寝ている先輩の顔をスキャンし17万円盗む

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4月のある日、浙江省寧波市の50歳代の男性から警察に通報があった。銀行口座から1万元(約17万円)が消えたというのだ。警察が調べると、驚きの事実が分かった。

男性は勤務するレストランの寮に若い後輩の男2人と暮らしていた。2人は、午後と夜間に、男性が寝ている間に複数回、男性のスマホを使って顔をスキャンしてロックを解除し、SNSアプリのWe Chatの送金機能を使って金を盗んだ。送金の際の認証も男性の顔で認証していたという。

男性から通報を受けた警察が送金記録を調べると、男性のアカウントから2人のアカウントへの送金記録がみつかった。2人は記録を削除していなかった。

「寝ている先輩の顔をスキャンしました」(ウエイボより)
「寝ている先輩の顔をスキャンしました」(ウエイボより)

金を盗んだ後輩2人に対し・・被害男性が驚きの発言

後輩2人は、警察に身柄を拘束され取り調べを受けた。2人は「いつも仲良くしている男性にこんなことをして申し訳ないです」と反省しているという。

一方、被害を受けた男性は、「2人はまだ若く、結婚もしていない。刑務所に入ったら今後の人生に影響がある。許してやって、もう一度チャンスを与えてやってほしい」と寛大さを見せた。

ネット上では、寛大な男性に「すごく優しくていい人だ」と感動した人が少なくない一方、「どこのスマホだ?!」「目をつぶっているのに顔認証できるのか?!」「自分のスマホで目をつぶって試してみたらロック解除した!!」と、スマホの機能に関心を向けるコメントが多く見られた。

睡眠中の顔認証防止グッズも登場

”無断顔認証防止マスク”ネット通販で販売中(タオバオHPより)
”無断顔認証防止マスク”ネット通販で販売中(タオバオHPより)

顔認証機能を巡っては、これまでも、「友達の顔でロック解除した」とか「双子だと開く」などの事例が報告されたこともある。今回、警察は中国メディアに対し、「本来目を閉じていると顔認証できないが、今回使われたスマホ(中国メーカーとみられる)の機能はあまり良くないため、ロック解除したようだ」と話している。様々な場所に顔認証が登場しているが、便利さとうらはらの怖さもあらためて感じる

そして、今回のような、まさかの事態を防ぐため、中国のネット通販には、“睡眠中の勝手な顔認証防止マスク”が登場した。ある商品は、顔全面隠す、目だけ出す、目と口出す、口だけ出す、という4種類から選べる。1つ23元(約400円)で販売されている。

金を盗まれる心配をする人はもちろん、「夜中に配偶者や恋人に勝手にスマホを見られたら・・・」と心配になる、やましいことがある人にも使えるかもしれない。

【執筆:FNN 上海支局 城戸隆宏】

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城戸隆宏
城戸隆宏

FNN上海支局長