた。

墓参りに来た人:大阪から来ました。お姉ちゃんが子供生まれるから、無事に生まれますようにってお話しました。

墓参りに来た人:日々ありがとうございますって、これからもよろしくお願いしますって。頼むことばっかりで…

一方、こちらは大阪・大東市の墓地。 熱心にお墓の掃除をする男性がいた。

大阪石材工業 坂田勝典さん:墓石の掃除と、ろうそく立てが汚れているので、きれいにさせてもらいます。

こちらは、近年人気が高まっている「墓参り」の代行サービス。

大阪石材工業 坂田勝典さん:水ばちを倒してまで掃除してくれるのは、石材店くらいしかない。こういうところまで掃除してますというので、(作業後に)写真に収めてる。

丁寧に掃除したあとは、花や線香をお供え。 基本プランの料金は1万7600円で、リピートする人も多いということだ。

大阪石材工業 坂田勝典さん:件数的にはお盆が一番多いですね。基本的には予約いっぱいです。

■お盆に墓参りをする人がここ10年ほどで大きく減少

実はお盆に墓参りをする人が、ここ10年ほどで大きく減っている。かつては半分以上が墓参りをしていたのに対し、いまは3割を超える程度となっている。

墓参りをする人からも、こんな声が…
墓参りに来た人:ちょうどおととし、奥さんの方の実家の墓は、墓じまいも考えまして。色々家族で話し合って、私らの方で見ていこうということで、なかなか考えました。私もそこそこ年になってきたんで、こっから先は息子に任せようかなと思うんですけど。

そんな中で、お墓の在り方に、いま、大きな変化が。

■大量の墓石が積み上げられた「供養塔」 手を合わせられる場所を残す「墓じまい」も

和歌山県・太地町のお墓にやってきたのは、たくさんの機材を積んだ作業員。

ビーテイル 尾屋徳久代表取締役:頭の部分を解体して、納骨室を壊して土に埋めて、整地するっていう作業になります。

いま増加している、「墓じまい」。 こちらの会社では、数年前までは年間20件ほどだった申し込みが、10倍近くになっているということだ。

ビーテイル 尾屋徳久代表取締役:法要をしてもらったと話をするときに、泣かれる方もおられたり、お墓ってすごく思い入れが強い方が多いので、進んで墓じまいというよりは、仕方なく、やむなく、墓じまいという方が圧倒的に多いと思います。

作業を終えたトラックに付いていくと、現れたのは大量の墓石が積み上げられた、巨大な「塔」。

ビーテイル 尾屋徳久代表取締役:『咲楽縁(さくらえん)』という供養塔になります。だいたい2000基ぐらいあると思うんですけど。

通常、墓じまいをした後、墓石は処理されることが多いが、こちらの会社では供養塔の一部とすることで、「手を合わせられる場所」を残しているという。「墓じまい」の増加に伴い、供養塔に集まる石も急増していて、このままだとあと半年ほどでスペースが埋まってしまうということで、急いで新たな塔を建てる準備を進めている。

ビーテイル 尾屋徳久代表取締役:黒い石が敷かれている向こう側に、(新たな塔の)建設を予定しています。できるだけ早く次のもの(塔)を作れたらなと思っています。

■手のひらサイズの小さい「墓石」 魅力は「一緒に移動できる手軽さ、生活にもなじんでいる」と購入者

「巨大なお墓」がある一方で、こんなものも…

大阪石材工業 安達裕樹さん:こちらが『てのひらぼせきIL(イル)』です。玄関やリビングに置けるお墓になります。

手のひらサイズの小さな石。 お骨の一部を入れることもできる、れっきとした「墓石」で、去年から販売が開始された。 これまでのお墓と違う、その魅力とは?

話を聞かせてくれたのは、大阪出身で、いまは静岡県に住んでいる、大木真実さん(44)だ。

「手のひら墓石」を購入 大木真実さん:2年ほど前に、父と母が立て続けに亡くなってしまって、この先お墓を誰が見るかとか、お手入れのことが難しいかもしれない。墓じまいを決断した。

遠く離れた墓の管理が難しく、墓じまいを決めたものの、どこかむなしさを感じたという大木さん。 そんな中で「手のひら墓石」を知り、購入したという。

「手のひら墓石」を購入 大木真実さん:帰ってきたときに必ず目に入るので、『あ、あるな』いう気持ちにはなる。母とかのことを思い出したりとか、何かのタイミングのときに、手に取って気持ちを寄せるというか。

-Q.供養には仏壇などの選択肢もあるが?
「手のひら墓石」を購入 大木真実さん:やっぱり仏壇ってなると、置き場所が難しいということがあったり、手軽さ、一緒に移動できるところが、今の自分の生活にもなじんでいるかなと。

変わりゆく「墓参り」のあり方。 家の中でも先祖を思える、そんな新たな形も、広まっていくかもしれない。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年8月13日放送)

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